BAR TIMES

2016.10.21 Fri

SAKETRY 「思い出のボトル」第十七回より北海道余市モルト 1987
山本 悌地 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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余市駅に降り立ち、石造りの重厚な正門をくぐると「ニッカウヰスキー 北海道工場」の看板が見えてくる。蒸溜棟、乾燥棟の間を抜けて奥へ進めば、多数の赤い屋根は雪に覆われ、壁にぶら下がる氷柱がその寒さを物語っている。
「両親が北海道出身だからか、余市蒸溜所には肩入れしてしまいます。特に冬の景色はいいですね。毎年のように足を運んでいた時期もありましたが、常に新しい発見があって勉強になりました」
山本悌地さんが立つカウンターからやや上方左手に視線を向けると、数本のボトルが並ぶ棚があり、その中に空になった「ニッカ シングルカスク 北海道余市モルト1987-2002」がある。


「色がとても綺麗なのが印象的でした。やや濃い色ながらクリアで、トップノートのピートから続く塩っぽさはこの環境ならではですね。バニラ、アーモンド、キャラメル、どことなくお線香のようなオリエンタルな香りもしました」
ボトリングされた2002年は、「シングルカスク余市」3種が発売された年でもある。それぞれ特徴の異なる樽で熟成させ、「シェリー&スウィート」「ピーティ&ソルティ」「フルーティ&リッチ」と名付けられた。こうしたウイスキーの奥深い楽しみ方に、山本さんは魅せられた。
一昨年は、自ら工場で蒸溜、樽詰めしたウイスキーが10年後に届く「マイウイスキーづくり」に参加した。2日間、つなぎとヘルメットで作業し、樽を貯蔵庫まで転がしたという。そのウイスキーと再び会える頃、バー「カサブランカ」は29周年を迎える。すぐに開けたい気持ちを抑えて、翌年の30周年に祝杯をあげるつもりだ。

The Bar CASABLANCA
神奈川県横浜市中区相生町5-79-3 ベルビル馬車道B1F
045-681-5723
営業時間:17:00~02:00/無休

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
今宵のバー? http://www.koyoinobar.com/
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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