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iichiko彩天×カンパリの革新的コラボレーション『麹ネグローニ』特集つなぎに何を選ぶかで『麹ネグローニ』は世界に羽ばたくカクテルになりうる
iichiko彩天 × CAMPARI
CAMPARI GROUP ブランドアンバサダー・小川尚人さん(左)、SG Group ファウンダー・後閑信吾さん(中央)、三和酒類株式会社 グローバルマーケティング室室長・宮﨑哲郎さん(右)。/撮影場所:SG CLUB
ネグローニを通じて世界中のバーがつながるイベント「ネグローニウィーク」(2025年は9月22日~28日開催)に向けて、イタリアの伝統を受け注ぐ「カンパリ」と世界のカクテルシーンに向けて生み出された本格麦焼酎「iichiko彩天」でつくる『麹ネグローニ』が誕生した。それぞれのブランドを代表するふたりが、世界的に活躍するバーテンダーの後閑信吾さんをゲストに迎え、『麹ネグローニ』ならではの味わいと、今後定番カクテルになりうる可能性を語り合った。
宮﨑 「iichiko彩天」がバー向けのスピリッツとして、アメリカで先行発売したのは2019年のこと。実は、2017年に後閑さんがバー業界のアカデミー賞と言われる「Tales of the Cocktail International Bartender of the Year」を受賞された時、アメリカ・ニューオリンズの会場で初めて後閑さんの存在を知りました。ご挨拶した際に「焼酎はこれからいけると思います」といった言葉をいただいて、「iichiko彩天」誕生に向けて大きな勇気をもらったんです。その後閑さんに『麹ネグローニ』の発信に参加していただいて感激もひとしおです!
後閑 懐かしいですね。2019年は、本格焼酎「The SG Shochu」の発売に向けて、三和酒類の製造責任者と盛んにやり取りをしていた時期でした。僕は僕なりにカクテル業界向けの焼酎を思い描いてローンチしたのですが、「The SG Shochu」と「iichiko彩天」では、完成した麦焼酎の着地点がまったく違うところがすごく面白いと思いました。というのも、「The SG Shochu」では芋や米も同時に展開したこともあり、麦焼酎はあえて“すっきり”とした方向性に落とし込んだ。対して「iichiko彩天」は、ロースト香が立ち、うまみやコクが豊かな“どっしり”とした方向に落とし込まれていて、この違いが鮮明だったのです。
小川 後閑さんから見た「iichiko彩天」の印象はどうですか?
後閑 常圧蒸留ならではのロースト感が全面に出ていて、攻めたな、と思いました(笑)。ホワイトスピリッツなのに、ブラウンスピリッツのようです。
小川 今回の「カンパリ」とのコラボレーションをどのように感じますか。
後閑 ひとつのクラシックカクテルを軸に、まったく違うブランドがクロスオーバーする取り組みが新しくていいなと思います。僕自身も焼酎の活動をしていて、日本のものをできるだけ海外に発信したいという気持ちもあるので、この機会に携われて嬉しいですね。
小川 今、焼酎は海外のバーで浸透しつつあるのでしょうか?
後閑 世界のバーは今、料理業界を追いかけているように感じます。今のフレンチやアメリカの現代的な料理でも和の食材を積極的に使っています。「The World’s 50 Best Restaurants」にランクインしているような先端をいくレストランでは、絶対と言っていいほど。料理の世界を追いかけているバーテンダーたちもまた和の食材を取り入れる傾向が加速しているというわけです。
宮﨑 赤提灯で親しまれてきた「いいちこ」が、今、「iichiko彩天」としてニューヨークのかっこいいバーに並んで、みなさんが焼酎の話をしている。そんな状況を見て、嬉しさを噛みしめています。
小川 海外で2013年から始まった「ネグローニウィーク」はヨーロッパやアメリカで盛り上がりを見せてきたイベントですが、ここ数年で日本でも熱気が高まってきました。その状況での今回のコラボレーションは、ネグローニというカクテルが新しい領域に進むステップになりそうです。期待が高まります!
