バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

1500.07.21 Sat

SUNTORY【 ROKU〈六〉&HAKU〈白〉】スペシャルインタビュー〈後編〉NY「Sip & Guzzle」が解き明かす
ジャパニーズスピリッツの可能性

BAR TIMES インタビュー

PR:サントリー株式会社

北米のバーシーンに新たな歴史が刻まれた。権威あるアワード「North America’s 50 Best Bars 2026」(主催:英William Reed社)で、SG Group姉妹店である米国・ニューヨーク「Sip & Guzzle(シップ&ガズル)」が第1位に輝いたのだ。この快挙を記念し、ファウンダーの後閑信吾さん、「Sip & Guzzle」の2人のシニアバーテンダーを迎え、特別インタビューを敢行した。

彼らがどのようにして北米のゲストを魅了したのか。注目したいのは、世界的に高まる日本産スピリッツへの注目だ。ジャパニーズクラフトジン『ROKU〈六〉』やジャパニーズクラフトウオツカ『HAKU〈白〉』は、現地でどのような存在感を放ち、海外のトップバーテンダーたちはどんな可能性を見出しているのか。その可能性をひも解いていく。

トレンドを超えて――世界が認めるジャパニーズスピリッツの真価
NY「Sip & Guzzle」シニアバーテンダーのVictoria Garcia(ビクトリア ガルシア)さん。 Sam Morris(サム・モリス)さんはNY「Sip & Guzzle」ヘッドオブR&D、シニアバーテンダーとして、バリエーション豊かなドリンクのリサーチとクリエーションを担う。 SG Groupファウンダーの後閑信吾さん。

——NY「Sip & Guzzle」では、ジャパニーズクラフトジン『ROKU〈六〉』やジャパニーズクラフトウオツカ『HAKU〈白〉』を使ったシグネチャーカクテルを提供していますね。現地の方々が日本のスピリッツにどのような魅力を感じているのでしょうか。

ビクトリア ニューヨークのゲストはとても知識が深く、とくにカクテルバーに足を運ぶような方は、スピリッツに関しても本当によく知っていてお酒に親しんだ方が多いですね。そういった方々が日本のスピリッツに惹かれるのは、それぞれのスピリッツにどんな特別な原料が使われているのか、それがどのように日本のルーツに結びついているのか、あるいはどれほど日本という国を想起させるものなのかという要素が大きいように思います。カクテルあるいはシンプルにソーダ割だとしても、繊細なフレーバーの複雑さが際立ち、ゲストに「もう一度飲みたい」と思わせる強い求心力があるのです。

サム 日本のスピリッツには、日本のカルチャーそのものが宿っています。根底にあるのは世界でも高く評価されている職人の技、いわゆる「匠の技」です。実際にボトルを手に取り、その中身を味わってみることで、ゲストの日本に対する理解が一気に深まる感覚があります。『ROKU〈六〉』や『HAKU〈白〉』をテイスティングすると、単一的な味ではなく、いくつもの要素が精緻に重なり合っているのを感じます。非常に繊細で洗練されたその多層的な味わいは、まさに日本のものづくりの真髄。この「技」を経験したいと願うゲストは世界中に確実に増えています。

後閑 今や世界中で「日本のもの=クオリティが高い」といった認識がされているんですね。どの国に行っても、トップレベルのシェフは、国を問わずメニューに日本の食材や料理名、調理手法を取り入れています。とくに著名なシェフであるほどに。こういった日本に対する認識は、おそらく一過性のトレンドではなく、もうスタンダードとして定着していると思います。バーテンダーにとっても、「日本の素材を使った方が、よりいいものがつくれる」という意識が浸透しているのです。海外発祥の文化や技術を取り入れながら、日本ならではの感性でもっといいものへと磨き上げる。そうした日本らしいものづくりの特異性を、世界のゲストやバーテンダーたちは理解しているのだと思います。

『ROKU〈六〉』の繊細さを引き出す「Guzzle」のシグネチャーカクテル

——具体的に、「Guzzle」で提供している『ROKU〈六〉』を使ったカクテル「Miami Vice Negroni(マイアミバイスネグローニ)」について教えてください。

ビクトリア 『ROKU〈六〉』の繊細さを最大限に活かすことが、このカクテルの最大のテーマでした。ベースとなるスピリッツ自体が非常に美しく、多層的な味わいなので、クラシックなネグローニに留まらず、さらなる可能性を探りました。具体的には、ネグローニ特有の苦味を強調するのではなく、イチゴとココナッツを合わせることで、爽やかなトロピカルフレーバーを引き出しています。

ビクトリアさん考案の『ROKU〈六〉』をベースとするカクテル「Maiami Vice Negroni」。イチゴとココナッツを合わせることで、軽やかかつトロピカルなフレーバーのネグローニに仕立てている。

——バーテンダーの視点で『ROKU〈六〉』の使いやすさと魅力を教えてください。

ビクトリア 他のジンと比較した際に際立つのは、ボタニカルのバランスの良さです。個々のボタニカルが主張しすぎず、非常に洗練されているため、スピリッツとしての繊細さが保たれています。 例えば、シンプルなジンソーダやジントニックにしても、その繊細な個性を損なうことなく表現できる。パワフルでありながら繊細さも兼ね備えている“バランスの妙”こそが、『ROKU〈六〉』が世界中のバーで愛され、使いやすいと評される所以だと思います。

ビクトリア ガルシアさんカクテルメイキングムービー 撮影(The SG Club「Guzzle」)
思い通りにカクテルを描ける『HAKU〈白〉』を使った「Sip」のシグネチャーカクテル

——『HAKU〈白〉』を使った「Sip」のシグネチャーカクテル、「Yakitini(ヤキティーニ)」について教えてください。とてもユニークなカクテルですが、その発想はどこから生まれたのでしょう。

