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1999.02.17 Wed

創業当時の伝統製法を守り革新を遂げる蒸溜所ベンリアック蒸溜所

SPEYSIDE SINGLE MALT WHISKY

ベンリアック蒸溜所は一見すると無骨で地味な蒸溜所に見えますが、ベンリアックウイスキーのすべてが詰まった特別な場所です。創業時から絶えずフレーバー(味わい)の可能性を追求し続け、数多くの賞を受賞しながらも“探求に終わりはない”と、ここで働く人々は言います。

 
ベンリアック蒸溜所の成り立ち
ベンリアック蒸溜所は、ウイスキー起業家であったジョン・ダフ氏によって1898年に設立されました。1890年代はスコットランド全土で33もの新しい蒸溜所が誕生し、ウイスキー産業が活況を呈した時代でした。
国内外で様々なウイスキー蒸溜所を立ち上げてきたジョンは、新しい蒸溜所を建設するならスペイサイド北部の旧「リアック」農場跡地の小高い丘「ベン」が最適と判断しました。こうして、ベンリアックが誕生したのです。

独自製法と立たされた苦境
ベンリアックでは、フロアモルティングを行い、伝統的なアンピーテッドのほかスペイサイドではめずらしいハイランド産ピートの原酒をつくるなど、独自の製法で原酒づくりを行っていました。
しかし、1900年に起こったパティソン・クラッシュによってウイスキー業界全体が苦境に立たされ、多くの蒸溜所が閉鎖する事態に。ベンリアック蒸溜所も例外ではなく、わずか2年間の稼働で閉鎖してしまいました。パティソン・クラッシュとは、パティソンウイスキーを販売していたパティソン社が倒産したことで次々と関連会社が潰れてしまった事件です。

60年の時を経て蒸溜所が再開
時は流れ1960年、アメリカを中心に世界的にスコッチウイスキーの需要が高まり、ウイスキー産業は再び好況期を迎えます。この間、多くの蒸溜所が新設され、休止していた蒸溜所も全面的に再開されました。ベンリアックも創業当初の特徴や個性をそのままに再建。実に60年の時を経て再びスチルを稼働させたのです。

ブレンド用からシングルモルトへ。新たな歴史の幕開け
ベンリアックの原酒は、主にブレンド用として使用されていましたが、1994年に初めて10年物のシングルモルトとして発売されました。少量生産であったにもかかわらず、ベンリアックのフラッグシップ『シングルモルト10年』としての歴史がここから始まりました。

マスターブレンダーの存在と世界的酒類品評会での受賞
2017年には、世界的に著名なマスターブレンダーの一人、レイチェル・バリー博士がマスターブレンダーに就任。レイチェルの経験豊富な技術で、ベンリアックは伝統を守りつつ、革新的な原酒づくりに挑戦し続けています。2021年には多くの製品が世界的な酒類品評会であるSWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツコンペティション)で受賞するなど、ベンリアックが追求し続けたフレーバーの可能性が、今評価されています。
 


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