小川 後閑さんが考案した『麹ネグローニ』をさっそくいただきましょう。
(一堂 乾杯)
宮﨑 しっかり、どっしりしてるのに、すごくスムース…!アルコール感もマイルドで飲みやすいです。
後閑 スイートベルモットの代わりに、日本酒と梅酒を使っているからですね。スイートベルモットのスパイス感をスパイシーなニュアンスの梅リキュールで、ワインのタンニン感を木桶造りの力強い日本酒で表しています。即席“麹ベルモット”のようなイメージですね。米酢を加えることも飲み口のよさにつながります。ネグローニのツイストをつくるときは、いつも何かしらの酸味を加えたくなります。
小川 本当だ。酸味が入ることで格段に日本人の舌に合う味になっています!ネグローニは個人的には大好きですが、日本人にとって苦味やハーブ感はまだ慣れていない味のように感じています。でも、後閑さんの『麹ネグローニ』はすごくすーっと飲めてしまう。
後閑 「カンパリ」と「iichiko彩天」だけでは特にそこまで繋がりがありませんが、つなぎの副材料を何にするかで両方が活かされます。「iichiko彩天」のトースト感を上手に使うとこういう風になじむんです。でも、単にジンの置き換えとしてそのまま使ってしまうと、どっちにも合わないんですよ。ネグローニだけでなく、マティーニやマンハッタンでもしっくりこない。ブリッジとなる要素をしっかり考えると、他にはない味わいが生まれるのです。
宮﨑 まさにその通りです。アメリカでもトップバーテンダーには「iichiko彩天」を上手く使っていただいたのですが、サービスを中心に働いているスタッフの方々は十分に引き出すことが難しかったようです。どの要素を立たせるかをイメージできるかが大事なんですね。
後閑 きちんと使うとおいしくできるけど、失敗すると結構難しい。僕は、トースト感を前に出しすぎないことを意識しています。一方、「カンパリ」は正直何でも合う。すでにひとつのジャンルのようなもので、いろんな国にゲストバーテンダーに行くときも、レシピはビターリキュールなんて書き換えられず、「カンパリ」は「カンパリ」のままでいい。確立されたブランドなんですね。
宮﨑 『麹ネグローニ』の広がりの可能性をどう見られますか。
後閑 1940年代、モスコーミュールが爆発的にヒットしてスミノフがすごく売れたように、先にカクテルが有名になってブランドが追いつくというパターンがあります。クラシックカクテルになり得るものを創って定着させる動きは、きっと多くのメーカーが目指すところでしょう。その点で『麹ネグローニ』といったカクテルからアプローチしていくのは正攻法だと思います。バーテンダーを巻き込んで『麹ネグローニ』をしっかりと発信できたら、根付く可能性はあるんじゃないかな。
宮﨑 何万というカクテルが、毎年誕生しているなかで生き残るのは本当に難しいことです。今回は初めてのクラシックカクテルとのコラボレーションで、私の中では貴重なチャンスだと捉えています。
小川 僕は「カンパリ」のアンバサダーとして、ネグローニでいかにアイデンティティを出すかを常に考えています。柚子や山椒といった日本の素材を取り入れても、結局は自分のオリジナルで止まってしまっている印象が強かったんです。でも「iichiko彩天」とコラボレーションすることは、クラシックカクテルのスタイルを崩さず、とてもシンプルに日本のアイデンティティも出せます。カンパリカクテルに新風を吹き込むめると感じています。
宮﨑 レストラン「noma」が発酵に関する書籍の出版と「The SG Shochu」のローンチは、焼酎業界にとってやはり大きな影響力がありました。おかげで「KOJI(麹)」という言葉がヨーロッパのシェフを中心に知れ渡ったんです。同時に世界のバーテンダーに知られるのも10年ほど早まったのではないかと思います。「麹」「焼酎」といった文化が日本のアイデンティティとして世界中の人たちに広まって認めてもらえたら、と願っています。
小川 カクテルは、食の世界に入り込むことによって、格段に一般の方に認知してもらえる機会を得ます。長く食中酒として愉しまれてきた本格焼酎を使うことで、ネグローニが全世界により認知してもらえればいいなと感じます。
後閑 「iichiko彩天」はバー業界では新参者かもしれませんが、本格焼酎は約500年という古い歴史のあるスピリッツです。それが、バー業界でずっと歩み続けている「カンパリ」と一緒になって革新的なネグローニが誕生したというのは、いいストーリーですよね。「いいちこ」は誕生から数えて何歳ですか?
