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2019.12.24 Tue

特集企画 カクテル・ルネッサンス第七回 「オリンピック」

取材協力 Bar 柿沼(神楽坂)

禁酒法時代にまで遡るアメリカのカクテル黄金期。その時代に生まれ、長く忘れ去られていたカクテルに、現代の素材と技術で新しい息吹を吹き込む「カクテル・ルネッサンス」。いつもは[The World’s Best-Selling Classic Cocktails 2019]でベスト50に選ばれたクラシックカクテルをご紹介していますが、今回は特別編として、カクテル『オリンピック』にフィーチャーします。来年のオリンピックイヤーを目前に、にわかに注目を集めているコニャックをベースとしたカクテルです。これからさらに話題を集めるであろう『オリンピック』の魅力を Bar 柿沼(神楽坂)の柿沼辰弥さんに語っていただきました。


1924年、第8回パリオリンピックを機に
ホテル・リッツで誕生した由緒あるカクテル

『オリンピック』は、1924年にパリで開催された第8回オリンピックの際、パリの有名ホテル・リッツのチーフバーテンダー、フランク・ヴェルマイヤー氏が考案したとされています*。オレンジキュラソーのほろ苦さとオレンジジュースのフレッシュな甘みがブランデーの芳醇な香味を引き立てます。

※出典/新バーテンダーズマニュアルより



ヘネシー V.S をベースにしたカクテル「オリンピック」。フレッシュオレンジジュースのフルーティーさとオレンジキュラソーの甘さがヘネシーV.Sの味わいをより引き立てる。


柿沼さんの思うオリンピックの魅力は
どのような点にありますか。

「何と言っても飲みやすさにあると思います。同じブランデーベースのカクテル『サイドカー』に比べ、ブランデー、オレンジキュラソー、オレンジジュースの分量が同量なので甘くフルーティーな味わいがとても心地いいですね。それほど認知度の高いカクテルではありませんが、その口当たりの良さから、当店では圧倒的に女性のお客様からのオーダーが多い印象です。また、このカクテルの歴史を紐解くと、1924年に開かれたパリオリンピックを記念して誕生したという記述があります。2024年のオリンピック開催地はパリですから、誕生からちょうど100年にあたります。来年の東京オリンピック、5年後のパリオリンピックに向けて、ますます人気のカクテルにしてきたいですね。」

ヘネシーV.Sはカクテルベースにする際
どのような魅力を発揮するブランデーですか。

「ブランデーベースのカクテルはいろいろとありますが、シェークしても伸びない腰の強さを持つのはヘネシーV.Sが一番だと感じます。僕は、割りと強く長めにシェークするんですが、それでもバランスが崩れることはないですね。以前、数種類のブランデーを集めてサイドカーを試作してみましたが、他のものはやはり味がぼやけてしまうんです。ですから、ヘネシーV.Sのこの腰の強さは、カクテルベースとして非常に使いやすいですね。それに、バニラやチョコレートなど相性の良いビターズをほんの数量加えるだけで、特徴的なバニラ香をさらに生かすことができます。ヘネシーV.Sの多彩なアロマは副材料とミックスしても感じられる、そこが大きな魅力だと思います。」


柿沼 辰弥(かきぬま たつや)
浦和『barSAKAMOTO』神楽坂『Jug』などを経て独立。ヘネシー カクテルコンペティション2019 V.S部門 優勝。横濱インターナショナルカクテルコンペティション2017 クラシック部門グランプリ。



ほうじ茶をインフュージョンしたBar 柿沼オリジナル オリンピック。「オリンピックはレシピがシンプルで、どのバーでもつくれます。そういう意味では普及性の高いカクテルですね。」と柿沼さん。


柿沼さんオリジナルのオリンピックは
どのような特徴がありますか。

「ヘネシーV.Sの持つバニラのエッセンスは、お茶ととても相性がいいんです。紅茶との組み合わせはよくありますが、以前とあるバーで抹茶と合わせたカクテルをいただいたことがあって、非常に美味しかったことを覚えています。それで僕もお茶で挑戦しようと、和素材であるほうじ茶をチョイスしました。実はもうひとつ、ほうじ茶を選んだ理由として、先日アイスクリームショップで食べた『ほうじ茶アイス』がヒントになりました。“ほうじ茶とバニラは合う!”って(笑)。ヘネシーV.Sにほうじ茶をインフュージョンしていますが、漬込み時間についても試作を繰り返し、ブランデーの味わいを邪魔せず、ほんのりと茶葉の苦味を感じる4時間に設定しました。また、スタンダードなレシピにはないカルダモンのビターズを数的加えることで、味わいに厚みを出しています。最後に添えたマラスキーノチェリーは、来年のオリンピックが東京ということもあって、日の丸をイメージしています(笑)。新しいスタイルのオリンピックとして、僕のイメージする味わいに仕上がっていると思います。」

これからオリンピックのカクテルを
どのようにお客様へおすすめしていきたいですか。

「先ほども申し上げたように、オリンピックは甘さとフルーティーさが特徴です。ですから、お食事を済ませたお客様に食後酒としてぜひおすすめしたいですね。特にブランデーカクテルをまだ飲んだことのない方なら、誕生ストーリーや味わいの特徴などをご説明すれば、さらに興味を持って楽しく飲んでいただけると思います。また、ここ最近ブランデー好きのお客様が増えたと感じます。“ウイスキーはこれまでいろいろ飲んで来たから”と、一周した感じなのでしょうか。当店でもサイドカーやアレキサンダー、シャンゼリゼは特に人気のあるメニューです。その人気メニューにオリンピックも名を連ねられるよう、2024年のパリオリンピックに向け、店の看板となる『100周年オリンピックカクテル』をつくってみたいと今から構想をねっています(笑)。でもまずは、来年の東京オリンピックまでに、このカクテルを普及させることが先ですね。」


Bar 柿沼 オリジナル オリンピック


[レシピ]
・ヘネシー V.S/30ml(ほうじ茶インフュージョン)
・オレンジキュラソー/30ml
・フレッシュオレンジジュース/30ml
・カルダモンビターズ/3dash

[つくり方]
すべての材料をシェークして、カクテルグラスに注ぐ。


オリンピック


[レシピ]
・ヘネシー V.S/30ml
・オレンジキュラソー/30ml
・フレッシュオレンジジュース/30ml

[つくり方]
すべての材料をシェークして、カクテルグラスに注ぐ。


   

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