
NEW2026.08.5 Wed
リキュールブランド「ボルス カクテルコンペティション2026」レポート「NEON Nights」をテーマに、
バブル時代の高揚感を色彩とストーリーで
表現した千原颯之輔さんが優勝
BAR TIMES レポート2026年7月12日、「ボルス カクテルコンペティション2026」日本大会決勝が東京・渋谷「TK NIGHTCLUB」で開催された。当大会のテーマは「NEON Nights(ネオン ナイツ)」。1990年代から2010年代の日本のナイトカルチャーやポップカルチャーから着想を得たオリジナルカクテルを創作し、ボルスのネオンカラーで表現するというもの。オンライン予選を勝ち抜いた8名のファイナリストが競い合った。
審査の結果、千原颯之輔さん(BAR GLUG CLUB/岡山)が優勝。優勝者には、オランダ・アムステルダムの「ハウス オブ ボルス」で開催される「ボルス カクテルフィーバー」への招待が贈られる。創造性と技術、個性が光るプレゼンテーションの模様をレポートする。
準優勝:鶴田裕太さん(左)、優勝:千原颯之輔さん(中央)、3位:髙木信弥さん(右)
450年以上の歴史を誇るオランダのリキュールブランド「ボルス」が、日本で7年ぶりに開催された本大会。2026年のテーマは「NEON Nights」。1990年代から2010年代をテーマに「見た瞬間に気分が高まる」カクテルが課題だ。
オンライン予選では、カクテルレシピ、コンセプト、時代性ならびにカクテル写真などを基に、「カクテルの味わい・香り」「独創性・革新性」「プレゼンテーション(見た目)」「ベースリキュールの表現」の評価で選考された。
日本大会決勝の会場となった「TK NIGHTCLUB」は、色鮮やかなネオンが空間を彩る渋谷屈指のナイトスポット。テーマの「NEON Nights」の世界観をそのまま体現するロケーションとして選ばれ、ステージ上では8名のファイナリストが、それぞれの時代背景やストーリーをカクテルで表現した。
審査員は、上野秀嗣さん(一般社団法人日本バーテンダー協会会長、東京・銀座「BAR HIGH FIVE」オーナーバーテンダー)、高野勝矢さん(一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会副会長、京王プラザホテル料飲部統括支配人)、中村美保子さん(アサヒビール株式会社マーケティング本部 High-Value & International Brands部次長)、本国より来日したアイバーさん(ルーカスボルス グローバル・エデュケーション&エンゲージメント・ディレクター)が務めた。
優勝を手にしたのは、今回初めてコンペティションに挑んだという千原颯之輔さんだ。カクテルのコンセプトもプレゼンテーションも極めて独創的。独自の世界観をつくりだした。
優勝 千原颯之輔さん(BAR GLUG CLUB/岡山):地元・岡山「トロワバー」でバーテンダーのキャリアをスタートし、オーストラリアのレストランバーで経験を積む。帰国後、広島・尾道の複合施設「ONOMICHI U2」で料飲部門のバーテンダーを務め、2024年に自身のバー、岡山「BAR GLUG CLUB」を開く。
カクテル「Where is my tie?」:BOLS メロン、BOLS ブルー、緑茶「颯」、フレッシュグレープフルーツジュース、The Japanese bitters 桜を合わせ、仕上げにダークラム(7年熟成)をフロート。ひと口目はフロートされたラムをグビッと飲むことで「ショットカクテル」のような力強さが愉しめ、その後はメロンと茶割りが重なるエモーショナルな味わいへと変化する。
コンセプトは、90年代のネオンが輝く繁華街で見られた「ネクタイを頭に巻いて楽しむサラリーマン」のナイトシーンを原風景とした。
「週末の夜になると、仕事を終えたサラリーマンたちが仲間と共に酒を酌み交わし、気づけば誰かが頭にネクタイを巻いて大声で笑っている。彼らは巻いたネクタイの存在を忘れ、最終的にこんなことを言い出すのです。『あれ?俺のネクタイどこ?』”Where is my tie?”。このカクテルはマイタイへの敬意であり、日本の茶割り文化への新しい提案であり、そして90年代、日本を支えてくれたあのサラリーマンたちへのラブレターです」
ティキ・カクテルの代表作「マイタイ」と、日本の「茶割り文化」を融合させた言葉遊びから命名した。90年代にペットボトル緑茶が普及したことで定着した「茶割り文化」を通して、当時の飲酒文化を再解釈する。
本来、マイタイはシェイクでつくるが、泡立ちの良い素材の色彩を最大限に活かすため、グラス内で直接混ぜる「ビルド」を採用。
提供時には、飾られたネクタイを模したグレープフルーツのピールを、飲み手自身がひねって飾り直してもらう。これにより、サラリーマンがネクタイを頭に巻き直す開放感を疑似体験できるというものだ。
千原さんは、受賞後、次のように喜びを語った。
「初めてのカクテル大会での優勝、率直に嬉しいです。大会への参加を決めた当初は、自分の名誉のためにといったところがありましたが、大会のコンセプト『NEON Nights』に向き合い、カクテル『Where is my tie?』が生まれた時、この面白いカクテルを皆に知ってほしいという思いに変わりました。こだわったのは、時代背景を捉えた『リアリティ』と、さまざまな場所で気軽に楽しめる『再現性』です。あらためてボルスと向き合い、そのおいしさと素晴らしい既製品をしっかり活かしていく大切さに気づかされました。いつも支えてくれている妻や常連の皆様、送り出してくれた地元の皆様に心から感謝します」
