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2023.06.5 Mon

BAR TIMES STOREアンバサダー 長尾和明さんインタビュー現地ダナンのカクテルコンペで優勝
“何事も楽しむ”を学んだベトナムでの経験
第2回 [ベトナム編]

BAR TIMES 編集部

2023年4月から、BAR TIMES STORE アンバサダーとなった長尾和明さん(Bar LIBRE/池袋)に、就任記念インタビューを行いました。本企画では、アンバサダーとしてのお話だけではなく、バーテンダーという仕事を選んだきっかけ、その魅力など、バーテンダーとしてのストーリーもご紹介いたします。盛りだくさんのお話を聞くことができたので、「バーテンダー編」「ベトナム編」「アンバサダー編」の3回に分けてご紹介いたします。第2回の今回は、ベトナムのリゾート地 ダナンでのお話。店の立ち上げで受けたベトナムの洗礼や現地でのカクテルコンペ、そして習得した英会話などを綴った「ベトナム編」をお届けいたします。

ダナン店の工事が中断! 最初の一杯はみんなで造ったカウンターで乾杯

編集部 長尾さんは「Bar LIBRE ダナン ルーフトップバー」のマネージャーとして、単身ベトナムのダナンに渡ることが決まっていたわけですけど、一番苦労したことは何でしたか。

長尾 まずは入社からベトナムに発つまでの1ヶ月間で、「Bar LIBRE」のやり方を覚える必要があって、レシピとかつくり方とか味わいとか。もうすごい量の情報を頭に入れるのが本当に大変で、ほぼ寝ずにいました。しかも、清崎からは「英語もやれよ」って言われて(笑)。そんな余裕全然なかったですけどね。

編集部 現地ではもっと苦労があったのでしょうね。

長尾 まず、まったく工事が進まない。業者さんが時間通りに来ないのは当たり前で、挙げ句の果てに来なくなりました(笑)。仕方ないので自分で設計図を書き直し、自分たちで木を切って、バイクで運び、カウンターをつくりました。僕、工芸高校で建築を専攻していたので、その時に得た知識が身を結んだというか(笑)。


ベトナム ダナン店の立ち上げで、苦労した思い出を語る長尾さん。

編集部 ベトナムの洗礼を受けたんですね(笑)。

長尾 ベトナムに渡ってからはカクテルを混ぜるのではなく、ずっとコンクリートを混ぜていましたからね(笑)。苦労して完成したカウンターで、最初につくったのは8杯のジントニック。チームみんなで乾杯しました。苦労した分、最高に美味しかったです。あとは、急な停電で冷凍庫の氷がすべて溶けてしまい、ロウソクを灯してルーフトップからの夜景と波の音を耳に、スタッフとお客様とでぬるいワインを飲んだのもいい思い出です(笑)。

編集部 英語でのコミュニケーションはどのようにして身につけたのですか。

長尾 ベトナムでは、スタッフとの会話や買い出し、ミーティングをするにもすべて英語だったので、最初は苦労しました。話さないと伝わらない、まさにサバイバル英語で覚えました。お客様からも「カズ、今のはこう言うとカッコいいよ」なんて教えてくれたり、ビルのオーナーが毎日僕に30分時間を割いてくれて、カフェで英語を教えてくれました。しかも、毎回違うカフェに連れて行ってくれるので、道も覚えられるようになりました。みんな優しくしてくれて、本当に人に恵まれたと思っています。


工事業者が来なくなり、周りの人たちと協力し合って一緒に一から店づくりをしていたという。


様々なアクシデントを乗り越え「Bar LIBRE ダナン ルーフトップ店」はオープン。共に頑張ってきたスタッフたちと記念撮影。

 

