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1500.07.16 Mon

SUNTORY【ROKU〈六〉&HAKU〈白〉】スペシャルインタビュー〈前編〉日本発、北米・第1位のバー
「Sip & Guzzle」が証明した
新しいバーの価値

BAR TIMES インタビュー

PR:サントリー株式会社

権威あるアワード「North America’s 50 Best Bars 2026」(主催:英William Reed社)第1位に輝いた、アメリカ・ニューヨーク「Sip & Guzzle(シップ&ガズル)」。ハイレベルなバーがひしめき、世界屈指の競争市場であるニューヨークを抱える北米で、オープンからわずか2年で北米ナンバーワンのバーに選ばれた。

「The SG CLUB」の姉妹店。北米ナンバーワンのバーに選ばれたニューヨーク「Sip & Guzzle(シップ&ガズル)」。

「Sip & Guzzle」は、2018年に東京・渋谷で開業した「The SG CLUB」の姉妹店であり、“続編”ともいうべきストーリーと世界観を宿している。日本発のバーが称賛された理由はどこにあるのか――SG Groupファウンダーの後閑信吾さん、「Sip & Guzzle」トップバーテンダーのサム モリスさん、ビクトリア ガルシアさんを迎え、受賞の裏側と彼らが目指すバーの未来について話を訊いた。

北米ナンバーワンに輝いたNY「Sip & Guzzle」の強みとは
NY「Sip & Guzzle」シニアバーテンダーのVictoria Garcia(ビクトリア ガルシア)さん(左)。SG Groupファウンダーの後閑信吾さん(中)。Sam Morris(サム・モリス)さん(右)はNY「Sip & Guzzle」ヘッドオブR&D、シニアバーテンダーとして、バリエーション豊かなドリンクのリサーチとクリエーションを担う。

——『North America’s 50 Best Bars 2026』第1位獲得という快挙。受賞の瞬間はどのようなお気持ちでしたか。

サム ものすごく自信をもって挑んでいたわけではなかったので、まさかナンバーワンだとは。信じられませんでした。でももちろん、その瞬間を目指して、私たちは努力を積み重ねてきました。カウントダウンが始まって、3位、2位……と発表されていくのに、自分たちの名前が呼ばれない。あれ、今年の審査員たちは私たちを忘れてる?なんて思っていました(笑)。そして、1位で呼ばれ、そのステージに自分たちが立てたということにとても驚きましたし、本当に素晴らしい瞬間でした。

ビクトリア まだ現実だと信じがたいというところがあります。当然、さまざまな努力と忍耐をもって歩んできたので、現段階で100%報われたわけではありませんが、こういった形で評価されたことに驚きましたし、本当に素晴らしい瞬間でした。受賞の場にいたスティーブ(・シュナイダー/後閑信吾さんと共に「Sip & Guzzle」オーナーバーテンダーを務める)や信吾、ほかの仲間たちも含め、みんなでその瞬間を味わえました。今もまだ、その驚きが消化しきれていませんが、みんなで築いてきたプロジェクトがここまで来たのか、という思いで満ちています。

後閑 僕は、今年はなにかありそうな気がしていました(笑)。本当は会場に行く予定はなかったのですが。ギリギリでフライトを予約したんです。振り返ってみれば、2014年に上海「Speak Low」を開店して以来、「50Best Bars」関連で多分60回以上の賞を頂いているものの、ナンバーワンには1度もなったことがありませんでした。微妙に届かない状態をずっと繰り返していたので、やっと届いた1位に感無量です。祝福のされ方も自分の気持ちも、その後の影響にしても、2位と1位はこうも違うんだとも感じました。普段はなるべくアワードを追わないようにしていますが、自分たちがいいと思うものをやり続けて、それが評価されたらやっぱりうれしいものですね。 

North America’s 50 Best Barsで第1位受賞の快挙。日本発のBarカルチャーが国際的に高く評価された象徴的な出来事。

——どんな点が評価されたと思いますか?

ビクトリア まずは、ホスピタリティの本質を追求する私たちのカルチャーではないでしょうか。そして、東京の「The SG Club」と同様に、落ち着いた雰囲気で「ちびちび(Sip)」味わえる空間と、カジュアルに「ごくごく(Guzzle)」飲める空間という、一晩で2つの異なる世界観を体験できる独自のコンセプトが両立している点にあると思います。これらがゲストや審査員に深く届いたことが、成功の鍵となったのだと思います。

サム 私にとっての最大の要因は、業界のアイコンともいうべきスティーブや信吾と一緒に働けることで、彼らの姿勢がもたらすとてもよい影響があったのだと思います。2人は対照的でありながら、とても似通ってもいる。自分たちのやることに真摯に向き合っているという事実があります。それを肌で感じて、“伝染”しているのだと思います。

後閑 ビクトリアが「私たちのカルチャー」という表現をしたけれど、たとえば、何かをスタッフに教えるときに、単なる作業手順ではなく、理由を合わせて伝えることを重視しています。これは、「Speak Low」をつくって以来、10年以上かけて築いてきた僕たちのグループのカルチャーです。日本の丁寧さや細やかさというベースに、ニューヨークのスタッフが持つ高い表現力やエネルギッシュな接客が融合して、とてもよい結果につながっているのだと思います。

