fbpx

バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2022.03.23 Wed

グレンモーレンジィでつくる2つのホットカクテル完璧な「ラサンタ12年」をカクテルに
活かす鍵は、ホットミルクにあり。

グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク × Bar 石の華 石垣忍

1843年に、スコットランド北部のハイランド地方で生まれたグレンモーレンジィ。伝統的な製法を継承しながら、常に革新的に造られるシングルモルト・スコッチウイスキーだ。スコットランドで最も背の高いポットスチルを用いており、フルーティーでフローラルな風味が特徴。“樽熟成のパイオニア”として最高の樽にこだわり続けている。
花冷えの日が続くいま、3人のバーテンダーに、異なるグレンモーレンジィを使ったホットカクテル2種を提案してもらう。
東京・渋谷「石の華」オーナーバーテンダー・石垣 忍さんによる、冬の限定商品「グレンモーレンジィ ウィンター」、オロロソとペドロヒメネスのシェリー樽で追加熟成をさせた「グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク」のホットカクテルを紹介しよう。


秀逸なバランスの「グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク」

香りは甘く味はドライなオロロソ、香りも味も甘いペドロヒメネスという2種のシェリー樽で後熟された「グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク」。味わいの印象を、石垣さんはこう語る。

「非常にすぐれたバランスです。甘やかな香り、ペドロヒメネス由来の凝縮した干しぶどうのようなニュアンスといった、2つのシェリー樽の影響がとてもよく出ています。単体で味わうのに完成されている分、カクテルにするのがすごく難しいですね。何かを加えると、せっかくのバランスが崩れてしまうのです」

石垣さんによると、水を加えると苦味が出てしまい、炭酸水やトニックなど発泡性のあるものもぴったり来ない。ほうじ茶にジャスミン茶、思いつく割り材はすべて試したと言う。

芳醇なラムレーズンのアイスクリームを彷彿させる、カクテル素材とは?

「クラスに1人はいるような、みんなとは一線を画す個性派という感じのキャラクター。ひさしぶりに一筋縄ではいかないウイスキーと向き合いましたね」

そう、苦笑する石垣さんが、たどり着いたカクテルの素材とは——。

「僕は、カクテルを創る場合、ラベルの色合いやデザインからイメージすることもすごく大事にしています。造り手やブランドの想いや情報が込められているからです。同様に、オフィシャルのテイスティングノートを追いかけます。そこからどれを拾うかは、作りたい味をイメージして決めます。悩んで、あらためてテイスティングノートを見直し、“ラムレーズン”にフォーカスをあてました。ストレートではそこまで拾えませんが、何で割ればラムレーズンのアイスクリームのような味わいが立つかを考えて、素直に牛乳を選びました」

何かを加えるとどうしても出てきてしまうシェリーカスク由来の苦味を、乳製品を合わせることで、ポジティブに変えられると気づいた。うっかり開け忘れていた頭の奥の引き出しから引っ張り出したというべきか。さらに飲みごたえを与えるべく、キャラメルシロップを加えた。

「ここだったのね、とやっと落ち着きました」

こんなにもシンプルでいて、奥深い甘味、味わいの厚み、幸せな余韻が広がるのは、主役のウイスキーの力ゆえか。ストレートとはまた違う、驚きのおいしさが待っている。

石垣 忍さんの「グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク」ホットカクテル「ラサンタ ホットラテ」

[材料]
・グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスク:30ml
・1883メゾン・ルータン キャラメルシロップ:10ml
・牛乳:適量

[つくり方]
(下準備)
牛乳は鍋に注いで火にかけ、温めておく。

耐熱カップに、キャラメルシロップ、グレンモーレンジィ ラサンタ12年 シェリーカスクを入れてかき混ぜ、牛乳を注いで満たす。


 

石垣忍(いしがき しのぶ)
1973年、東京生まれ。老舗のすき焼き店、渋谷「松木家」併設のバーに勤めていた2002年、日本バーテンダー協会(NBA)主催「第29回全国バーテンダー技能競技大会」で総合優勝。2003年、自身の店「Bar 石の華」を開く。2005年、イタリア・トリノで開催された国際バーテンダー協会(IBA)公認の世界大会に日本代表として出場し、シニア部門で優勝。世界一となり、「第40回 BACARDI MARTINI GRANPRIX 2005」にて大会史上初、東洋人優勝を飾る。国際的な美術展等でのイメージカクテルの考案など、多方面で活躍。

Bar 石の華
カクテルに高い定評があり、多数のオリジナルを揃える。一見意外な素材の組み合わせも、独自の感性でカクテルに昇華させてしまう。季節の果物をはじめ、わさびや生姜、抹茶などは生産者から取り寄せ、最適な保存を経てカクテルに生かす。

東京都渋谷区渋谷3-6-2 第2矢木ビル B1F 

Tel: 03-5485-8405


インタビュー・文 沼由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。



   

BAR TIMES INFORMATION

関連記事はこちら

PAGE TOP