BAR TIMES

2017.01.6 Fri

たまさぶろのBAR遊記ニューカレドニアBAR探訪1)
世界一美味しいピニャコラーダ
@Bar Piscine

たまさぶろ 元CNN 、BAR評論家、エッセイスト

訪れる国々でカクテル・グラスを傾けている酔狂者として、日本のバーテンダーを上回る一杯を授かる機会はなかなかない。もちろん、世界には名だたるバーテンダーがおり、世界中にちらばっているのだが、そうしたトップクラスのバーテンダーに当たらない限り、BARで一杯呑んで感心することは少ない。日本のバーテンダーの「基礎学力」は、世界的に眺めても相当ハイレベルだ。

しかし、ことトロピカル・カクテルに限ると話は違う。「マイタイ」、「チチ」、「ブルーハワイ」などなど…こればかりは、どうにも南の国、南の島でお目にかかる一杯に軍配が上がり、日本のBARで「これだ!」と唸るトロピカル・カクテルに出会う機会が少ない。アメリカでは、これらによく傘が添えられており、同伴した女性にオーダーを訊ねると「なんでもいいから、傘が射してあるカクテル」とリクエストされることさえある。


右がこのBARのオリジナル、左がシンプルだが絶品のピニャコラーダ

中でも気になるのは「ピニャコラーダ」。ピニャコラーダは、ラム、パイナップル、ココナッツ・ミルクをブレンドしたカクテル。おおむね、フローズン・スタイルで、パイナップルやチェリーが添えられ提供される南国を象徴するかのような一杯だ。通説では1963年、プエルトリコのサンファン旧市街地にあったBARで「ドン・ラモン」により発明されたとされている。南の島で生まれたカクテルだからだろうか、やはり南の島を訪れるたびに、オーダーしては味見をしてしまう。

今回やって来たのは南の島は、ニューカレドニア。ニューカレドニアと言えば、今の40代以上には「天国にいちばん近い島」として知られている。森村桂原作、原田知世主演で大ヒットした80年代の映画タイトルだ。

チェックインしたホテルは、第一の都市「ヌメア」にある「シャトー・ロワイヤル・ビーチリゾート&スパ」。さっそくホテルのバーに足を運ぼうと考えるものの、メインバーがオープンするには、まだ時間がある。すると日中でもプールサイドのBARが営業中だと言う。


ホテル・プール側から眺めるとさらにファンシーなBAR

「Bar Piscine」(バー・ピシーヌ)は、フランス語でずばり「ビーチ・バー」の意。ニューカレドニアの公用語はフランス語だ。

バー・ピシーヌは、ホテルのプールの外縁に作られており、手前側はプールの中に設えたシートに腰掛け堪能することができ、反対側はビーチから上がって来て、バーに席を取ることができる。まだ水着に着替えていなかった私は宿泊客にもかかわらず、ビーチ側へと出、回り込んでバー・カウンターへ。男性客は、ローカル・ビールの「ナンバーワン」を呑んでいるが、やはりせっかくなので、トロピカル・カクテルにしよう。

このバーのオリジナル「ビーチ・カクテル」を。目の覚めるようなブルーは、ニューカレドニアの海を思わせるブルーキュラソーによるものだ。ブルーハワイの亜流のようなテイスト。ただ、ちょっと私の「トロピカル」気分とは異なるので、次の一杯に考えを巡らせる。

限られた時間の中で、次に何をしようかと考えていると、隣の美人がピニャコラーダを呑んでいる。バーテンダーにカクテルについて訊ねようと英語で話しかけても、フランス語しか介さないバーテンダーは、首を横に振るか縦に振るか…というだけで、次のカクテルのヒントを得ようがない。もう「ヨシ! ピニャコラーダで行こう!」とオーダー。  

氷とラム、パイナップル・ジュース、ココナッツが手際よくブレンダーにかけられ、パイナップルもチェリーも傘も飾られていないシンプルなピニャコラーダがさっそくやって来る。おお! 目が覚める。なぜだろう。やはり日本で呑むよりも美味い。察するに南の島のほうがパイナップル・ジュースとココナッツ・ミルクのクオリティが高い、よりフレッシュなのではないだろうか。どうにも日本で呑むと、その二つの味が「薄い」と感じるのだ。


ビーチ側から眺めたBAR ホテル客以外も気軽に利用できる

すると隣の美人が「ここのピニャコラーダが世界一美味しいの」と英語で話しかけてくる。お、英語だ。聞けば、ロザルカさん(Rozarka)は、ヌメアの生まれで現在、ニュージーランドのオークランドに住んでおり、夏休み(そう南半球は夏)で帰省中とのこと。


ニューカレドニアンのロザルカさん お気に入りのピニャコラーダとともに

こちらのホテルには日本人スタッフも駐在しているので、日本語でさまざまな質問に答えてもらえ、アクティビティの手配などにもまったく苦労はしないのだが、やはり、地元の人とちょっとした世間話ができるのは、旅の醍醐味でもある。

ロザルカさんのお父さんは、ホテルから15分ほど歩いたあたりでワインショップを経営していると言う。「ここのピニャコラーダは世界一、美味しい」と繰り返す。ホテルにもビーチにも用はないもの、彼女はピニャコラーダを呑むために、わざわざこのBARにやって来たとか…。やはりオークランドで呑む一杯とは「だいぶ異なる」のだそうだ。万国共通…、ピニャコラーダは南の島で呑むに限るのだろうか…。おっと、オークランドからすると、ニューカレドニアは「北の島」だった。

70年代から人気を博すピニャコラーダの味を決めるのは3分の1ずつ使用するフレッシュパイナップル・ジュースとココナッツ・ミルク。どちらも南の島でこそ入手が容易な素材だけに、やはり本場の味…ということだろうか。年始の休暇先が未定の方、ぜひ候補地のひとつにいかがだろう。

美人との会話とピニャコラーダを堪能しているとディナーの時間がやって来た。後ろ髪を引かれるものの「オーボア」とBARを後にする。さて、この「世界一のピニャコラーダ」、次に呑むことができる機会は、いつになるだろうか。

Bar Piscine
Chateau Royal Beach Resort and Spa
140 Promenade Roger Laroque,
Noumea 988807
Nouvelle-Caledonie
Phone: +687 29.64.00

 


 

たまさぶろ
元CNN 、BAR評論家、エッセイスト
立教大学文学部英米文学科卒。週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学にてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsとして勤務。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュース。日本で初めて既存メディアとウェブメディアの融合を成功させる。これまでに訪れたバーは日本だけで1000軒超。2015年6月、女性バーテンダー讃歌・書籍『麗しきバーテンダーたち』上梓。米同時多発テロ事件以前のニューヨークを題材とした新作エッセイ『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在』、好評発売中。
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