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NEW2026.09.5 Sat

2026年10月、伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリーで個展「TIME WORN — 時間を纏う」を開催。同時期には東京・西麻布のCigar Club Tokyoにおいて、葉巻の木箱を再構成した〈Blocks〉シリーズ約8点を展示販売する。「葉巻の記憶を、バーの空間へ」 現代美術家・池田健が「シガーリボン」で再編集する葉巻文化

《Order in the Golden Silence》(黄金の静寂に宿る秩序)2026年、1,303 × 894 mm、Cigar Ribbon、Copper Rivet © Takeshi Ikeda

葉巻に巻かれた、ブランド名や紋章が印刷された小さな帯「シガーリボン」。葉巻から外された後、その役割を終えて捨てられていくシガーリボンを収集し、解体し、新しい構造へと再編集するアーティストがいる。東京を拠点に活動する現代美術家、池田健(Takeshi Ikeda)だ。池田は、シガーリボン、葉巻の木箱、銅鋲、金糸などを用いて、平面作品、立体作品、インスタレーションを制作している。2026年10月には、東京・伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリーにおいて、新作を発表する個展を開催する。また、池田は自身の作品を日本全国のシガーバー、ホテルバー、ラウンジなどで紹介する新たな展開を進めている。

ブランドの断片を、ひとつの構造へ

シガーリボンには、ブランド名、紋章、産地、書体、色彩など、それぞれのブランドが長い年月をかけて築いてきた歴史とアイデンティティーが凝縮されている。池田は、それらを単なる装飾素材としては扱わない。シガーリボンを一度解体し、切断し、編み、重ね、異なるブランド同士を接続する。さらに銅鋲や金糸、役割を終えた葉巻の木箱などを加え、格子、円環、反復による新しい構造をつくり出していく。それは、廃材を組み合わせる行為というよりも、断片化された歴史や文化を読み直す「編集行為」といえる。一つひとつのシガーリボンが持っていた固有の意味を残しながら、それらを新しい関係の中に配置することで、個々のブランドを超えた一つの作品へと再構築している。

葉巻の表面に隠れている歴史

ひとつの葉巻がつくられ、ブランドとして世界に流通するまでには、土地、農業、職人の技術、労働、交易、資本、制度、広告、そして愛好家たちが積み重ねてきた時間が存在する。私たちが普段、一つのブランドとして認識しているものも、実際には無数の人々の営みと記憶によって支えられている。池田の作品は、その美しい表面の背後にある歴史、交易、労働、文化的記憶を浮かび上がらせる。作品に残されているのは、葉巻から外されたリボンだけではない。葉巻とともに過ごした時間や、誰かとの会話、旅先の記憶、バーの空気など、目には見えない個人的な記憶もまた、作品の中に重ねられていく。

国内外に広がる収蔵と、ハバナでの常設展示
《BUJI》(無事) 2022年、3,000 × 3,000 mm、Cigar Ribbon ヴィフレド・ラム現代美術センター収蔵(ハバナ、キューバ) © Takeshi Ikeda

池田の作品は、葉巻文化の重要な源流であるキューバとも深い接点を持っている。2022年には、第14回ハバナ・ビエンナーレに参加し、3メートル四方の作品《BUJI》を発表した。キューバ・ハバナにあるヴィフレド・ラム現代美術センターには、池田の作品が収蔵されている。同センターは、キューバを代表する芸術家ヴィフレド・ラムの名を冠し、ハバナ・ビエンナーレをはじめ、キューバの現代美術を国内外へ発信してきた文化機関である。葉巻を起点として制作を続けてきた池田にとって、その作品がキューバの現代美術機関に収蔵されていることは、作品と素材の文化的源流との重要な接続を示している。また、香港や日本の事業家をはじめ、国内外の個人コレクターにも所蔵されている。

2025年(香港)Photo courtesy of the private collection Cesar Jazz Club(ハバナ、キューバ) 《Cartography of Ceremony – Prayers in Structure》(儀式の地図学 — 構造に宿る祈り)2025年、5,000 × 900 mm、Cigar Ribbon、Gold Thread Cesar Jazz Club常設展示(ハバナ、キューバ)

また、ハバナのCesar Jazz Clubには、全長約5メートルに及ぶ作品《Cartography of Ceremony – Prayers in Structure》が常設展示されている。無数のシガーリボンによって構築された同作品は、音楽、酒、食事、会話が交差する空間の中で、日々、世界各国から訪れる人々と向き合っている。美術館やギャラリーの白い壁から離れ、音楽や社交が実際に営まれている場所に作品が存在することは、池田の活動を象徴する一つの形でもある。

2026年1月には、北海道・ニセコで開催されたDon Julioの展示企画に参加し、シガーリボン作品とシガーボックス作品、計4点を展示した。世界各国から旅行者が訪れる国際的なリゾート地で、酒や食、滞在文化と共存する空間に作品を展開した。

シガーのある場所で生まれる、作品との出会い
《Ancient Capital》(古都)2022年、803 × 652 mm、Cigar Ribbon、Gold Thread、Copper Rivet Cigar Bar Gion SUI常設展示(京都・祇園) © Takeshi Ikeda

