fbpx

バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2021.12.17 Fri

新しい価値のウイスキー「ニッカ セッション」をカクテルに素材と味の複雑なレイヤーで、
軽やかさと飲みごたえを表現

ニッカ セッション × THE SG CLUB 永峯侑弥

2020年9月、ニッカウヰスキーが6年ぶりにリリースした「ニッカ セッション」。
グレーンを使わず、スコットランドと日本のモルト原酒のみをブレンドした、次世代のプレミアムウイスキーだ。
今回は、3人のトップバーテンダーに、自由な感性と創造性で、「ニッカ セッション」の潜在力を引き出す新しいウイスキーカクテルを提案してもらう。1人目は、東京・渋谷「The SG Club」ヘッドバーテンダーの永峯侑弥さんである。


「華やかな香り、メロウな味わい。
個性的なモルトのジャムセッションのようです」

「The SG Club」のヘッドバーテンダーであり、カクテルづくりの責任者を務める永峯侑弥さん。「ニッカ セッション」を手にしたときの印象、そして香りと味わいのインパクトをこう振り返る。

「まず目に留まったのは、ボトルの色合いですね。ウイスキーでは見ないブルーカラーで、ラベルからは、創作意欲を掻き立てるようなアーティスティックな印象を受けました。香りはモルト由来の甘さと、オレンジの香り。味わいは、すごく柔らかくコクがあり、余韻のビター感が全体を引き締めてくれます。グレーンが入っていないモルトブレンデッドのため、味わいの構造が複雑で、華やかさから余韻のビター感まで個性的なモルトが上手につながっている印象でした。まさにいろんな個性のモルトがセッションしているような、ジャズっぽさを感じました」

永峯さんいわく、「カクテルを考案する際も、個性が絡み合っている点が魅力です」。柑橘のような華やかさ、モルトの甘い味わいやコク、カカオのようなビター感といった味わいの“パート”が多様な分、従来の重厚で強いウイスキーカクテルとは別のアプローチができるというのだ。

ごく手軽に飲むなら、ソーダ割りはもとより、濃いめの水割りもお薦めだと言う。「もともと濃いめの水割りが好きなのですが、『ニッカ セッション』ならメロウな印象とよく合うと思います。割合は1:1。氷は少なめにして、香りや味わいが開いてくるのを愉しみたいですね」


「固定概念を覆す」マインドに着想を得た、洗練を極めるオールドファッション

永峯さんが生み出したのは、金柑、ポルチーニ、花山椒を使ったカクテルだ。
一見、出会うことが稀に思える組み合わせである。
「世界でもっとも人気のあるカクテルのひとつ、オールドファッションを原型に、『ニッカ セッション』の『固定概念を覆し、新しいものを生む』というマインドに着想を得て創りあげました。オールドファッションは、ウイスキーにいろんな副素材を加えて味をつくるカクテルです。一見、ポルチーニと花山椒は遠く思えるかもしれませんが、ふたつの間にレイヤーをつくっていくことで、少しずつその距離を近づけていくのです。たとえば、『余市モルト』のスモーキーでビターな余韻に、ポルチーニの土っぽさや白味噌の旨味と香りを合わせる。そしてフェネグリークのスパイシーな香りでつなげ、『宮城狭モルト』や『ベン・ネヴィスモルト』のフルーティーさに、発酵した金柑を合わせつつ花山椒へ到達させる、といった流れをつくります。1つずつの素材が手をつないで 1杯のカクテルになるのです」

金柑の爽やかで華やかな香りが立ち上り、飲み口はとても軽やか。それでいて、その後に続く深みのある香りや旨味、塩気と多層のレイヤーが続き、いろんな味わいが次から次に広がってくる。度数の重さではなく、複雑性が飲みごたえを生んでいるのだ。そして、驚くことに、オレオサッカラムや発酵ジュースといった素材はすべて永峯さんの手製である。

「バーテンダーは、いろんな材料をひとつにつなげる存在です。『ニッカ セッション』は、スコットランドと日本の個性的なモルトをブレンダーの手によって一つの作品となってもの。そのマインドをカクテルで表現できたら、と思ったのです」

カクテルの名前は、「Odd Quintet(オッド クインテット)」。一見奇妙な組み合わせの素材が生む五味は、ひとつにまとまり、「新しい味わい」に昇華する。そのグルーヴは、うっとりするような酔いに誘ってくれる。

永峯侑弥さんのニッカセッション オリジナルカクテル「Odd Quintet(オッド クインテット)」

[材料・材料のつくり方]

  • ニッカ セッション:45ml
  • 花山椒オレンジビターズ:6dash〈1〉
  • 発酵・金柑ジュース:10ml〈2〉
  • フェネグリーク オレオサッカラム:1bsp(2ml)〈3〉
  • 白味噌のウォーター:2dash〈4〉
  • ポルチーニ フレーバーウォーター スプレー:2push〈5〉
  • 金柑のコンポート:1個〈6〉

  1. オレンジビターズに花山椒を漬けて香りを移す
  2. 金柑をペーストにし、水、蜂蜜を加えて真空で1週間寝かせて発酵させる。フルーティで複雑な酸味が出る
  3. オレンジピール、和三盆、煎ったフェネグリークを合わせ、真空で2日程寝かせる。スパイス感のある風味、メープルシロップのようなニュアンス、ビター感のあるシロップ
  4. 白味噌を水で溶き、フィルターで漉す。ソルトウォーターに比べ、塩気に加えて旨味や香りが広がる
  5. 「ニッカセッション」に乾燥ポルチーニを加え、低温調理器で60度で2時間加熱し、香りとエキスを抽出する
  6. 「モスカテル(シェリー酒)」のアルコールを飛ばして香りのみを取り、水、蜂蜜を加えて金柑を煮て、乾燥ポルチーニを加えてさらに煮る。1日置く

[つくり方]


  1. グラスに氷を入れておく。
  2. ミキシングティンに、ニッカセッション、花山椒オレンジビターズ、フェネグリーク オレオサッカラム、白味噌のウォーターを入れ、軽くステアし、氷を入れて再びしっかりステアする。
  3. 1のグラスに注ぎ、ポルチーニフレーバーウォータをスプレーし、金柑のコンポートを添える。


永峯侑弥さん プロフィール
1986年、鹿児島県生まれ。高校卒業後、自衛隊看護師の職に就いた後、飲食業への憧れから2007年より横須賀のバーにてバーテンダーの修業を積む。「Amber」(東京・西麻布)に入社し、店長を務める。「DIAGEO World Class 2018」総合準優勝。2019年より、SG Groupへ加わり、「The SG Club」ヘッドバーテンダーを務める。


The SG CLUB
世界で数々の受賞歴を持つファウンダー・後閑信吾氏率いるバーテンダーカンパニー「SG Group」の日本1号店。カクテルをカジュアルに楽しめる1階の「Guzzle(ガズル)」、ゆっくり味わう地下1階の「Sip(シップ)」、そしてシガーが楽しめる会員制フロアの2階「Savor(セイバー)」の3フロアからなる。
The World’s 50 Best Bars 10位 (2020) / Asia’s 50 Best Bars 3位 (2021)
東京都渋谷区神南1-7-8 Tel: 03- 6427-0204



インタビュー、文 沼由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)、取材・執筆に『日本全国 ご飯のとも お米マイスター推薦の100品』(リトルモア)、『読本 本格焼酎。』(プレジデント社)などがある。


ニッカ セッション × トップバーテンダー トップページ

   

BAR TIMES INFORMATION

関連記事はこちら

PAGE TOP