BAR TIMES

NEW2019.02.13 Wed

Seafood from Scotland 特別編エディンバラ産クラフトジンと
カクテル紀行

週刊ホテルレストラン【酒のSP】


エディンバラ市内で150 年ぶりのジン蒸留所はスパイス香るボンベイレシピ


海のエコリーダー、欧州屈指の海産物の産地として、サーモンやサバ、ラングスティーヌなどを取材した2018 年のスコットランド。英国やスコットランドの食事情は、ほかの産業同様に近代化している。この行程で立ち寄ったのが、エディンバラで「PICKERING’S GIN」(ピッカリンジン)を生産するサマーホール蒸留所だ。

英国では、長らく禁じられていた1800ℓ以下の蒸留器によるジン製造が2009 年に解禁。少量生産が可能となり続々とジン蒸留所が現れた。こうした動きの中で13 年に創業したこの蒸留所は、スコットランドの首都エディンバラに150 年ぶりにできたもの。獣医学を教えていた大学の跡地で、小さなアトリエやギャラリー、劇場が入居する中にできた小さな蒸留所だ。

サマーホール蒸留所で造るジンは、インド・ムンバイのマウントメアリーから1947 年に伝わった“ボンベイレシピ”に基づいている。ジュニパーベリー、コリアンダー、クローブ、アニス、フェンネル、カルダモン、レモン、ライム、シナモンを用いて、500ℓの銅製の蒸留器で精製する。このレシピをベースにした「PICKERING’S 1947」や、57 度の「NavalStrength Gin」のほかにスロージンやグレープフルーツ風味のジンリキュール、スコットランド各地のウイスキー樽による熟成ジンなども生産しており、17年の生産量は全部で25 万本。オーダーメイドによるジン造りも受注しており、エディンバラのホテルにオリジナルのジンを提供。日本限定モデルも提案している。現在は17 カ国に輸出しており、中国では「Seafood Pickering’s Bar」を営業している。


サマーホール蒸留所が進める“ ボンベイレシピ” をもとにしたジンづくり。樽熟成によるジンのトライアルや、古い消防車を使ったラッピングカーなど個性が光る

Lucky Liquor のカクテル「Mr. Carter」と「Hide & Go Greek」、そしてBRAMBLE BAR の「Hokkaido」はみその風味がカクテルからしっかりと伝わる



ウイスキーとカクテルの集客力、世界各地から“巡礼者”の姿が


滞在した漁港の小さな街にバーはほとんどなかったが、ホテルのバーのウイスキーはさすがの充実ぶりだ。カウンターで立ち飲みするウイスキーラヴァーは、ロシアやイタリア、中国、ニューヨークと実に豊かだ。ウイスキーツーリズムは長らくこの国の観光産業の幹の一つだったが、今後さらに大きな存在になっていくのが容易に感じ取れる。

カクテルも同様だ。エディンバラにも世界のカクテルトレンドを感じるバーがいくつも存在する。英国のビバレッジメディア『Drinks International』のエディター、シェイ・ウォーターワース氏が推薦する「Bramble Bar」「The LuckyLiquor Co.」はクリエイティビティーに富んだバーのグループ。マンションやオフィスが入居するビルの半地下にある「Bramble BAR」では、日本由来の素材も多く用いられている。リンゴとみそのシロップやゆず酒を使ったカクテル「Hokkaido」が目を引く。路面店の「TheLucky Liquor Co.」も、オリジナルカクテル13 種類に対して、使用する素材は45 種類に及ぶ。両店ともにカクテルのほか、店舗グループオリジナルのラムやコーヒーリキュール、ラズベリーのジンリキュールもプロデュースしており、さらに「The Lucky Liquor Co.」は小瓶に詰めた「ブルックリン」「アフィニティ」といったカクテルのRTD、グレングラッサやアランのシングルカスクによるオリジナルウイスキーも展示、販売している。

もはやウイスキーだけでスコットランドを語るのはもったいない話だ。確固たる信念と哲学に基づいて育まれる食材と料理、トレンドを反映したカクテルも、この国を支える大きな観光資源たり得る存在なのだ。


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週刊ホテルレストラン2019年1月11日号より転載

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