BAR TIMES

2016.03.22 Tue

麗しきバーテンダーたち「麗しきバーテンダーたちの世界」
@ bayfm

たまさぶろ 元CNN 、BAR評論家、エッセイスト

書籍『麗しきバーテンダーたち』をなぜ企画するに至ったか…その経緯や理由については弊著に記したゆえ、こちらでは割愛する。ただ、人気コミック『バーテンダー』原作者・城アラキさんから弊著に寄せてもらった「麗しきバーテンダーたちの生き方」には、こうある。「本書を手にした読者が、あらためて馴染みのバーに行くとき、女性バーテンダーの作る一杯の味は、以前と少しだけ違って感じるはずだ」と。

残念なことに、いまだに本書が女性バーテンダーのブロマイド帳のようにとらえられているらしく、読みもしない者から「なぜ女性バーテンダーの場合は、顔を露出するのか」などと特に同じ女性からの、やっかみとも取れる的外れな非難を浴びることも多々。

最近、カクテル・コンペティションなどでも、女性受賞者がかなり増えているせいか、「協会に可愛がられているから、えこひいきだ」と心ない男性バーテンダーが愚痴っているのを耳にしたことさえある。

元来、まったくの男社会であるバーテンダー業界において、長らく、そして人知れず労苦を重ねて来た女性バーテンダーに対し、よくもそんなひがみ根性を浴びせることができるものだと感心する。二十一世紀ともなると、男の度量もずいぶんと狭くなったものだ。いや、男とはもともとそんな生き物なのかもしれない。

2011年3月初頭に取材を終えた本企画は、東日本大震災もあり、まさにお蔵入りの危機もあったが、書籍発売から9カ月が経ち、弊著がガイドブックではなく「女性バーテンダー讃歌」であることを理解してくれる人々も増えた。ありがたいことに過日、株式会社ベイエフエム(通称:bayfm)の平日帯番組「with you」でも「麗しきバーテンダーたち」が取り上げられたので、ここにレポートする。

 


 

パーソナリティの松本ともこさんが取り上げてくれたのは「デイリーwith you」のコーナーにて。このコーナーは、日替わりで「今、巷で噂になっていること」、「これから注目したい者」などを雑誌の特集ページ感覚でオンエアする。この日は「麗しきバーテンダーたちの世界」と題し、弊著に掲載されている千葉市のバーの店長・鈴木さや香さんをゲストに招き、その独特の世界の一端を切り取った。

番組のホスト、松本ともこさんは91年にFM東京入社、その後フリーとなり、この道25年のベテラン・パーソナリティ。一方、ゲストに招かれた鈴木さや香さんは、バーテンダー歴18年…ともに男性社会の中で荒波にもまれ、さぞかし苦労話が…と考えたのは私だけだったようで、東京湾を望む明るいスタジオで終始明るいトークが繰り広げられた。

松本さんがコーナーの冒頭で、バーに足を運ぶ際「どんなバーテンダーがいるのか気になりますよね」と口火を切ると、そこに「カーン!」と金属音が響き渡る。緊張した鈴木さんが、なんと持ち込んだシェイカーをマイクスタンドに当ててしまうというハプニングからスタート。なんとも生放送らしいオープニングに、スタジオが和む。
しかし、松本さんからの質問が始まると、この職業に就いたきっかけについても、バーで「グレンリベット(スコッチ・ウイスキーの銘柄)を勧められて、それまでとの違いに感動して」と柔らかく受け答え。そこはさすがにベテラン・バーテンダーだ。

記事内1
生放送中にスタジオ内でシェイカーを振るう鈴木さん

続いて、この日は番組から鈴木さんに事前にオーダーがあり、松本さんをイメージしたカクテルをスタジオで披露することに。カクテルは、局名と麗しい女性を掛け合わせたイメージからネーミングされた「ベイビューティ」。レシピは、ウォッカをベースに、リキュールのブルー、エルダーフラワー、フレッシュグレープジュースを加え、シェイクしたショートカクテル。スピーカーからしゃかしゃかとシェイカーを振る音が響くと、まだ明るい昼下がりと言うことを忘れそうになる。

鮮やかなブルーのカクテルの完成を目にすると、松本さん、ちょうどこの日、ブルーのセーターで放送に挑んでいたため「私のブルーのセーターに合わせたわけでは…」と問いかけるも「ごめんなさい、そうじゃないんです」と鈴木さんが返し、漫才のようなぼけとつっこみまで聞かせ、愉快な番組となった。
アルコール度数は15%と弱くないながらも、松本さんは「グレープフルーツジュースの爽やかさが女性にぴったりで、バーでの最初の一杯にもいいかも」と感想を付け加えた。千葉市中央区に位置するバー「ジンジョインツ」に足を運び、「ベイビューティ」とオーダーすれば、リスナーもこのカクテルを愉しむことができる。千葉市にお住まいの方、足を運ぶ機会がある方は、ぜひ試してみてはいかがだろうか。

記事内2
できあがった美しいオリジナルカクテル「ベイビューティ」


最後に松本さんが、バーテンダーの難しさについて訊ねると「やはり人対人のお仕事なので、(お客さんが)何をしたいのかをくみ取って愉しく過ごして欲しい。でも、そこがもっとも難しい」と鈴木さんは答えた。

さて、これからバーの扉を開こう…そんな期待を持つ呑み手は、厳めしい男性バーテンダーの店ではなく、ぜひ麗しきバーテンダーの一軒で、手ほどきを受けてはいかがだろう。バーでのマナーは心得ておきたいものだが、お酒は薀蓄で呑むものでもないことが、よく理解できるだろう。もっとも私は、気難しい老バーテンダーの一杯の奥深さが好きで、バーに通いつめたりもするのだが…。

いずれにせよ、書籍『麗しきバーテンダーたち』の趣旨は誤解して欲しくないものだ。

バー ジン ジョインツ (BAR GIN-JOINTS)
千葉県千葉市中央区富士見2-21-3 STビル 6F TEL: 043-202-7705

余談だが、20年ほど前までは、この世に「FM誌」というカテゴリーの雑誌が存在し、こうしたFM番組の裏話や番組内容が誌上に掲載されたもの。すっかりそのカテゴリーが死滅してしまった現在では、こんなレポートもたまにはよかろう…と元「FMステーション」編集部の者として感慨に浸る。鈴木さんが、生出演前、緊張をほぐすため、ハイボールを召し上がっていたのも、内緒だ。


たまさぶろ
元CNN 、BAR評論家、エッセイスト
立教大学文学部英米文学科卒。週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学にてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsとして勤務。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュース。日本で初めて既存メディアとウェブメディアの融合を成功させる。これまでに訪れたバーは日本だけで1000軒超。2015年6月、女性バーテンダー讃歌・書籍『麗しきバーテンダーたち』上梓。米同時多発テロ事件以前のニューヨークを題材としたエッセイ『My Lost New York』、2016年1月発売予定。
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