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2019.06.28 Fri

『トークン・ビターズ カクテルコンテスト』チャンピオン 大場健志氏インタビュー4種のビターズが見事に調和する
茶道を取り入れた和のカクテル『枯淡』

BAR TIMES 編集部

2019年5月8日、東京港区のカナダ大使館で「トークン・ビターズ カクテルコンテスト」が初開催された。ビターズにフォーカスを当てた他に類を見ない大会で見事グランプリに輝いたのは、大場健志氏の『枯淡(こたん)』。通常、カクテルの味わいを引き締める役割として使われることの多いビターズを、どのように考え、使い、引き立てていったのかを聞いた。
(撮影場所/bar cacoi)


ビターズが主役か脇を固める役割りか。
トークン・ビターズの世界観がその答えを導いた。

ビターズは、うちのバーでもたくさん種類を揃えていて、よく使っています。3月に『トークン・ビターズ』が日本で発売されたのもチェックしていて、その流れでコンテストの存在を知りました。ビターズをテーマとした大会は、私の知る限りでは初めて。「おもしろそうだな」という好奇心から応募してみることにしました。カクテルコンテストにチャレンジしたのは今回で2回目。興味があったから挑戦してみたのですが、いざカクテルを創作してみると、ビターズを主役にした方がいいのか、味をまとめる存在に留めた方がいいのか、その難しさにかなり迷いました。まずは試作に取り掛かってみたら、トークン・ビターズにある独自の世界観が、その答えを導いてくれました。

繊細な香りとおだやかな味わい。
全種類をブレンドすることで生まれる見事な調和。

トークン・ビターズを開けてみると、香りが繊細で味わいもおだやかなことに驚きました。通常のビターズよりも、味わいがやさしいので、たっぷり使ってもカクテルのバランスが崩れない。それどころか別のフレーバー同士をブレンドしても、トップノート、中盤のスパイシーさ、フィニッシュとそれぞれが役割を担っているところがおもしろかったですね。私は7年ほど茶道を習っていることから、和のカクテルで試作をしていたのですが、ビターズ同士の相性がいいことから茶碗のなかでブレンドすることを考えました。単品よりも、むしろ何種類か使ったほうが調和した良さが出ると思ったんです。結果的に、4種類すべてを使っていますが、最初に受けた香りと味わいのインスピレーションを、そのままカクテルに落とし込んだら必然的にこうなったわけです。

『枯淡』は茶道とオールドファッションドの融合。
抹茶とビターズで甘くクリーミーな味わいに。

『枯淡』は、ビターズを使った代表的なカクテル、オールドファッションドをベースにしています。そこに、茶道のエッセンスを取り入れ、ビターズに抹茶を加えて茶筅で点てたものです。このカクテルは、私なりのオールドファッションドの再解釈。“時を経て、あっさりしていながら趣があるもの”という意味を持つ『枯淡』と名付けました。枯淡には、「ホワイト ラベンダー」をもっとも多く使っていますが、「カルダー チャイ」や「ストラスコナ オレンジ」も同様に香りや味わいがやわらかく、主張しすぎないので、すべてが見事に調和します。抹茶と合わせることで、不思議とホワイトチョコレートを思わせる甘くクリーミーな味わいになるんです。抹茶のカクテルなので、辛みのある八つ橋を茶請けにし、そこに「リッチー チェリー」をたらしました。さまざまな香りや味わいが、順番にハーモニーを描いているのを楽しんでいただけると思います。

一般的なビターズは、カクテルのアクセントに点として打つように使いますが、『トークン・ビターズ』は料理でいうスパイスよりソースの感覚。通常の営業でも、重宝しています。例えば、「カルダー チャイ」はスモーキーなウイスキーに入れると紅茶やハーブのニュアンスが加わってやわらかさがでます。フルーツカクテルにブラックペッパー風味の「ストラスコナ オレンジ」を入れるとフルーティーさが際立ちますし、モスコミュールのような刺激的なカクテルにも表情がでる。使うことで、味わいに広がりが出るので、新しい価値を感じてもらえるカクテルにできると思います。


普段の営業でもトークン・ビターズを愛用しているという大場氏。「冬の季節は、ホットカクテルと合わせてもおいしいと思います。幅広く使えるのがいいですね」と。


優勝カクテルの『枯淡』。抹茶とビターズを茶筅で合わせた温かいカクテル。茶請けの八つ橋にも「リッチー チェリー」のトークン・ビターズをひと振りしている。

カナダへの旅を日本文化を発信する夢の一歩にしたい。

今回のグランプリ獲得で、この夏は『トークン・ビターズ』の生まれ故郷である、カナダのアルバータ州エドモントンを訪れることになりました。ビターズ造りの工程を見学できるだけでなく、自分が考えた素材でオリジナルのビターズを造れるかもしれません。今から、どんなものを造ろうか期待が膨らんでいます。私自身、茶道を含め日本の食材や文化のエッセンスを取り入れたカクテルの発信がテーマです。それを世界のスタンダードにするのが目標。ぜひ、この機会を自分自身の発見と夢を叶える一歩の旅にしたいと思います。


「トークン・ビターズ カクテルコンテスト」では、最終審査に残った6名のバーテンダーがそれぞれオリジナルカクテルを考案し、その腕を競い合いました。上位3名の選手とカクテル名は次の通りご紹介いたします。BAR TIMESでお一人ずつ紹介した記事もご覧いただけます。
優勝/大場健志氏「枯淡(こたん)」
2位/中村純氏「Nature of Alberta ~アルバータの大自然~」
3位/吉田幸太郎氏「canadian rockies jewelry (カナディアン ロッキーズ ジュエリー)」


プロフィール / 大場健志(おおば・たけし)東京・銀座にあるbar cacoiのオーナーバーテンダー。社会人になってから茶道を習い始め、自身のバーテンディングのコンセプトも茶道。和のカクテルづくりには定評がある。

枯淡(こたん)
[RECIPE]
・抹茶/3スプーン
・トークン・ビターズ ホワイトラベンダー/20ドロップ
・トークン・ビターズ カルダーチャイ/10ドロップ
・トークン・ビターズ ストラスコナ オレンジ/2ドロップ
・カナディアンクラブ/30ml
・メープルシロップ/5ml
・お湯
・花穂/ガーニッシュ
・茶請け/八つ橋ニッキ
・トークン・ビターズ リッチー チェリー/1ドロップ
[つくり方]
抹茶からお湯までを器に入れ、通常の抹茶の様に茶筅でよく点てガーニッシュとして花穂を飾る。茶請けに八つ橋を添える。


   

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