
NEW2025.09.2 Tue
「#HennessyMyWay 2025」ジャパンファイナル 大会レポート「巡る」で紡ぐサステナブルなカクテルで阪田遥菜さんが日本一に!
MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社2025年8月20日(水)、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社(東京都千代田区神田神保町)取扱いのコニャックブランド「ヘネシー」のカクテルコンペティション「#HennessyMyWay」(ヘネシーマイウェイ)ジャパンファイナルが開催された。日本代表を選出する会場には、約100名の応募者の中から1次・2次審査を勝ち抜いた10名のファイナリストが集結。100種類におよぶ古い原酒をブレンドした「ヘネシー X.O」を使い、「サステナブル×特別な体験」をテーマとするカクテル作りを競った。それぞれの解釈で個性あふれるプレゼンテーションが行われた様子と結果をレポートする。
#HennessyMyWayについて詳しくはこちら:https://www.bar-times.com/contents/145036/
応援者が続々と駆けつけるなか、ジャパンファイナルのコンペティションが始まった。日本代表に選ばれた先には、10月下旬にフランスで開催されるグローバルファイナルが待ち受けている。世界一を決めるその大会では、なんと過去2年連続で日本人バーテンダーが総合優勝を果たした。2023年は、高橋大地さん(APOTHECA/京都)*¹が、2024年には高橋裕也さん(エクシブ有馬離宮/兵庫)*²が世界一のバーテンダーに輝いたのだ。今大会の優勝者にも期待が高まってしまうというものだ。 *¹所属は2023年当時 *²所属は2024年当時
緊張感が高まるなか、審査員が紹介される。上野秀嗣さん(一般社団法人 日本バーテンダー協会 会長)、野田浩史さん(一般社団法人 日本ホテルバーメンズ協会 会長)、宮崎優子さん(NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構 チェアマン)、 高橋裕也さん(#HennessyMyWay 2024 世界チャンピオン)、南雲主于三さん(スピリッツ&シェアリング株式会社 代表取締役社長)、ブルノ・イヴォン(MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社 代表取締役社長)という錚々たる面々である。
今大会のテーマは「サステナブル×特別な体験」。ストーリー性、ユニークな材料、革新的な演出、独自の技法を駆使し、サステナブルで特別な体験をゲストに提供することが課題だ。ことに「サステナブル」をどんな観点から見るかが、難しくもポイントとなるところだろう。競技が始まると、10人10様、それぞれの持ち味を発揮するプレゼンテーションが繰り広げられた。

三井裕太さん(BAR RE:SERVE/京都)
マスクメロンとシャンパンを活用し、ヨーロッパでパンの発酵などに活用される酵母による発酵飲料「Kvass(クワス)」を自家製。ヘネシーが歩んできた歴史文化と革新性に感謝と敬意を表し、自身のストーリーと掛け合わせた再生と継承のカクテルを創作。

植田慎乃祐さん(KIRIP TRUMAN/大阪)
摘果りんご、ブドウの果汁(ヴェルジュ)、ブドウの葉といった、農産物の生産過程で生まれる副産物を活用し、復活をテーマにしたカクテル「コープスリバイバー」をツイストしたアップサイクルカクテルに。飾りには間伐材と副材料製作の際に生まれた副産物を利用。

阪田遥菜さん(サンクチュアリコート琵琶湖/滋賀)
規格外のいちじくや、本来捨てられる葉や茶葉を活用。ティーやコーディアル、ミストを自家製し、素材のみならず想いも巡らせて“素材の還・地元の還・想いの還”という3つの還(めぐる)を込めたカクテルを創作。ヘネシーX.Oの深く複雑な味わいが素材と重なり、記憶と時間を呼び起こす一杯に。

永田祐也さん(BAR LIQUID/奈良)
地産地消の試みとして、奈良のヒノキ、ニッキ、クスノキ、和紅茶、超軟水「ごろごろ水」を使用。ドリッパーを使い、ヘネシーX.Oをウッドチップに落として抽出し、長い樽熟成を表現。ウッドチップは炙って再利用し、香りのガーニッシュとして活用する。

