
NEW2026.07.1 Wed
モナン・カクテルコンペティション「MONIN Cup Japan 2026」レポート“時代を越えるカクテルツイスト”をテーマに徳山幸恵さんが優勝。アジア大会出場へ
BAR TIMES レポートPR:日仏貿易株式会社
2026年6月17日、東京・渋谷で「MONIN Cup Japan 2026」が開催された。フランス生まれのノンアルコールシロップブランド「MONIN(モナン)」を使用したカクテルコンペティションだ。
見事、優勝に輝いたのは、徳山幸恵さん(東京エディション虎ノ門 Lobby Bar/東京)。準優勝は清水砂甫さん(ニューオータニ大阪/大阪)、3位は大石清地さん(THE HISAKA/東京)となった。会場を熱気に包んだ若きバーテンダーたちの挑戦とオリジナルカクテルをレポートする。
徳山さんは日本代表として、2026年9月23日にアジア大会「MONIN Cup Asia-Pacific」(マレーシア)へ挑む。さらにその先、12月8〜9日には世界大会「MONIN Cup Global Finals」(フランス)が待ち構えている。その意気込みも訊いた。
日仏貿易株式会社が主催する「MONIN Cup Japan」は、ノンアルコールシロップブランド「MONIN(モナン)」を使ってオリジナルカクテルを創作して競うコンペティションだ。2002年にスタートし、今年で11回目を迎えた。対象は27歳以下のバーテンダーおよび飲食業従事者で、オリジナルカクテルの創造性や技術力に加え、プレゼンテーション力や表現力も審査される。
2026年のテーマは”TIMELESS TWISTS”。伝統的なカクテルやバーテンディング、技法への敬意を払いながら、未来へとつながる1杯を創作することが求められた。さらに、プレゼンテーションはすべて英語というルールが設けられた。
当日は、書類選考と動画選考を経て選出された12名が日本大会セミファイナリストとして出場。セミファイナルを勝ち抜いた6名が同会場で行われるファイナルへ進出し、その場で発表される課題と材料をもとに、30分以内にオリジナルカクテルを創作し、プレゼンテーションを経てトップ3が選出される。緊張感あふれる熱戦を繰り広げた。
審査員は、MONIN Middle Eastのビバレッジ・エキスパートであるNana Sechere氏、日本のモダンカクテルシーンを牽引する存在として知られ、「Bar TRENCH」(東京)の共同オーナー兼ディレクターを務めるロジェリオ 五十嵐 ヴァズ氏、Asia’s 50 Best Barsに6年連続ノミネートする「Bee’s Knees」(京都)や「Jeremiah Tokyo」(東京)、フレアバーテンダーのチャンピオンを排出する「Newjack」など3店舗を統括する代表バーテンダーの山本圭介氏といったバーシーンで大きな存在感を表す3名が務めた。
優勝した徳山幸恵(とくやまさちえ)さん(東京エディション虎ノ門 Lobby Bar/東京)
優勝したのは、カクテル名「Blend Beyond」でファイナルに進出した徳山幸恵さん(東京エディション虎ノ門 Lobby Bar/東京)。発表直後、徳山さんは喜びと感謝の気持ちを次のように語った。
「今はまだ信じられない気持ちです。ここまで指導してくださった職場の先輩やメンターへの感謝でいっぱいです。大会に向けては、営業後に練習を重ねました。カクテルづくりもプレゼンテーションも、一貫性を意識して世界観をつくり込みました。大会の審査員もゲストと捉え、日頃のホスピタリティを示すことを大切に本番に臨みました」
ファイナルでは、進出者6人に、その場でカクテルをつくるための食材が入った「ミステリーボックス」が渡され、30分で即興のオリジナルカクテルを創作する課題に挑んだ。
「ミステリーボックスには、お茶漬けのもとやコリアンダー、ポンジュースなど、本当に予想もしていなかったアイテムが入っていて、とても驚きました。ただ、大会前に周囲の方々にサポートいただきながら即興課題の練習をしていたので、それぞれの素材をつなぎ合わせながらカクテルとして形にすることができました」
即興で創作したカクテルの名前は、「希望の炎」「希望を燃え立たせる」を意味する「The Ignite of Hope」。これまで積み重ねてきた経験を思いきり出し切り、次のステージにつなげたいという思いを込めた。
「悔いのないよう持っているものすべて出し切ってしまえ、という思いを込めてカクテルを考えました。この大会に向けてモナンのシロップと深く向き合う中であらためて気づいたのは、本当に多彩なフレーバーが揃っていて、単体では個性が強く感じられるシロップも、カクテルにすることでお酒の魅力を引き立ててくれること。それは、バーテンダーの道を歩んでいく私にとって非常に大きな発見でもありました。次のアジア大会、世界大会に向けては、ここまで支えてくださった方々への感謝を忘れずに、地道な努力を積み重ねながら挑戦していきます」
【セミファイナル創作カクテル】Blend Beyond(写真左)モナンの誕生年と同年に完成した大阪「通天閣」を引き合いに出し、両者が異なる文化を混ぜ合うことで発展してきたと説く。『モナン フラワーブロッサム・シロップ』に、大阪の地酒の旨味と、昆布をインフューズしたカルヴァドスの熟成感を合わせる。凍結濃縮八朔ジュースで、時代を越えて洗練し続ける軌跡を表現。【ファイナル創作カクテル】The Ignite of Hope(写真右)セミファイナルのカクテル名でもある「Blend Beyond」(異なる要素を組み合わせることで新しい価値を創造すること)を大切に、モヒートとダイキリという2つのクラシックカクテルを融合。ホワイトラムをベースとし、『モナン カシス・シロップ』、塩ポン酢、ミントを加えてシェイク。
徳山幸恵(とくやまさちえ)さん(東京エディション虎ノ門 Lobby Bar/東京)プロフィール
大阪府出身。大学進学のため上京。大学卒業後、一般企業に入社するが「国際的な環境で働いてみたい」という思いから転職し、2025年「東京エディション虎ノ門」入社。自ら希望して「Lobby Bar」配属となり、バーテンダーの一歩を踏み出した。
準優勝の清水砂甫さん(ニューオータニ大阪/大阪)「ニューオータニ大阪」のバーでアルバイトをしたことをきっかけにバーテンダーの道を目指し、同ホテルへ入社。2020年よりバーテンダーとなる。【セミファイナル創作カクテル】Naniwa Fruition:大阪の農業をフィーチャー。大阪産ブドウを軸に、伝統農産物の境鷹の爪をシロップにして味に奥行きを出し、『モナン うめプラム・シロップ』の梅の香りで大阪の風土を表現。堅実に育まれ、実を結ぶ農産物のように、”積み重ねた努力が実る明日”への願いを込める。
「大会に向けて、モナンのシロップ全種類をテイスティングして、それぞれの特徴を把握し、どのように生かせるかを突き詰めました。大会に出ることが決まってからは、英語についても毎日欠かさず触れてきました。アジア大会を目指して出場したのでとても悔しい気持ちがあります。ファイナルの「ミステリーボックス」の課題については、ベースにするスピリッツにこだわりを持たず、練習を重ねていました。あらためてモナンのシロップについて感じたのは、素材そのものを感じられるシロップで、1種類ごとに本物の素材の特徴が出ていること。たとえば、グレナデンのシロップなどは酸味がしっかり効いていたり、梨のシロップはリアルに和梨の香りがしたり。ファイナルで使ったアップルパイのシロップは、リンゴの香りとシナモン、そしてバターという風味が重なり合っていてまさにアップルパイそのもの。素材をどうやって活かすかを見極めてつくられているシロップなんだと、あらためて感じました」
第3位の大石清地さん(THE HISAKA/東京)大学に通って政治・経済を学びながら、「THE HISAKA」(高田馬場)でバーテンダーの経験を積んでいる。2024年には半年間の休学期間を設け、「稲とアガベ」(秋田県男鹿市)にて4ヶ月間酒類製造に従事。「Moon Shine Cocktail Competition 2025」バーテンダー部門優勝。【セミファイナル創作カクテル】Walking Through Time:モナンが誕生した20世紀初頭にフランスで誕生したカクテル、ブールヴァルディエをツイストし、ノンアルコールで表現する。『モナン ビターシロップ』を軸に複数のシロップを組み合わせることで複雑な味わいを、日本の伝統食の葛・茶・柚子胡椒で重さと刺激を演出。
「世界大会まで視野に入れていたので、かなり悔しいですね。今大会のプレゼンテーションはすべて英語で、私は海外経験もなければ、英語が得意なわけでもないので、大会前の練習では英語に力を入れました。特に原稿づくりの部分です。日本語のプレゼンテーションは、わりと得意という自負はあったので、英語でもなるべくいいパフォーマンスができるよう意識しました。”TIMELESS TWISTS”というテーマに関しては、一番向いているカクテルを選ぼうと考えてブールヴァルディエにたどり着きました。そういったコンセプトの組み方はとても慎重に考えましたね。これまでもモナンのシロップは、フレーバーの種類がかなり多く、主役にもなれるし、脇役として何かを引き立たせてあげることもできるところがすごくいいと思っていました。今大会は、ノンアルコールカクテルを考案したのですが、モナンシロップを主軸に、飲みごたえのある味わいにできる要素が大いにあることを実感しました」
ファイナルに進出した6名のファイナリストたち。徳山さん、清水さん、大石さんのほか3名のセミファイナル創作カクテルとその意図を紹介しよう。(以下、五十音順)

