BAR TIMES

2019.08.19 Mon

特集企画「トニックエッセンス ジントニックスタイル」 Vol.5ライムジュース3ml、スライス1枚。
これ以上の酸味はいらない。

岸 久(STAR BAR GINZA)

昨年、大きな話題を呼んだ「ボンベイ・サファイア トニックエッセンス」。バーテンダーのみなさまからの熱いご要望を受け、2019年も「ボンベイ・サファイア トニックエッセンス プロモーション」が実施されることを記念して、本企画ではトニックエッセンスを監修した5人のバーテンダーに開発当時のお話を伺いながら、スペシャルなジントニックをご紹介いただきます。最後にご登場いただくのは、STAR BAR GINZAの岸 久さんです。


そのジンに合ったトニックエッセンスの開発は、自身の長年のテーマでもあったという岸さん。実際、開発をするにあたってどんな点にこだわり、何を目指したのか。トニックエッセンスへの強い想いを聞いた。(撮影/STAR BAR GINZA)



濃くて酸っぱい昔のジントニックから脱却。
約20年目にして店の新たな核となる一杯が完成。

昔、銀座のバーで出されるジントニックのことを、通称『ギントニック』って言っていた時代もあったんですよ。高級グラスに高級なジンを入れて、ライムをぎゅーっと絞ってね。トニックウォーターなんかほんの少ししか入れなくて、ソーダをちょっと足す。すごく濃いし、すごく酸っぱいんですよ(笑)。それで、何十年か前に僕が初めてロンドンに行った時に、バーで出されたジントニックが結構おいしかったし、カウンターにドカンって無造作に置かれたりなんかして(笑)、“ああ、ジントニックってもっと気軽に飲むものなんだ”って印象を受けたんです。2000年にスタア・バー・ギンザを開いた時、それまで主流だった濃くて酸っぱいジントニックをちょっと変えようと思って、今のスタイルにしたんです。あれから約20年、もうひとつくらい核となるジントニックがほしいなあって思っていた時に、出来たのがこのトニックエッセンスを使ったプライムジントニックでした。最初は、日比谷にあるスタア・バーで限定メニューとして提供していたんですけど、お客様からの反響もあって今では通常メニューとしてお出ししています。


サファイアのジントニックに強い酸味は必要ない。
ライムジュースは5mlではなくこだわりの3mlに。

トニックエッセスの開発時に、ボンベイ・サファイアのジントニックには過度な酸味は合わないっていうのが、みんなの共通認識だったんです。だから、ライムをギュッと絞るのではなく、果肉が透けて見えるほど薄く切ったスライスを入れるのが、一番いいんじゃないかってことになったんです。見た目にも綺麗ですし、ボンベイ・サファイアのイメージにも合いますから。これは少し大げさかもしれませんけど、ライムが薄いからグラスの中に入れただけでも浸透圧でちょっと出るんですよね、酸味が。香りもそうですけど。でもやっぱりそれだけじゃ足りないから、ライムジュースを3ml入れたレシピにしました。5mlじゃなくて3ml。外国製のバースプーンってちょっと大きいので、昔から1tspは5mlって言われているんですけど、日本のは小さいので実は5mlもないんですよ。だから、トニックエッセスを開発する時、ライムジュースは3mlがいいのか、5mlがいいのかいろいろ試した結果、今のレシピになったというわけです。このジントニックの場合、あまり酸味を効かせすぎると、トニックエッセンスの良さがなくなっちゃいますからね。

ライムは薄いスライスを1枚。酸味は最小限に抑える。
RECIPE


◎ボンベイ・サファイア      30ml
◎トニックエッセンス       10ml
◎ライムジュース          3ml
◎ソーダ               90ml
◎ライムスライス         1枚


2018年に誕生したトニックエッセンスについて、どんなプロジェクトだったのか。開発に携わった岸さんに改めて話を聞いた。

海外には存在したトニックの原液。
何十年も待ち望んだトニックエッセンスの開発。

海外ではトニックの原液みたいなものはかなり昔からあって、90年代にはまあまあ見かけましたよ。私もロンドンで買って来て、日本で使ってみたりして。でもだんだんなくなってきちゃって、海外に行く人に買って来てって頼んだりもしましたけど、結局みつからなくて。それで、今回トニックエッセンス開発の話が持ち上がった際に、是非やりたいって言いましたよ、待ってたんだよね、もう何十年もって(笑)。それで、これはという人に声をかけました。よく、個性のあるバーテンダーばかりだから大変だったんじゃないかって聞かれますけど、大変じゃなかったですね。それぞれ違う個性や考え方があっても、良いと思われるものって結局一致するんですよ。例えばお風呂の湯加減だって、熱い湯が好きだっていう人、ぬるい湯が好きだっていう人がいても、そこには幅っていうものがあるわけで、僕がいくら熱めの風呂が好きだっていってもさすがに60度の湯には入らない(笑)。むしろ、ある程度経験がある人たちだからこそ、意見は極めて一致しましたよね。
机上の空論ではい。メンバーと実際につくりあげた
一番おいしいプライムジントニックのレシピ。

最初からどんなジントニックにするかテーマは決めていました。例えば、見た目は、すっきりクリアで美しくなければいけないというように。より透明感があって、味わいもスムースなもの。もちろんボンベイ・サファイアはジンなので、それなりにアルコール度数はありますけど、ジンがジンたる味わいで、ものすごくジュニパーベリーが効いているようなものだったら、同じトニックエッセンスをつくるのでもまったく違っていたはずです。もっとスパイシーさやシトラス感をバーンっと効かせて、もっとググッとくる濃い味わいにつくったと思いますよ。でも、これの場合はそうじゃない。ラーメンで言ったらとんこつじゃない、っていうことです(笑)。今回思ったのは、やっぱりチームで開発できて良かったという点です。自分ならどんなジントニックをつくるか一人ひとりプレゼンテーションして、テイスティングして。そうすると、「あっ、こっちの方がおいしい」とか「さっきの方がおいしかった」ってなる。机上の空論ではなく実際に試したからこそ、このレシピが一番おいしいって自信を持って言えるんです。



岸 久(きし・ひさし)プロフィール
一般財団法人カクテル文化振興会理事長・日本ジン協会代表。「STAR BAR GINZA」(東京・銀座)オーナーバーテンダー。

「ボンベイ・サファイア トニックエッセンス」とは
ボンベイ・サファイア トニックエッセンスは、5人のレジェンドバーテンダー監修のもとに開発された、ボンベイ・サファイアのための本格的なトニックエッセンスです。
トニックエッセンスとは、トニックウォーターの原液です。すでに完成されたトニックウォーターとは異なり、混ぜる炭酸水の水質、硬度、ガス圧、分量などによって味わいが変化します。トニックエッセンスを使うことによってカクテルの幅が広がり、つくり手であるバーテンダーのこだわりと調合技術をカクテルに色濃く反映させることが出来ます。




取材撮影/ BAR TIMES
取材協力 / バカルディ ジャパン株式会社

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