大西昌樹さん(Scotch & Branch/京都)
ブドウ農家である実兄の畑の未熟ブドウをヴェルジュにし、パイナップルの非可食部と玄米茶の出がらしの要素を加える。ヘネシーX.Oと合わせることで、ブドウ由来のみずみずしい酸と芳醇な余韻が響き合う。兄が育てた素材に眠る可能性を掬い上げ、見過ごされがちなものに美を見出して命の循環を表すカクテルに。

安里勇哉さん(Bar NOW/神奈川)
「古来農法で再生され土の香り」「使いきれなかった名産品の再利用と共に街の循環システムの提案」「神奈川のテロワールにこだわった日本酒から生まれた、酒粕の新しい利用法」を考え、ヘネシーX.Oに土地の記憶を乗せたカクテルに昇華。その場でガーニッシュの紫蘇の天ぷらを揚げ、会場を沸かせた。

近澤克尚さん(WAURA DINER/埼玉)
クリーンな土壌改善で注目される豆科にフォーカス。「自家焙煎豆苗茶エスプレッソ」「ビターズオレンジビターズ」「赤ワインメープルシロップ」「ホーリーハーブヘネシーV.S.スプレー」などを自家製し、ガーニッシュに積みたての豆苗若葉を添える。

田中亮多さん(エクシブ有馬離宮/兵庫)
三重県鈴鹿の風土に根ざす、かぶせ茶、白米、はちみつ、鈴鹿山系の水でつくった氷を合わせてシェイク。地域資源を重ね合わせ、循環の思想からカクテルを創作した。二番煎じの後の茶葉にヘネシーV.S.を垂らし、乾燥・燻製・香りを宿したスモークチップに昇華させる。

川西綾さん(Bar ANTHEM/東京)
ヘネシーの歴史と奥深い熟成に、自身のルーツを重ねる。地元・千葉県で幼馴染が育てる梨、思い出の梅酒、ハチミツとともに、普段捨てられるピーナッツ殻も活用し新たな命を吹き込む。さまざまな「Link—-繋がり」を通して、過去、現在、未来へと「時間の繋がり」を表現する一杯に。

大山耕輝さん(グランドエクシブ鳥羽別邸/三重)
芍薬の茎と葉、コーヒーリーフ、果実の外皮など、通常は廃棄される素材をコーディアルやティーにして香味へと昇華させ、“命を使い切る”のではなく“生かし続ける”という思想を体現。放置竹林の竹を活用して自作したドリッパーやコースターにし、カクテルを完成させる。

厳正な審査を経て優勝を飾ったのは、阪田遥菜さん(サンクチュアリコート琵琶湖/滋賀)だ。大会を振り返り、そして、グローバルファイナルへの意気込みを語ってもらった。
阪田遥菜さんのコメント コンセプトを練るのに一番時間をかけました。素材選びや、家族や仲間とのつながりを、すべて『環(めぐる)』に寄せてつくり込んでいった作品で手ごたえは感じていましたが、緊張もしていたのでまさか1位をいただけるとは。ヘネシーX.Oでないといけない理由を考えてストーリーをつくり込んでいったので、そこを評価していただいたのかと思います。
大きなプレッシャーを感じていますが、昨年、世界チャンピオンになられた高橋裕也さんは同系列の会社の先輩でもあって、グループのいろんなホテルを周られるなかで一緒にお仕事もさせていただきました。高橋さんを通してヘネシーの魅力を知って、自分も挑戦したいい気持ちになりました。2年連続、日本人バーテンダーが優勝しているので、そこに続きたいと思っています

和歌山県出身。大学卒業後、2022年にリゾートトラスト株式会社へ入社。完全会員制リゾートホテル「サンクチュアリコート琵琶湖」にてバーラウンジを担当する。「お客様と一番近い距離で働きたい」との理由でバーテンダーを志し、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)認定資格を取得後、2023年4月よりバーテンダーとしてのキャリアを本格的にスタートさせた。
2位には「グランドエクシブ鳥羽別邸」(三重)大山耕輝さん、3位には「Bar NOW」(神奈川)安里勇哉さんが入賞した。