Kim Taewooさん(Bar Charger/福岡)
【セミファイナル創作カクテル】Archive:時代を超え、さまざまな形で受け継がれてきた記録にインスピレーションを得る。古くから人々に記録を残すきっかけを与えてきた桜の開花を、『モナン さくら・シロップ』で表現。古くから日本人の記憶に寄り添ってきた香りとして柚子を取り入れ、韓国の王の時代から記録と共に受け継がれてきた伝統的な飲み物として、麦芽やご飯、生姜などでつくるシッケを合わせ、時の流れを表現。

田沼七海さん(サンクチュアリコート日光/栃木)
【セミファイナル創作カクテル】Everlasting Word:1912年創業のモナン社と、禁酒法時代に生まれたカクテル、ラストワードへの敬意を込める1杯を創作。粗悪なスピリッツの味わいを隠すために使われていた当時のシロップの使い方から脱却し、高品質なスピリッツの個性を引き出し、味わいを完成させるアイテムとしてシロップを活用。「最後の1杯」から「永く続く1杯」へ。『モナン アジアンレモングラス・シロップ』『モナン チェリー・シロップ』『モナン ビター・シロップ』を合わせ、奥深いフレーバーに。

山口和也さん(ISTA COFFEE ELEMENTS/大阪)
【セミファイナル創作カクテル】A-Side Martinez:主流の陰に置かれた甘いマティーニ「マルティネス」を再構築する。マラスキーノリキュールに『モナン 洋ナシ・シロップ』『モナン ローズ・シロップ』を合わせて「アロマティックマラスキーノ」や、白ワインとハイビスカスティー、スパイスを合わせたベルモットを自家製。ワイニーな厚みとマラスキーノの核香を活かしつつ、酸の不足で甘さが平たく残る弱点をモナンの香り設計で解決する。洋ナシとローズで芳香を磨き、ハイビスカスとレモンで締める。
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の”つまみ”と晣酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
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