サム カクテルを考える時は、まず原料選びから入るわけですが、その原料が持つ世界観や「シーン」を想像することから始めます。私はそもそも焼き鳥が大好きで、備長炭で焼いた焼き鳥をカクテルで再現したいと考えました。ニューヨークの焼き鳥の名店「KONO」で味わった、洗練されつつも力強い味わいがヒントになっています。ただ、焼き鳥という完成された料理をカクテルに落とし込むのは容易ではありません。脂の質感、胡椒のアクセント、スモーキーな余韻……それらを緻密に構成する中で、ベースとして選んだのが『HAKU〈白〉』です。とてもクリアでまるみがあり、かつ主張しすぎない。だからこそ、焼き鳥の持つ複雑な味わいをにごらせることなく、マティーニとして昇華させることができました。これはニューヨークと日本を結ぶ、私なりの「ラブストーリー」のような1杯です。

焼き鳥好きなサムさんが考案した「Yakitini」。『HAKU〈白〉』をベースに備長炭や鶏の脂を材料に取り入れ、複雑味のあるマティーニとした。

——バーテンダーにとって、『HAKU〈白〉』をカクテルに使う最大の魅力とは?

サム 極めて「使い勝手が良い」点に尽きます。ゲストから、メニューに載っていないクラシックなカクテルを求められた際、『HAKU〈白〉』のクリアな味わいはどんな食材とも調和します。スピリッツの個性を主張しすぎるのではなく、バーテンダーが描きたいフレーバーを真っ白なキャンバスのように引き立ててくれる。たとえば、エスプレッソマティーニのツイスト「Espresso Ma‘tahini(エスプレッソ マタヒニ)」にも使えるし「Yakitini」にも使う。この懐の深さが、『HAKU〈白〉』を選ぶ理由です。

サム・モリスさんカクテルメイキングムービー 撮影(The SG Club「Sip」)
「目から鱗」の体験を生む日本のスピリッツが伝えるべきこと

——海外のバーテンダーの方が日本の素材や酒文化にどんな関心を寄せているのでしょうか。

サム 簡単には言えませんが、日本が世界的な食のアイコンであることは、この業界の誰もが知るところです。それはスピリッツにおいても同様です。多くの国でさまざまなスピリッツが造られています。伝統的なジンのジュニパー感や、ウイスキーのバニラ香といった「定番のニュアンス」があるなかで、日本のスピリッツはそれらとは一線を画す、驚くほど洗練された繊細な表現がなされています。他国のスピリッツを飲み慣れた人たちにとって、この日本独自の洗練のレベルは、まさに「目から鱗」の体験なのです。

ビクトリア 日本の文化そのものへの関心は非常に高まっています。食事、お酒、それらを提供するスタイルまで、すべてに深い興味が注がれています。私が日本の文化に触れて感じたのは、あらゆる技法には必ず「意図」があるということです。なぜその技法を使うのか、なぜその素材を選ぶのか。日本のスピリッツが多くの人々を惹きつけるのは、単なる味わいだけでなく、蒸留酒を製造する過程にまで、その「思考の深さ」が伝わっているからではないでしょうか。飲めば、その味わいから、思考を重ねて生まれたスピリッツであることが伝わってきます。

—最後に、日本で造られているスピリッツを世界に発信していくうえで、もっとも大切なことは何だと思いますか。

後閑 味だけではなく、その背後にある歴史やストーリーをセットで伝えていくこと、これに尽きると思います。現代のゲストは、ただおいしいお酒を求めているだけではありません。目の前にあるお酒がどのような背景で生まれ、どんな物語を持っているのかという「体験」を重視しています。これだけ溢れるスピリッツの中から選ばれるためには、歴史というかけがえのない資産をしっかりと共有することが必要です。ひとつひとつの銘柄の背景にある物語を丁寧に届けること。それが結果としてゲストの体験価値を高め、日本のスピリッツを世界中で愛されるスタンダードにしていくのだと確信しています。

プロフィール

Sam Morris(サム モリス)
サム・モリスさん。NY「Sip & Guzzle」ヘッドオブR&D、シニアバーテンダーとして、バリエーション豊かなドリンクのリサーチとドリンククリエーションを担う。ミシュランで星を獲得したレストランや著名なカクテルバーで10年以上の経験を持ち、カクテルイノベーションの最前線で活躍。

Victoria Garcia(ビクトリア ガルシア)
NY「Sip & Guzzle」シニアバーテンダー。複数のミシュラン星獲得店を輩出してきたシェフ、ジョン・フレイザーのもとで働き、その後、NYの名門バー「Employees Only」に所属。革新的なカクテル開発が高く評価され、2024年「NY Cocktail Expo」でBest Cocktail of the Yearを受賞。

後閑信吾(ごかんしんご)
SG Groupファウンダー。 今世界で最も注目されるバーテンダーの一人。 2012年世界最大規模のカクテルコンペティション「Bacardi Legacy」に米国代表として出場し、世界大会優勝。2017年、バー業界のアカデミー賞といわれる「Tales of the Cocktail」の「International Bartender of the Year」を受賞。「Asiaʼs 50 Best Bars」では、個人に贈られる最高賞「Bartender’s Bartender 2019」、「Industry Icon Award 2021」をそれぞれ受賞。英国誌が選出する「バー業界で最も影響力のある100人」に贈られる「BAR WORLD 100 2021」にてアジアトップとなる第4位となっている。


取材・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

日本発、北米・第1位のバー「Sip & Guzzle」が証明した新しいバーの価値 The SG Club 8周年!北米第1位に輝くNY「Sip & Guzzle」のバーテンダーが“里帰り”ゲストシフト
関連記事はこちら

PAGE TOP