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2020.03.2 Mon

日本未進出の英国クラフトジンブランド8社のテイスティングイベントジンに魅せられた三浦武明氏が語る
「英国クラフトジン」の魅力とは

2019年12月12日、駐日英国大使館主催による英国クラフトジンのテイスティングイベントが、北青山のイベント会場にて行われました。バーテンダーおよびミクロソジストを対象にしたこのイベントでは、英国4地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)から集めた8ブランドのジンが勢揃い。しかも、すべてが日本未進出の英国クラフトジンとあって参加者は興味津々。さらに、日本におけるクラフトジンの第一人者、三浦武明氏がプレゼンターを務め、ジンの味わいの特徴だけではなく蒸留所やその地域の人々の話を織り交ぜながら、詳しくご紹介いただきました。BAR TIMESでは、テイスティンイベント終了後の三浦氏に、英国クラフトジンの魅力についてさらにお話をうかがいました。(撮影場所/アストンマーティン青山ハウス)


英国クラフトジン テイスティングイベントでは三浦氏がプレゼンターとして登壇。


英国クラフトジンに対し改めて感じたことは何ですか。

世界では今、6000種以上のジンが流通しています。造り手もかなり多様化していて、10年、20年前のロンドン ドライジンとは味の設計も大きく変化しています。例えば、柚子やラベンダーなど飲み手にも分かりやすい素材を使うことで、ジンに触れる入り口はだいぶ広がっていると思います。ただ、英国のクラフトジンは、一部分だけを際立たせるというよりも、ジュニパーベリーを中心に、コリアンダーや柑橘などロンドン ドライジンとして磨かれてきた味の設計が基本にあって、その上で個々の特徴を生かしたものが多くあります。ブレンドの妙と言いますか、素晴らしさがあるんです。多様なジンが出て来ているからこそ、ロンドン ドライジンの凄さ、完成された味わいに改めて気づけるようになりました。今、英国ではジンの蒸留所がどんどん増えています。多くはロンドン ドライジンからつながっている味わいですが、10年前にはなかったジンが出ている点をみても、本国のプライドを感じますね。

生産地域によって特徴の違いはあるのでしょうか。

ウイスキーと同じで水の影響は大きいと思います。また、地域によって特産物が異なるのでそういう意味では違いはあります。例えば、リンゴの産地だったらリンゴを使ったジンを造るとか、もちろんすべてではないですけどそのようなケースは多いですね。当然地元の素材は調達しやすいですし、その土地にあるものから発想して造れるのは、今のジンならではの面白さだと思います。これは造りの話とは違いますが、バーはもちろん、ハイクラスなレストランでもジンリストを用意している店が多いですね。英国国内でもジンの人気が高まっていることが分かります。食前にまずはネグローニを、というスタイルもありますが、ジンの裾野を広げる飲み方としてはやはりジントニックが圧倒的に多いと思います。


日本ではどのような方がジンを楽しんでいるのでしょうか。

国産ジンをきっかけにジンに興味を持った方たちが、ロンドン ドライジンをはじめとした海外のジンに親しみはじめていると感じます。その他にも、ワイン好きな方たちもどんどんジンの魅力にハマっているようです。僕は、ジンのイベントやセミナーでプレゼンターを務める機会は多いのですが、例えばハードリカーが好きな方はスペックに興味があるようで、蒸留回数や素材などを質問される場合があります。反面、ワイン好きの方たちは、「これはハーバルなジンだからオイリーな料理の後にはいい」など、どんなシーンでどう楽しめるか、あくまでも食とのペアリングとしてジンを捉えるんです。全然違う面からお酒を見ている感じで面白いですよね。ウイスキー好き、ワイン好き、焼酎好きが様々な入り口からジンに親しみはじめていて、これまでバーのカルチャーを知らなかったお酒好きの人が、ジンをきっかけにバーに足を運ぶ機会になるかもしれない。そう思うとワクワクしますね。


英国クラフトジンをカクテルにどう生かせば良いですか。

英国クラフトジンは、ロンドン ドライジンの伝統的製法を基本にしつつ、個性的な味わいを持ったジンが多いです。そのためギムレットでもネグローニでもマティーニでも、ベースを変えるだけでツイストになると思います。まずは自分の好きなクラシックカクテルをシンプルに変えていくだけでも面白いですよね。今から5年くらい前、数百種類のクラフトジンを揃えた店『GOOD MEALS SHOP』をオープンした時、知り合いのバーテンダーが感心しながらこう言ったんです。「苦味も甘味も酸味も完成されていて、最近のクラフトジンってここまできているんだ! よし、店に戻ってジンの水割りを開発しよう!」って(笑)。今のジンをどう解釈して、どう料理するか。まな板の上にのっている素材自体がこれまでと変わっているので、そこに対してのアプローチや味付けの仕方というのも当然変わるだろうし、クリエイティビティを発揮できると思います。そういう意味では、バーテンダーにとって英国クラフトジンは本当に面白い素材だと思います。


三浦 武明(みうら たけあき)

株式会社フライングサーカス代表
株式会社ジュニパーボーイズオウン代表

2000年のHERE WE ARE marbleのプロデュースによりカフェブームを牽引。以降、飲食店を中心に数々の企画・開発に関わり2005年に独立。
TOKYO FAMILY RESTAURANT(2006)や400種類以上のクラフトジンをラインナップするGOOD MEALS SHOP(2014)など渋谷を中心に5店舗の飲食店を経営。
2013年からはジンのセミナーやワークショップを開催、ジンフェスティバル東京を主宰する。
craftgin.jpにて“ジンを巡る旅”連載をスタート。



これらの英国クラフトジンにご興味をお持ちの方は、駐日英国大使館 国際通商部までお問合せ下さい。
Email: importfromuk.jp@fco.gov.uk



【ウェールズ】Abber Falls
Welsh dry gin(左)、Small batch gin(右)

【北アイルランド】Copeland Distillery
Copeland Irish gin


【北アイルランド】Strawhill Estate
Jacquard Gin


【スコットランド】Crafty Distillery
Hills & Harbour


【スコットランド】Glenrinnes Distillery
Eight Lands Speyside Gin

【イングランド】The London Distillery
Dodd’s(左)、 KEW(右)


【イングランド】 Colwith Farm Distillery
Stafford’s Cornish dry gin


【イングランド】Spirit of Harrogate
Gooseberry(左)、 Rhubarb Slingsby(右)



   

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