宮﨑 1979年生まれの46歳。「カンパリ」は1860年生まれの165歳ですね。生きてきた世界がまったく違うのに、今、やっと出逢えました。
後閑 その差は114歳。超・年の差カップルの誕生ですね(笑)。
- 後閑流『麹ネグローニ』
- 〈レシピ〉
- ・iichiko彩天…25ml
・カンパリ…20ml
・日本酒(みむろ杉 木桶菩提酛)…15ml
・梅リキュール(星子)…15ml
・米酢…2dash
・塩水(濃度5%)… 3spray
- 〈つくり方〉
- ①ロックグラスに氷を入れる。ミキシンググラスに氷、カンパリ、iichiko彩天、ピーチ&紫蘇 ベルモットを入れ、ステアし、グラスに注ぐ。
②米酢、塩水を加える。
■プロフィール■
後閑信吾(ごかんしんご) SG Group ファウンダー。バーテンダー。2006年に渡米し、NYの名店「Angel’s Share」でヘッドバーテンダーを務める。2012年世界最大規模のカクテルコンペティション「バカルディレガシー」で世界大会優勝。2014年、上海「Speak Low」オープン。以後、新しいコンセプトのバーを国内外にオープンさせる。2017年、バー業界のアカデミー賞と言われるTales of the Cocktail International Bartender of the Yearを受賞し、「Asia’s 50 Best Bars」で個人に贈られる最高賞 Bartender’s Bartender 2019、バー業界を象徴する人物に贈られるIndustry Icon Award 2021 をそれぞれ受賞。英国誌が選出する「バー業界で最も影響力のある100人」に贈られるBAR WORLD 100 2021 にてアジアトップとなる第4位となっている。2025年、世界最大のカクテルとスピリッツの祭典「Tales of the Cocktail」で、手がけた2つのバーがそれぞれ主要部門で最優秀賞を獲得し、史上初の2冠達成を成す。
小川尚人(おがわなおと) CAMPARI GROUPブランドアンバサダー (CAMPARI JAPAN)。ニュージーランドやオーストラリアへの留学経験後、神戸の老舗店「Bar Elixir de Longue Vie」でバーテンダーとしての修行を積む。様々なカクテルコンペティションでの受賞歴をはじめ、「CAMPARI Cocktail Competition Asia 2018」では日本チャンピオンとなり、ミラノで開催されたアジア大会へ出場。国内外のバーでゲストバーテンディングもこなす。”伝説のバーテンダー”として有名なチャールズ・シューマン氏の「シューマンズ バー」(ドイツ・ミュンヘン)や世界最高のバーアワードTHE WORLD’S 50 BEST BARSにも選ばれた「DRINK KONG」(イタリア・ローマ)にゲストバーテンダーとして招待され、小川氏が生み出す繊細ながらもバランスのとれたカクテルの味わいが海外でも高く評価された。
宮﨑哲郎(みやざきてつろう) 三和酒類株式会社 営業本部グローバルマーケティング室室長。宮崎大学農学部応用生物科学科卒業。学生時代にはバーテンダーのアルバイト経験をもつ。2004年、三和酒類入社。製造部、営業部を経て、2014年にアメリカ子会社として設立されたiichiko USAの初代駐在員として出向。アメリカ国内では「iichiko彩天」や「いいちこシルエット」などを取り扱うバーを約500店舗にまで広げる。2023年より大分県の本社勤務に戻り、「iichiko彩天」をさらに広げる活動を行っている。
文 沼由美子 ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
■ カンパリについて
カンパリが誕生したのは1860年。創業者のガスパーレ・カンパリ氏は、創業間もない1867年にミラノのドゥオモ広場の一角に「カフェ・カンパリ」を出店。発売当初から、そのほのかに甘く、心地よい苦みをたたえたリキュールはミラノっ子たちの間で大流行。やがてカンパリはミラノをはじめイタリア各地でその名を馳せるようになりました。 カンパリは、その鮮やかな赤色、オレンジやハーブの洗練された複雑なアロマ、そして独特のほろ苦い味わいが唯一無二の存在として、多くの人々を魅了してきました。創業から160年以上経った現在でも、その秘蔵のレシピは変わることなく受け継がれており、濃厚なアロマとビターテイストは、パーフェクトなベースとして、今では世界中で数々のカクテルに使用されています。
CAMPARI(カンパリ)ソーシャルメディア
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■ iichiko彩天について
日本を代表する本格焼酎ブランド「iichiko」が、米国トップバーテンダーと共同開発した「iichiko彩天」。焼酎の常識を覆す、プロユース仕様・アルコール度数43%の麦焼酎です。日本伝統の「麹」由来のうまみを最大限に活かし、力強く重厚な味わいを実現。2025年6月17日(火)より日本市場に向けて発売されました。
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