優勝した千原颯之輔さんは、日本代表としてオランダ・アムステルダムで2026年9月に開催される「ボルス カクテルフィーバー」に招待される予定だ。現地では世界各国のバーテンダーとの交流やプログラムへの参加が予定されている。
準優勝に鶴田裕太さん(COLORSOL QUALIA/東京)、3位に髙木信弥さん(ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 スカイギャラリーラウンジ レヴィータ/東京)が入賞を果たした。
鶴田さんは、自身がDJとして体感した「2010年代のナイトカルチャーとネオンがもたらす高揚感」をテーマにしたカクテル「Neon Anthem(ネオンアンセム)」を披露。ボルスの哲学である不変の品質への敬意を込め、世界中どこでも再現可能で、人々の心をひとつにする1杯を完成させた。
鶴田さんは大会を振り返り、次のように語った。
「勝負事なので悔しさと喜びが半々ですが、ホッとした気持ちもあります。大会に向けては、絶対に手が震えると思っていたので、反復練習をとにかく重ねました。大会の収穫として、農業大国オランダで450年以上もの歴史をもつボルスの魅力を、果実感やおいしさだけでなく、歴史やブランドストーリーも含めてお客様に伝える大切さを学べました」
準優勝 鶴田裕太さん(COLORSOL QUALIA/東京)
カクテル「Neon Anthem」:BOLSパッションフルーツを中心に、クエルボ1800レポサド、ウェルチ ピンクグレープフルーツ、フレッシュレモン、フィーバーツリープレミアムトニックウォーターなど計5つの素材をネオンの輝きに見立ててブレンドし、会場の観客と一体となる演出でシェイクした。仕上げにスペアミントを飾る。
高木さんは、「2000年代のクラブカルチャーや音楽がもたらす人と人とのつながり、エネルギー」をテーマにしたカクテルを披露。入賞について、次のようにコメントした。
「悔しさもありますが、初めての入賞の喜びと驚きが入り混ざった気持ちです。今大会のコンセプトに合わせ、数あるボルスのリキュールからどれが合うかを試行錯誤しました。大好きなエルダーフラワーをはじめ、素材の組み合わせを試した時間が一番の財産です。ボルスの種類の豊富さと可能性を身に染みて実感しました」
3位 髙木 信弥さん(ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 スカイギャラリーラウンジ レヴィータ/東京)
カクテル「Glow Line」:BOLSジュネヴァの力強い芯の味わいをベースに、幻想的な光を表現するBOLSエルダーフラワーとポップカルチャーを象徴するBOLSマンゴーなどをブレンド。グラスにはにじむネオンの光をイメージしたデコレーションと、一体感を表すハート型のドライマンゴーを飾り、視覚・味覚・嗅覚のすべてで夜の街の熱量を表現。
ファイナリストたちは、ボルスの多彩なラインアップを巧みに活かしながら、それぞれに個性が際立つプレゼンテーションを展開。ボルスが掲げる「創造性」と「ストーリー」を体現した本大会は、バーテンダー一人ひとりの表現力、ボルスというブランドの可能性を強く印象づける一日となった。
杉本 聖之さん(BAR,C/東京) カクテル「Neon Overdrive」
子供時代のメロンクリームソーダのワクワク感と、大人になって知ったクラブの夜の高揚感という、自身の心を加速させる2つの記憶を交差させたカクテルを披露。BOLSメロン、BOLSライチ、BOLSブルーキュラソーを重ねる。アイスクリームをのせ、溶けていくことで味わいへの変化も愉しめるように仕立てた。
武田 冬馬(Benesse House/香川) カクテル「Neon I Never Knew」
1994年生まれのバーテンダーが、自身が見たことのない「90年代の夜の記憶や空気感」をBOLSブルーとBOLSパルフェタムールを合わせて表現。カセットテープをモチーフにしたコースターと共に、それぞれの90年代を再生するように愉しむ1杯として提供した。
生井 竜太(Tenderly/東京) カクテル「Sjanter」
「90年代のネオンの夜」と「携帯電話のない時代における偶然の出会い」をテーマにしたカクテル「Sjanter (シャンター)」を創作。夜の街の出会いや情熱をBOLSラズベリーとクランベリージュースで、大人の余裕をBOLSエルダーフラワーで、そして二度と会えないかもしれないほろ苦い余韻をBOLSコーヒーで描写。
松岡 成龍(CITADEL/福岡) カクテル「Neo “N” Neon」
2000年代のナイトカルチャーや音楽、ストリートカルチャーがテーマ。当時の多様で奇抜な個性の混在を表現するべく、BOLSブルーキュラソーやBOLSパッションフルーツなどのフルーティーな甘さに、当時の日本ではまだ一般的ではなかったメスカルやフレッシュミントを組み合わせ、当時のメンソールタバコを想起させるスモーキーな清涼感をプラス。宇多田ヒカルの曲に合わせ、新旧が融合した「ネオ」な1杯に仕上げた。
水野 尭介(盤天/東京) カクテル「Shibuya Blush」
輝く渋谷の夜の象徴として「平成ギャル可愛い」カルチャーを連想。BOLSライチに、BOLSエルダーフラワーやBOLSピンクグレープフルーツを加え、クランベリージュースと日本人に馴染み深いカルピスを組み合わせる。仕上げに食用ラメを加えてビジュアルをブラッシュアップ。
インタビュー・文 沼由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
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