競技は、時間をオーバーするファイナリストは一人もおらず、各人が練習を重ねた成果が見られた。大会を終えて、審査員からは「テーマや素材選びの大事さはさることながら、ヘネシーの大会であるゆえに、プレミアムなスピリッツであるヘネシーX.Oにいかに寄り添う味わいに構成するかが大事」「サスティナビリティという広いテーマから何を拾うか。一番言いたいことが素直に伝わるかどうか。そして、純粋にヘネシーX.Oのおいしさを表現できているかが肝」といった振り返りの言葉が聞かれた。 日本でヘネシーのコンペティションが行われた初期から、審査員を務めている南雲さんの言葉が印象的だ。 「時代性をマッチしたカクテルがたくさん登場し、その分難易度も高くなってきたのではないでしょうか。サステナブルを通してどんな特別な体感をしてもらうかを僕も考えるところがありました。持続不可能なものを可能にするにはどうしたらいいか。そして、価値がなかったものにいかに価値を与えていくか。この2点を見誤ってはいけません。手段と目的が逆になったり、おいしくないものを出してしまったら本末転倒です。ヘネシーX.Oを使うカクテルを1杯5000円でお出すとしたら……と考えれば、その価格でも飲みたいと思うことを大前提に、付加価値とストーリーづくりを追求してみてください」

実際に今年と同じテーマで戦い、世界を制した高橋さんは、昨年の経験も振り返りながら、こう語る。 「何をもってサステナブルと捉えるか、広すぎて難しいところです。世界大会に進めば、国の違いでその感覚はさらに違いが出てきます。『サステナブル』の解釈でいかに自身のキャラクターを出すか、そこにヘネシーの魅力を重ね合わせられるかが今回のコンペティションで一番大事な部分だとあらためて感じました。バーテンダーは生産者と飲み手を繋ぐ架け橋にもなれる存在です。ぜひおいしい一杯を多くの方に届ける一心で、私もみなさんと一緒に精進にしていきたいと思います」
かくして、盛大な拍手と共に大会は終了した。阪田さんは2025年10月27日(月)〜10月31日(金)開催予定のグローバルファイナルに出場する。熱い戦いを見守っていこう。
1765年、リチャード・ヘネシーが自らの名を冠した比類なきコニャックを世に送り出して以来、彼の妥協なき技術と情熱は8世代にわたって脈々とヘネシー家に受け継がれてきました。厳選された畑のブドウによるオー・ド・ヴィー(原酒)のみを使用し、世界最大35万樽以上に及ぶ貯蔵量の中から最高の相性のブレンドを見つけ出す。こうしたヘネシーのこだわりは長い時の中で究極の味わいへと進化し、世界で最も愛飲されているコニャックとして人々を魅了してきました。日本においても、1868年に初めて輸入されて以来、そのプレステージの高さは別格の存在感を示し続けています。 ヘネシー 公式ウェブサイト:https://mhdkk.com/brands/hennessy/sp/
へネシー V.Sについて 芳醇なスパイスとフルーツの芳香を思わせるアロマは、フルーティーな香りとデリケートなバニラのニュアンスでさらに強調され、飲む人に力強さと心地よい調和を感じさせます。滑らかにして複雑。ヘネシーV.Sならではのエレガントで活き活きとした味わいは、力強いコニャックのシンボルとも言えます。
へネシー X.Oについて 1870年、世界で初めて“eXtra Old”の名が与えられた伝説的なコニャック、ヘネシー X.O。その起源は、ヘネシー家がごく親しい家族や友人のために秘蔵してきた年代物のオー・ド・ヴィー(原酒)を、三代目当主モーリス・ヘネシーが特別にブレンドしたことに始まります。1947年には、ヘネシー家直系のジェラール・ド・ジョッフル・ド・シャブリニャックが、ブドウの房をモチーフとした現在のボトルをデザイン。コニャック地方上位4地区の畑から収穫されたブドウのみで造られた約100種類のオー・ド・ヴィーがブレンドされ、リッチでパワフル、かつ極めて滑らかなスタイルが特徴です。
インタビュー・文 沼 由美子 ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。