BAR TIMES

2019.08.27 Tue

ハンドクラフト・アイラジン「The Botanist」ブランドアンバサダー
クロエ・ウッドセミナー

Rémy Cointreau Japan 株式会社

7月上旬、ブルックラディ蒸留所のブランドアンバサダー クロエ・ウッドが来日、バーテンダーの方々向けのセミナーを実施しました。

クロエはアイラ島生まれアイラ島育ちというイーラッハ(アイラっ子)。父はブルックラディ蒸留所のパートナー農家で、一家で蒸留所と密接な関係にありました。その仕事を傍で見ていたクロエは、卒業後の進路として自然とブルックラディ蒸留所を選んだのです。
ツアーガイドとして世界中のウイスキー愛好家を相手に蒸留所の説明や造り手の情熱を伝えるほか、バーテンダー向けに開催されるアカデミーなどを担当。そして2018年からアジアパシフィック地域のブランドアンバサダーとして、シンガポールを中心に活躍することに。それはいみじくも、前ヘッドディスティラーでありアイラ伝説の男として知られたジム・マッキュワンの願い「アイラの若者に世界への扉を開きたい」という夢の実現でもありました。
日本への来日は5回目。ブルックラディ、ザ・ボタニストの伝道師として全国各地でセミナーを行ってきましたが、今回はザ・ボタニストに照準を絞り、プロ向けセミナーを実施しました。


セミナーではまず長い蒸留の歴史を持つアイラ島でも最初のジンとして誕生したザ・ボタニストの詳細な造り方を説明。
その始まりは前述のジム・マッキュワンたちが、閉鎖するグラスゴーのインヴァーリーヴン蒸留所を訪れて、使用できる機材はないかと検討していた時のこと。ローモンドスチルという、非常に珍しいスチルが彼らの目に留まりました。なんとかしてこれを手に入れたいと思い、年間予算の大半をはたいてようやく交渉が成立。こうしてこのスチルはブルックラディ蒸留所へ運ばれ、その姿かたちから「アグリー(醜い)・ベティ」(大ヒットしたコメディドラマのタイトルから)と呼ばれるようになりました。
このスチルは当初ジンを造るためにと用意されたものではありませんでしたが、ジムの「アイラのテロワールを体現するジン」への想いを具体化していく中で、素晴らしい可能性が開いていきました。ジムはスチルに改良を加え、アルコールの蒸気が「よりゆっくりと」流れるようにしました。ネックの部分に1枚だけあった銅のプレートを45度の角度で重ねた6枚の銅プレートに入れ替え、さらに銅のパイプを75本組み込んだパーツを追加。蒸気の流れを抑制して銅との接触を増やし、よりクリーンなスピリッツが完成します。

そしてジムはアイラ島に住む2人の植物学者、ガリバー夫妻(リチャードとメイヴィス)に相談し、島内で継続して採取できるボタニカルの採取を依頼。2人が厳選して採取してきた30種類のうちから、最終的にジムが22種類を使用することを決定しました。
現在ではジェームズ・ドナルドソンが1人で、ザ・ボタニストに必要なボタニカルの全てを採取しています。その期間は毎年3月から10月― 11月から翌3月までは自然保護と環境の回復のために、採取は行いません。どんなに島に群生している植物でも、一カ所で大量に摘むことはせず、様々な場所で少しずつ集め、環境に変化を及ぼさないよう細心の注意を払っています。
クロエは「ウイスキーの聖地として知られるアイラ島は、手つかずの自然に満ち、決して穏やかな日ばかりではありませんが、その環境の中で生き抜く生命力にあふれた植物がたくさん存在します。黄色いハリエニシダはアイラでよく見られる花ですが、ココナッツの香りがあり、アイラには存在しないエキゾチックな側面をもたらしています。レモンバームはシトラス、エルダーフラワーは蜂蜜の香り…ボタニカルが与えてくれるものは、植物の個性以上のものです」と説明しました。
その蒸留方法においても、誕生当時から変わっていません。まず英国産ニュートラルスピリッツ(小麦)をローモンドスチルに入れて、ジュニパーベリーなど世界各地から取り寄せた質の高い9種類のボタニカルを加え、30度ほどの温度でゆっくりと加熱。こうして時間をかけて天然のオイルやアロマを抽出するのです。
夜に始められる浸漬が終わるのは12時間後。翌朝再びスチルの温度を上げ、アイラのボタニカルを詰めた布の袋をセットします。再びゆっくりと時間をかける蒸留が始まり、アルコールの蒸気に22種のボタニカルが触れ、繊細なアロマが取り込まれていきます。7時間をかけて蒸留が終わると、アルコール度数80%前後の「ザ・ボタニストの原酒」ともいえる濃縮スピリッツが完成します。ここに、オクトモア農園の清廉な湧き水を加えて46度に調整したものが、現在全世界で愛されている「ザ・ボタニスト」なのです。
今現在、8バッチ(8日間)の蒸留で1年間分の生産をまかなえています。「たくさんあるように見えますが、本当に少量生産なのですよ」とクロエは語ります。


この日、セミナーではこの22種のボタニカルのエッセンスを用意。アイラ島のテロワールを表現するアロマをひとつずつ確認できるという貴重な体験も。さらに、用意された様々なハーブを使って、オリジナルのフォーリッジド(採取)カクテルを創作していただきました。

セミナーを終えて、クロエは「日本のバーテンダーの皆さんのクリエイティヴィティは素晴らしい。そして原産地に対するリスペクトも、スコットランド人に通じるものがあると思います。今、全世界のバーテンダーが#BeTheBotanistというハッシュタグをつけて、様々なカクテルをSNSに投稿してくれています。ぜひ日本の方にも参加していただきたいですね!」と語りました。
アイラ島のテロワール、造り手の想いを物語るハンドクラフト・アイラジン「ザ・ボタニスト」。そのストーリーと日本のバーテンディングが融合する新時代のカクテルが、これからも続々誕生していくことでしょう。


ハンドクラフト・アイラジン「ザ・ボタニスト」
「ザ・ボタニスト」は、ヘブリディーズ諸島のアイラ島で職人の技によって生み出されたドライジンです。このジンの本質は3つの言葉で表現されます:
WILD(野生)、FORAGED(採取)、DISTILLED(蒸留)。
伝統的なジンの原材料である9種類のコアボタニカルに加えて用いられる、アイラ島で採取された希少な22種類のボタニカル。ヘブリディーズ諸島のアイラ島に自生している「野生」のボタニカルを手で 「採取」し、島で丁寧に「蒸留」してつくられる「ザ・ボタニスト」は、この荒々しい島の自然と文化、造り手の哲学と情熱が詰まったエッセンスなのです。
アイラ島初のドライジンであり、究極的に原産地にこだわったスピリッツ。それは、アイラ島の土地と文化を物語ります。

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