池田の作品は、ホワイトキューブと呼ばれる美術館やギャラリーの白い空間だけで成立するものではない。葉巻が選ばれ、火を入れられ、煙とともにゆっくりと時間が流れていくシガーバーは、この作品が生まれてきた文化と直接つながる場所でもある。バーを訪れる人は、必ずしも美術作品を見ることを目的としているわけではない。しかし、カウンターでグラスを傾け、葉巻をくゆらせる時間の中で、作品に使われている見覚えのあるブランドのリボンに気づくことがある。そこから、かつて吸った葉巻や、誰かと過ごした時間、旅先の風景が呼び起こされ、作品との対話が始まる。池田は、美術館やギャラリーとは異なる、こうした偶然の出会いに大きな可能性を感じている。

池田健 コメント

シガーバーは、お酒や葉巻を提供するだけの場所ではなく、文化や記憶が受け継がれていく場所だと考えています。作品の中に使われているブランドを見つけ、そこから過去に吸った葉巻や、誰かと過ごした時間を思い出していただく。作品が、その人自身の記憶とつながった時に、初めて作品が完成するのかもしれません。全国のシガーバーの皆さまとともに、葉巻文化を未来へ伝えていく、新しい展示の形をつくっていきたいと考えています。

2026年10月、伊勢丹新宿店で個展を開催
伊勢丹新宿店での個展に出展予定の〈Blocks〉シリーズ Cigar Box、Cigar Ribbon、Gold Thread、Copper Rivet © Takeshi Ikeda

池田健は2026年10月、伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリーにおいて、新作を発表する個展を開催する。会場では、シガーリボンによる平面作品を中心に、実際の葉巻木箱を再構成したシガーボックス作品や立体作品などを展示する予定だ。長い時間をかけて蓄積されてきたブランドの歴史、葉巻文化の記憶、職人の労働、人と人との関係。それらの断片を解体し、一つの新しい秩序へと再編集する池田の作品を、東京を代表する百貨店のアートギャラリーで紹介する。

西麻布・Cigar Club Tokyoでも同時期に〈Blocks〉シリーズを展示販売

2026年10月の伊勢丹新宿店での個展と同時期に、東京・西麻布のCigar Club Tokyoでは、葉巻の木箱を再構成した〈Blocks〉シリーズ約8点を展示販売する。

伊勢丹新宿店というアートギャラリーの空間と、実際に葉巻が楽しまれているシガークラブという二つの異なる場所で、池田の作品を同時に紹介する試みとなる。

葉巻を収め、役割を終えた木箱を解体・再構成して生まれる〈Blocks〉シリーズは、葉巻文化の記憶を素材そのものの内部に残しながら、新たな立体作品へと変換したものだ。シガーバーという本来の文化的文脈の中に作品を戻すことで、美術作品と葉巻文化との新しい関係を提示する。

Cigar Club Tokyo常設展示風景(東京・西麻布)
全国のシガーバーから、作品の展示・取扱いに関する相談受付を開始する。

2026年10月の伊勢丹新宿店での個展に向け、池田健の作品の展示・取扱いを希望する全国のシガーバー、シガークラブ、ホテルバー、ラウンジ、レストランなどからの相談を受け付ける。作品は、シガーリボンによるキャンバス作品のほか、実際の葉巻木箱を再構成した小型の立体作品など、店舗の広さや内装に応じた提案が可能となっている。常設展示、期間限定展示、店内イベントとの連動、作品販売など、取扱い方法については、それぞれの店舗と相談のうえ決定する。単に作品を壁に飾るのではなく、店舗が扱っているシガーブランド、空間の歴史、内装、顧客層などを踏まえ、それぞれの場所に適した展示方法を検討していく。シガーバーを作品の販売場所としてだけではなく、葉巻文化の記憶を伝え、次の世代へつないでいく文化的な場所として捉える試みである。

池田健 個展「TIME WORN — 時間を纏う」概要
会期 2026年10月7日(水)〜10月13日(火)
時間 午前10時〜午後8時[最終日午後4時終了]
在廊 会期中、作家全日在廊予定
会場 伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
展示作品 シガーリボンによる平面作品、シガーボックス作品、立体作品ほか
企画・協力 JPS Gallery
アーティストプロフィール

池田 健/Takeshi Ikeda
1979年生まれ。東京を拠点に活動する現代美術家。シガーリボン、葉巻木箱、銅鋲、金糸など、歴史や文化的背景を持つ素材を解体・再構成し、平面作品、立体作品、インスタレーションを制作している。キューバ・ハバナのヴィフレド・ラム現代美術センターに作品が収蔵されている。ハバナのCesar Jazz Clubには全長約5メートルの作品が、また、東京・西麻布のCigar Club Tokyo、恵比寿のBar Panacee、祇園のCigar Bar SUIなどに作品が常設展示されている。JPS Gallery所属。

作品展示・取扱いに関する問い合わせ

池田 健(いけだ たけし)
E-mail:ikedat0620@gmail.com
Instagram:@takeshy620
アーティスト情報:https://jpsgallery.com/artist/takeshi-ikeda/

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