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2016.09.6 Tue

トップバーテンダーが感じた「パーフェクト・カクテル」南雲 主于三さんに聞く

BAR TIMES STORE

441ページの圧倒的なボリュームで最先端カクテルの作成ノウハウが紹介されている「パーフェクト・カクテル 〜ニューヨーク最先端バーのスーパーテクニック〜」。この学術書のように論理的で美術書のように美しいカクテルの専門書をトップバーテンダーはどのように読み解くのか。BAR TIMES編集部は日本を代表する5人のバーテンダーに本書についての率直な感想をお聞きすることにしました。

お二人目に原稿をお寄せ頂いたのは、南雲 主于三さんです。カクテルの概念を軽々と飛び越えて、常に新しい価値をつくり出している日本を代表するミクソロジスト 。南雲さんの自由で斬新な発想と情熱的で真摯な姿勢は多くのバーテンダーに影響を与えています。


 

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撮影場所:MIXOLOGY LABORATORY

デイブアーノルド著「リキッドインテリジェンス」の和訳が発売されたと聞いて早速購入した。原本も持っていたが、内容が専門的すぎて英語の内容を100%理解するのには至らなかったからだ。しかし、本書「パーフェクト・カクテル 〜ニューヨーク最先端バーのスーパーテクニック〜」のおかげで内容はほとんど理解が出来た。デイブアーノルドは非常に科学的で、リアリストで、ロマンチストだ。おいしいカクテルを作るという甘く、理想的な夢に対して、非常に科学的かつ、再現可能なアプローチで液体の幅を飛躍的に広げた。

本書に書かれている多くの内容のいくつかは、多くのバーテンダーも一度は試したことがあったり、聞いたことがあるだろう。しかし、実際にその方法をここまで多岐にわたり実験を繰り返したバーテンダーは世界でもTony Conigliaroを除いて他に見当たらない。その中でウォッシングという章について個人的な感想をここで述べたい。

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ウォッシングという行為は清澄作業の一環で、液体の不純物を取り除き、液体をクリアする事を目的としている。ここ数年で一般的に行われているのはファットウォッシングである。有名なのは7年前ほどに作られたベーコンウォッカだ。ベーコンをスピリッツにインフュージョンしてベーコンフレーバーのウォッカをつくるというものだ。これにより油脂の味が液体に効果的に移る事が発見された。このファットウォッシングのほかに本書ではブーズウォッシング、ミルクウォッシング、エッグウォッシング、キトサンとゼラチンのウォッシングについて詳細に記載されている。

特にミルクウォッシングはここ数年で注目され、ロンドンのWhite Ryanの透明なダイキリや、シンガポールのGibsonのCrystal Ramos Gin Fizzなどでも使われている。ミルクと酒を合わせると双方が分離し、カード(凝乳)に酒類に含まれるポリフェノールなどが吸着し、カード(凝乳)を濾す事で不純物を除去して液体をまろやかにし、透明に仕上げる事が出来る。


バーテンダーでも何度かカクテルを作っていて液体が分離してしまった経験があると思う。その分離という状況は決してネガティブな事ではなく、その分離は成分として必然で、その先にこのようなウォッシングという方法があるとわかれば、分離した液体をまた違う目で見るようになるはずだろう。

ミルクウォッシングした液体は透明なのに酸味を感じ、まろやかで、シェイクすると卵白が入っているように泡立つ。これによって今までにないカクテルが出来るようになる。エッグウォッシングの項目ではなぜウィスキーサワーに卵白が入るのかが、実に論理的に説明されている。日本のバーテンダーはサワーカクテルに卵白が入るのは邪道だと思っている人もいると思うが、この章を読めば納得するはずだ。

ここで描かれているウォッシングの内容は適用する酒の種類と出来上がりの目的別に書かれている。どんな手法も万能という事はなく、適材適所が当てはまる。渋みの成分が多い日本茶のスピリッツにもウォッシングの方法は非常に役に立つはずだろう。本書の内容は全編にわたり、非常に専門的だ。知識がないと全く内容が理解できないだろう。

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ミルクウォッシングの手順を写真で詳しく解説

7「エッグウォッシング、ブレンデッドスコッチの場合」

しかし、内容は実に革新的だ。カクテルの世界を確実に広げてくれる知識と実験結果の塊のような本だ。わかりにくくても根気よく読み込んで、体得するのを強くお勧めする。


南雲 主于三
プロフェッショナル・ミクソロジストであると同時に都内3つのバーのオーナー。今、最も影響力のあるバーテンダーの一人。

スピリッツ&シェアリング株式会社 代表
MIXOLOGY tokyo
MIXOLOGY akasaka
MIXOLOGY LABORATORY




パーフェクト・カクテル

ニューヨークでハイテク・バーを営むカリスマ・バーテンダーが、最先端のカクテル作成ノウハウを惜しみなく公開した「パーフェクト・カクテル 〜ニューヨーク最先端バーのスーパーテクニック〜」が楽工社より発刊されました。ページ数/441P、レシピ/120点、カラー写真/450点のボリューム。

単行本: 441ページ / 著者:デイブ・アーノルド / 日本語版監修者:岸 久 / 翻訳者:二階堂 行彦 / 出版社: 楽工社 / 発売日: 2016年6月

詳しくはこちらから

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