アクシデントで身についた対応力とチーム力。それが今の接客や大会への熱量に活きている

編集部 そんな忙しい日々の中でも、コンペティションへの挑戦は続けていたとか。

長尾 「そうですね。中でも一番印象に残っているのは、「Tito’s cocktail competitioin DaNang(ティトーズ カクテル コンペティション ダナン)」という、街を挙げた大会に出場して優勝したことです。この大会は、2人ワンペアで戦いますが、当時英語がほぼわからなかったので、僕がカクテル担当、スタッフの相方が英語のプレゼン担当となり役割を分けて参加しました。大会準備中は、二人でローカル市場にグラスを探しに行ったり、現地の文化を学んで、カクテルに落としこんだりとエキサイティングな経験ができたのを覚えています。

編集部 大会はどのような様子だったのでしょう。

長尾 当日は、大勢の観客の前で人を引き込む彼のプレゼンに感動しながら、カクテルをつくりました。演技中はアクシデントが起こることも多く、臨機応変な対応力やチーム力が評価される海外スタイルにドキドキしました。その時の体験が、それ以降出場した大会や店舗での接客に活きていると思います。


こちらは「OPIHR World adventurer cocktail competition」に出場した時の様子。優勝は逃したものの、好成績をおさめた。


ベトナムでの一枚。すっかり環境にも人々とも打ち解け、リラックした様子の長尾さん。


置かれた状況を楽しむこと。長尾さんがベトナムで学んだ経験は今の接客にも活きているという。

編集部 長尾さんがベトナムで学んだことはどんなことでしょう。

長尾 置かれた状況を楽しむことですね。何とかなるっていう。それと、チームで一つのことに取り組んだり、人とつながることがとっても大事なんだと学びました。

編集部 「Bar LIBRE」に入社して6年。現在は池袋店のマネージャーを務めていますが。

長尾 この店は、清崎がずっと大事にしてきた場所ですからね。店名の「リブレ」は、スペイン語で「自由」という意味なんですが、オーセンティックな雰囲気でありながら、スタッフ一人ひとりの個性がそれぞれに発揮できる環境をつくりたいと思っています。そして、清崎にならって全てのお客様に目を配りつつ、賑やかで居心地のいい雰囲気の中で、お客様の感動体験につながれば嬉しいです。

第1回の「バーテンダー編」はこちら
第3回「アンバサダー編」へ続く

長尾 和明(ながお・かずあき)


2010年 地元香川県高松市のダイニングバーで1年間ホールサービスを学ぶ。2013年に6席だけの会員制バー「Bar HEEL」で修業。その後、「Bar HEEL」プロデュースの「Bar TIE」のカウンターに立つ。2017年に「Bar LIBRE」のオーナーである清崎雄二郎氏と出会い、入社。1ヶ月でベトナムのリゾート地 ダナンに渡り、約2年間「Bar LIBRE DaNang Rooftop」のマネージャーを務める。ダナンで開催された「Tito’s vodka competition」で優勝。「OPIHR World adventurer cocktail competition」にも出場する。2019年に「Bar LIBRE DaNang Rooftop」の閉店とともに帰国。2022年6月より「Bar LIBRE 池袋」のマネージャーに就任。その後も大会への出場に挑戦し、world class Japanでは、2022年に続いて2023年もtop10に入る。

Bar LIBRE(バー リブレ)


スペイン語で“自由”を意味する「Bar LIBRE」。自由をテーマにしたオーセンティックな雰囲気のミクソロジーバーだ。クラシックカクテルはもちろん、液体窒素などユニークな技法でつくるカクテルや季節のフルーツを使ったカクテルなど幅広いメニューを用意している。また、提供される器は、ガラス製グラスのほか、日本の作家による陶器で供されるカクテルもあり、味わいだけではなく見た目にも楽しませてくれる。

東京都豊島区西池袋3−25−8 相馬屋ビルB1F
Tel: 03-5956-6406
HP/Bar LIBRE


オーセンティックな雰囲気でありながら、くつろぎの空間が広がる「Bar LIBRE」の店内。長尾さんを筆頭に、様々な大会で受賞歴を持つバーテンダーによる自由な発想のカクテルが楽しめ、クラシックからこの店でしか味わえないオリジナルまで幅広いメニューを用意している。


   

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