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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2021.11.22 Mon

エンピリカルのカクテルアプローチスペシャルティコーヒーの果実味と酸味を、スピリッツと相乗させる
――高宮裕輔のエンピリカルカクテル

エンピリカル日本発売記念企画

「エンピリカル」の日本発売を記念して、2種の「エンピリカル」を用い、国内のトップバーテンダーにカクテルとして昇華してもらった。今回は、東京・四谷「TIGRATO(ティグラート)」の高宮裕輔さんによる、コーヒーを使ったカクテルを紹介してもらう。

「エンピリカルは、『フレーバー第⼀主義』。個性が強い分、うまく生かせば他にはないカクテルに仕上がげられます」

高宮さんは、「THE PLUM, I SUPPOSE」と「AYUUK」を試飲し、2種のカクテルを試作してみて、こんな感想を抱いた。
「これまでも麹を使ったスピリッツはよく使っています。でも、ずばぬけたボディ感を感じました。あと、ほかにはないフレーバーの強さも」。
高宮さんが感じたとおり、エンピリカルは「フレーバー第一主義」のスピリッツである。造り手のラースとマーク・エミルは、⾃分たちの「フレーバー」という概念をより広げるべく、レストランという空間よりも、はるかに⼤きな舞台の「世界」に向かって表現しようと考えた。そこでたどり着いたのが、「スピリッツ」だったからだ。

手製の麹室でつくった麹をはじめ、ジンバブエのマルラフルーツ、ブラジルのジャングルのアサイ……といった原料を用い、ベーススピリッツから手掛け、東洋と⻄洋の酒造技術を独⾃にブレンド。こういった独自の製造方法によって、深みのある「フレーバー」を造り出している。
高宮さんは言う。「ほかの素材と合わせても消えない存在感があります。とくに『AYUUK』は個性が強い分、最初はレシピをつくるのが難しいと感じましたが、逆を言えば個性を生かせば他にはないカクテルがつくれるということ。ほかの素材と馴染んだときのインパクトがあるんです」
もし、ごく簡単にこの2種の個性を楽しむなら、どんな飲み方がよいだろうか。
「『THE PLUM, I SUPPOSE』は、グレープフルーツや湘南ゴールドといった柑橘と相性がよいですね。トニックウォーターやソーダで割って搾り入れてみてください。実際にやってみると、次々アイデアが湧いてきます。『AYUUK』は、唐辛子の風味を生かして、ブラッディメアリーにしても合いそうです」
さっそく、具体的に2種のカクテルのアプローチとレシピを見ていこう。


エンピリカル「THE PLUM, I SUPPOSE」の梅のような余韻を生かし、フルーティーなコーヒーと合わせる。

「初めて試飲したときは、アフターの梅のニュアンスと爽やかな酸味が印象に残りました。ここまで梅の香りと味がするんだと驚きましたね。近いスピリッツを挙げるなら、キルシュやフルーツブランデーが思い浮かびました。エンピリカルの個性を生かして、フルーティなカクテルに仕上げたいと考え、ニカラグア産のフルーティなスペシャルティコーヒーを合わせ、シャンパーニュで酸味を相乗させました」
甘味は、シンプルシロップより柔らかく、奥行きも出るアガベシロップを。シェイカーは、スリーピースよりも、空気が入って泡が立ちやすいツーピース(ボストンシェイカー)をチョイス。そのため、シェイク後はムースのようなクリーミーな泡の層がたつ。
味わいは、コーヒーカクテルでありながら重さはなく、極めて軽やか! フレッシュジュースを使っていないというのに、爽やかな酸味が口中を駆け抜ける。

エンピリカル エスプレッソ ロワイヤル


レシピ

  • エンピリカル「THE PLUM, I SUPPOSE」: 30ml
  • エスプレッソ:60ml(もしくは濃いめに抽出したコールドブリューコーヒー)
  • アガベシロップ:20ml
  • 水:30ml
  • シャンパーニュ:60ml
  • コーヒー豆:1粒

つくり方

  1. シェイカーに、エンピリカル「THE PLUM, I SUPPOSE」、アガベシロップ、水、エスプレッソ、氷(分量外)を入れてシェイクする。
  2. ダブルストレイン(茶こしなどで漉しながら)でグラスに注ぐ。
  3. グラスにシャンパーニュを注ぎ、コーヒー豆を中央に落とす。
エンピリカル『AYUUK』のアイラウイスキーのような香りに合わせ、コーヒーの酸味でまとめる

「ひと口飲んでみたとき、“燻製感”に強いインパクトを受けました。香りはアイラ系のウイスキーのよう。でも味わいはウイスキーとはまるで違う風味で、唐辛子の青っぽい感じが広がりましたね。以前からアイラ系のウイスキーにはバニラが合うと思っていたので、今回はバニラ系のリキュール『リコール43』を合わせました。コーヒーはアルコールでインフュージョンすることで、短時間でエキス分をしっかり抽出できます。粗挽きにするのは、雑味が出ないため。酸味をきかせたいので、ケニア産の酸味が特長のスペシャルティコーヒーを選んでいます」
エンピリカル「AYUUK」でしっかりとしたボディ感を、「リコール43」で甘味と複雑味を。ここに酸味と香りを加えるべくスペシャルティコーヒーを用いるという構成だ。さらにウッドチップを添えることで、燻香がより強調される。
「燻香を視覚でも嗅覚でも認識してより印象的に味わっていただきたい演出です。いわば“香りのガーニッシュ”ですね」


エンピリカル カフェ ネイル


レシピ

  • エンピリカルスピリッツ「AYUUK」: 40ml
  • リキュール「リコール43」:15ml
  • コーヒー(粗挽き): 6g
  • オレンジピール:1片
  • ウッドチップ(今回は楢を使用):適量

つくり方

  1. コーヒー用のドリッパーにコーヒー(粗挽き)をセットし、エンピリカルスピリッツ「AYUUK」、「リコール43」を注ぎ、ドリップする。
  2. ロックグラスに氷(分量外)を入れ、1を注ぎ、香りが立つまでステアする。
  3. オレンジピールを搾りかけ、グラスに落とす。
  4. 木製コースターにウッドチップを置いて火をつけ、グラスとともに提供する。


高宮裕輔さんのカクテルメイキング動画

高宮裕輔(たかみや ゆうすけ)


1983年、東京生まれ。東京・四谷「ティグラート」バーテンダー、ディレクター、株式会社はくすけ 代表。
世界的なカクテルコンペティションにおいて常にファイナリストに名を連ねる実力派バーテンダー。バーのハードルを下げ、カクテル以外にもコーヒーやジェラートを楽しめる店として、2018年東京・四ッ谷に「TIGRATO(ティグラート)」を開店。昼から営業するなど、バーテンダーの働き方改革にも尽力している。コーヒーへの造詣が深く、日本におけるコーヒーカクテルの第一人者として知られている。


TIGRATO(ティグラート)
東京都千代田区六番町13-6
Tel: 03-5214-1122

   

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