なぜニューヨークで「Sip & Guzzle」をつくったのか

——NY「Sip & Guzzle」は、東京「The SG Club」を発展させたような印象があります。

後閑 実は2019年頃には、スティーブと一緒にニューヨークでバーを開こうという構想がありました。コロナや物件探しで時間を要してしまいました。その前の2018年には上海で、スティーブとコラボレーションしたバー「The Odd Coupleジ・オッド・カップル」を立ち上げています。私自身、ニューヨークで働いていた頃に「Employees Only」で活躍するスティーブを見て、「いつか一緒に店をやりたい」と思ったんです。「The SG Club」のコンセプトをニューヨークへ持ち込むのであれば、やはり、スティーブとやることに意味がありました。自分が影響を受けたものを、そのまま本人と形にするような感覚でした。ニューヨーク店では、「Sip」と「Guzzle」でバーテンダーも、使うツールも、トレーニング方法もまったく異なります。本当に2つの店がひとつの空間に入っているような構成です。そのコントラストは渋谷以上に際立っていると思います。

いま世界のバーシーンに求められる価値は「体験」にあり。コンセプトづくりと料理とのペアリングが鍵に

——世界のバーシーンで、どのような価値観が求められていると感じますか。

ビクトリア コンセプトづくり、あるいは単なる技術やカクテルの提供を超えたインスピレーションにあると思います。「Sip & Guzzle」の最大の魅力は、一晩でまったく異なる2つの体験ができるという独自のコンセプトです。バーテンダーやオーナーは、そのコンセプトを体現し、お客様に対して単なるドリンク以上の価値ある空間と体験を提供することに注力しています。

サム そうですね。現在のバーは、単に「カクテルバー」という枠組みだけでは不十分で、入店から始まる一貫したストーリー性が求められています。提供する側も、単なるドリンク提供を超えた体験の創造を重視しています。さらに提供価値を深めるためには、従来のスタイルに留まらず、食事とのペアリングや相乗効果の追求が不可欠です。ドリンクとフード双方の専門性を活かし、互いに高め合うようなメニュー開発を通じて、より層の厚い体験を提供することが今後の鍵となります。

後閑 たしかに。2013年にNYに「The Dead Rabbit(ザ・デッド・ラビット)」というバーができた頃から、業界のみんながコンセプトを意識するようになりました。以降、バーのコンセプトをつくり込んで自己表現を前面に打ち出すようになったんですね。それから10年以上経って、世界各国にもさまざまなコンセプトを持つバーが出てきました。その中に、料理とのペアリングだったり、シフトのコラボだったりがある。今はそのコンセプトと実際に提供しているドリンクや料理のバランスが取れているバーが評価されているのかなと思います。

後閑さんが掲げる新しい理念「バーをみんなのものに」

——後閑さんは、この先はどんなことを目指しているのでしょう?

後閑 最近、「バーをみんなのものに」「國酒を世界へ」という会社理念を持つようになりました。これまでは、どうすればよりよくなるか、どうすればSGの文化を体現できるかといったことを目指してきたのですが、その理由まで伝えてきてはいなかった。ちょっと哲学的になってしまうのですが、日々の生活のなかで、なぜこの仕事をしているのか、生きる理由とは……なんて、その意味がわからなくなる時があるものです。でも、ちゃんとした理由があれば、スタッフもついてくるし、モチベーションも保てる。「バーをみんなのものに」には、バー文化の魅力を広めることで、飲食業界の課題である人手不足の解消につながり、若い働き手を増やすことができる。それは日本経済を支える一助にもなりうる、という考えです。「國酒を世界へ」は、歴史ある日本のスピリッツを世界へ普及させて日本文化の継承に貢献すること。バーテンダーという仕事する上で、誇りにつながると思うのです。なので、具体的な数値やアワードを追うような目標はあまり持たず、理念を体現し続けることで、新しい価値やおもしろい展開が生まれることを目指しています。

プロフィール

Sam Morris(サム モリス)
サム・モリスさん。NY「Sip & Guzzle」ヘッドオブR&D、シニアバーテンダーとして、バリエーション豊かなドリンクのリサーチとドリンククリエーションを担う。ミシュランで星を獲得したレストランや著名なカクテルバーで10年以上の経験を持ち、カクテルイノベーションの最前線で活躍。

Victoria Garcia(ビクトリア ガルシア)
NY「Sip & Guzzle」シニアバーテンダー。複数のミシュラン星獲得店を輩出してきたシェフ、ジョン・フレイザーのもとで働き、その後、NYの名門バー「Employees Only」に所属。革新的なカクテル開発が高く評価され、2024年「NY Cocktail Expo」でBest Cocktail of the Yearを受賞。

後閑信吾(ごかんしんご)
SG Groupファウンダー。 今世界で最も注目されるバーテンダーの一人。 2012年世界最大規模のカクテルコンペティション「Bacardi Legacy」に米国代表として出場し、世界大会優勝。2017年、バー業界のアカデミー賞といわれる「Tales of the Cocktail」の「International Bartender of the Year」を受賞。「Asiaʼs 50 Best Bars」では、個人に贈られる最高賞「Bartender’s Bartender 2019」、「Industry Icon Award 2021」をそれぞれ受賞。英国誌が選出する「バー業界で最も影響力のある100人」に贈られる「BAR WORLD 100 2021」にてアジアトップとなる第4位となっている。


取材・文 沼 由美子  
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

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