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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2017.02.20 Mon

SAKETRY 「思い出のボトル」第二十三回よりラフロイグ10年
石川 伸彦 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

これを美味しいと感じるなんて、僕はへそ曲がりだろうか?
近所のバーでマスターに勧められ、初めてシングルモルトを飲んだ石川伸彦さんはボトルを眺めながら考えていた。海藻や薬品のようなフレーバーがして、確かに変わった味だ。でも、この味を生み出す蒸留所はどんなところなんだろう。興味は尽きず、やがてバーで働き始めた石川さんは先輩に誘われてスコットランドの島巡りツアーに参加することになった。大倉山のバー「グローリー」の宮内誠さんが主催した企画だった。
ハイランドパークとスキャパ蒸留所があるオークニー島をはじめ、スカイ島はタリスカー、ジュラ島はアイル・オブ・ジュラと巡って念願のラフロイグ蒸留所があるアイラ島へ。
もしかしたら、現地のピートや麦芽がもらえるかもしれない……。封のできるビニール袋をいくつか持参していたが、肝心のラフロイグ蒸留所へたどり着いた時にはすべて使ってしまっていた。


「私のを使って。ここに、来たかったんでしょう?」
大森のバー「テンダリー」の宮崎優子さんから声をかけられ、御礼を言うとピーテッド麦芽を袋に入れた。すると、ハンカチにそれを包む宮崎さんの姿が目に映った。先輩の懐の深さと優しさが、身に染みた瞬間だった。
「初めてお会いするかたが多くて、しかも先輩ばかり。スコットランドへ来ることができて舞い上がっていた僕に、とても親切にしてくださいました。本当に、良い思い出ばかりで……。いま思えば、僕にとってこの旅がバーテンダーとしての第一歩だったんです」

BAR Sheep
神奈川県横浜市中区野毛町1-46-1 MS野毛ビル2F
045-262-1614
営業時間:19:00~02:00/日曜休み

佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

saketry

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