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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2016.09.27 Tue

BAR TIMES編集部が今注目するTOP BARTENDERMIXOLOGY LABORATORY
南雲 主于三さん

第1回[TOP BARTENDER Philosophy]BAR TIMES 編集部

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TOP BARTENDER Philosophy

バータイムズ編集部が今注目のバーテンダーをご紹介する編集企画「TOP BARTENDER Philosophy」(トップ バーテンダー フィロソフィー)。バーテンダーの仕事とは、カクテルとは、今後のビジョンはなど、トップバーテンダーたちは、どんな思いやこだわりを持って自らを高め、理想に向かって邁進しているのか。普段のカウンター越しでは見られない一面をご紹介いたします。

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第一回目のトップバーテンダーは南雲主于三さん。カクテルの概念を軽々と飛び越えて、常に新しい価値をつくり出す、今もっとも熱い視線を集めるミクソロジストの一人であり、「 The Bar codename MIXOLOGY tokyo / The Bar codename MIXOLOGY akasaka / MIXOLOGY Laboratory 」都内3つバーのオーナーでもあります。

南雲さんはバーテンダーという枠にとらわれず、30年先のビジョンを見据え、今すべきことは何かを常に考え動き続ける実にパワフルな方。BAR TIMES編集スタッフは、お話を伺うにしたがい、南雲さんの世界にどんどん引き込まれてしまいました。



ここでしか飲めない味の想像ができないカクテルとは


南雲さんがつくるカクテルは普通のそれとは違う。食材を使い再蒸溜したスピリッツをベースに、その味わいを最大限にいかしたカクテルをつくり出すのだ。例えば、タンドリーチキンとマンゴーのカクテル、ブルーチーズのマティーニといった具合。メニューを見ただけではどんな味わいなのかさっぱり想像がつかない。
「味の想像ができない方がいいんです。飲んだ時、驚きがあるでしょ。うちのお店ではどの国に行ってもある程度材料が揃えば飲めるカクテルはほぼ作りません。誰でも作れたらつまらないし、ここでしか飲めないから意味があると思っているんです。」

求められるイマジネーションとクリエイティビティ


南雲さんの視線の先に見えているのは20年後、30年後のバーテンダーの姿。確実に今とは状況が変化しているという。

「もしかすると50年もしたらカクテルはオートメーション化しているかもしれない。有名なバーテンダーが作ったカクテルが店に行かなくてもボタンひとつでロボットが作ってくれる時代になっているかもしれない。でも中味を考えるのは人間なので、“レシピを開発する職業”という新しい道を拓く人がきっと出てくるんだと思います。それはどんな人かというとクリエイティブな発想ができる人。例えば、今僕は様々なブランドからの依頼でカクテルを作っていますが、このブランドが持つクリエイティビティをどう表現するかを求められるわけです。僕はバーテンダーだからカクテルですけど、シェフだったら、パティシエだったらどう表現するか、もっと言うと写真家だったらこのお酒をどう撮るのか。こういうイマジネーションとクリエイティブ性が人を引き寄せ、関わりを強くすることで、業界の枠を超えたコラボが今後盛んになっていくんだと思います。先日も、うちのお店でトムヤムクンのカクテルを飲んだパティシエが、トムヤムクンのチョコレートを作ってわざわざ送ってきてくれました(笑)。そういう出会いとかつながりって本当に面白いですよね。」


20160923-4「次の世代のバーテンダーに何を伝え、何を教えるのか、今から少しずつ始めなくてはいけない」と熱く語る南雲さん。


基礎を身につけ殻を破り距離を置く「守破離」の考え


シェフとバーテンダーのコラボは大きな可能性を秘め、国境を超えると南雲さんは考えている。
「料理には和食にもフレンチにもそれぞれの世界観があってカクテルはそれに合わせることができます。日本には特に料理人とバーテンダーがたくさんいますから、互いに歩み寄り切磋琢磨していけば新しいジャンルが生まれ世界的にも広がっていくんじゃないかと思っています。しかし、何でもかんでもクリエイティブなものをと言っているわけではなくて、そこには「守破離(しゅはり)」が必要。

「守」とは、バーテンダーにとってベーシックな技術を身につけること。これは外せない第一ステップです。「守」を身につけたら、今までの殻を破いてクリエイティブなものに挑戦してみる。これが「破」です。最後の「離」は、バーテンダーそのものから一旦離れてみること。シェフやパティシエといった人たちとの関わり合いの中で、今まで自分が扱ってこなかった技術や手法に触れる。こういう風に世界へ飛び込んで行くバーテンダーが増えていくと思います。そうするとお客様も楽しめる場所が増え、料理を楽しむが如くカクテルを楽しむ。その場所はもはやバーであるとは限らない可能性もありますね。


20160923-3フォアグラウォッカがベースの「ガストロ チョコレート カクテル」。相性のいい自家製カシスパウダーとミソパウダーを添えて。


南雲主于三はひとつのパーツ。チームで動くことの面白さ


30年先を頂上とすると今はまだ三合目だと言う南雲さん。挑戦したいことは山ほどあるが、まずはさらなるバーの発展に力を注ぐ。その理由は、まだまだお酒の魅力を伝えきれていないから。長年お酒に携わり、これからも同じ熱量を持って頂上へと進んで行く。失礼ながら、飽きないのだろうか? 素直に聞いてみた。
「よく聞かれます(笑)。でも飽きないんですよ。自分が一番ワクワクすることは何だろうって考えると、面白いものに出会ったり、食べたりするとすごくテンションが上がる。正直、カクテルを作るよりも素材を作っている方が好きだったりします(笑)。例えば、このフォアグラウォッカを作った時、自分でもすごいと思いました。素材としては完璧! だけどカクテルにするとまったく美味しくないんです。

その絶望感といったら……(笑)。でもチョコレートとクリームを合わせてみるとナッティ感があってこれが美味しいんです。実はダメな素材なんてひとつもなくて、自分にそれを使いこなせる知識や技術がないだけ。どうしたら使えるか、どうしたらこの子たちに日の目を見させてあげられるか考えるのが僕の仕事です。今はいろいろな仕事があって、昔みたいに自由にカクテルだけに向き合える楽しい時間が減ってきました。でも、自由にやってきたからこそ人との出会いがあって今があると思うんです。今度はその土台を生かしチームで動きたいと考えています。南雲主于三はひとつのパーツでいいんです。1人のクリエイティブよりも10人、100人。その方がいろいろな角度から物事が見えて遥かに面白いですからね。刺激が興味を持続させ、熱は熱から発生する。僕がずっと飽きないでいられるはそこなんだと思います。」



プロフィール
南雲主于三(なぐも・しゅうぞう)
1998年にバー業界へ進み多くのバーで修業を積む。2006年に単身渡英し、メトロポリタンホテル内にある「Nobu London」に1年弱勤務し、帰国前の1ヶ月ほどヨーロッパの各地を巡りイギリスの酒や食文化に触れる。帰国後、XEX TOKYOのオープンに携わり、ヘッドバーテンダーに就任。2009年に現在自身が運営するスピリッツ&シェアリング株式会社を設立。東京・八重洲に「The Bar codename MIXOLOGY tokyo」を、赤坂に「The Bar codename MIXOLOGY akasaka」を開店させ、2014年に3店舗目となる「MIXOLOGY LABORATORY」をオープン。現在に至る。

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南雲さんのカクテルメイキング動画「Gustro Chocolat Cocktail 」をBAR TIMES チャンネルでご覧ください。

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