BAR TIMES

2016.01.6 Wed

麗しきバーテンダーたちBar Tiare
柾木あすかさん

たまさぶろ 元CNN 、BAR評論家、エッセイスト

あのひとの手から紡ぎ出される至善のカクテルを、今宵も。疲れた夜、打ちひしがれた日、何かいい事があった時、分厚い扉を開けてバーへ足を踏み入れる。彼女たちはどんな時も変わらぬ美しい笑顔で迎え、それぞれの思いを込めた一杯をこちらへ滑らせてくれる。一口ふくむ、何も言う事は無い――。

幅約70センチのカウンターを隔てて、夜ごと客と向き合う女性バーテンダーたちの半生から、酒に寄り添う思い、職業観、目標まで、本音を引き出し紹介。北海道から九州までのバーでシェイカーを振る女性を紹介する。これは、単なるガイドではない。 「【東京】ゆとりを愉しむ至福のBAR」の著者が贈る女性バーテンダー讃歌である。

この度、書籍『麗しきバーテンダーたち』の6月1日発売を記念し、当該書籍から転載とした。
(※勤務先は取材当時の情報となります。)

 


全国バーテンダー技能競技大会で総合優勝に輝いた水澤泰彦さんが赤坂に「Bar Tiare」をオープンしたのは、2009年暮れ。タヒチの幸せの花を店名、テーマとしたバーは、その通り華やかで、多くの客を魅了している。

開業直後のある晩、創業メンバーの柾木(まさき)あすかさんが私の前に立った。既に全国ジュニアバーテンダー・カクテル・コンペティションのグランプリ受賞者だった彼女に「一杯お願いしたい」と口を開いた瞬間、水澤さんから「待った」が掛かった。彼女のサービス提供は時期尚早との判断だった。「さすが、厳しいな」と思った。

その点を柾木さんは「コンペと営業で一番違うのは接客面。大会は一連の流れを練習し続けた当日の結果に過ぎない。営業では、日々、その時その時で全く流れが異なる。接客のレベルが上がるまでは、という水澤のポリシー」と明快に話す。

そんな筋の通ったポリシーが、バーの品格を押し上げているのだと改めて悟った。もちろん、今では彼女の成長も認められ、匂い立つ華やかな彼女のカクテルにもありつける。

柾木あすかさん
柾木あすかさん(撮影:斉藤美春)


オーナー・バーテンダーのカクテルを求めてやって来る客を相手にする難しさはないかと尋ねると「お客様は師匠の一杯を待っている。でも、『自分の師匠は一番だ』と信じているので、それが気になることは無い。ただ、水澤不在の間、カウンターに立つのは私であり、これもTiareの味だと納得してもらえるようにしたい」と想いのたけを語る。

香川県出身。美大進学で上京し、夜の時間を有効活用しようとバーでアルバイトを始めた。女性バーテンダーの格好良さに憧れてカウンターに入り、カクテルに魅了された。町田市の「ダイアリー」で正社員に。絵師から調酒師への転身だった。

休日には、チョコレートケーキやチョコレートクッキーなどを「年中頬張っています」という、ごく普通の女性でもある。
「訪れたお客様が少しでも幸せに帰宅してもらえるよう」と満面の笑みを湛える彼女もまた、赤坂に咲く幸運の花かもしれない。

Bar Tiare (バー・ティアレ) 東京都港区赤坂4-2-2 赤坂鳳月堂ビル5階 TEL: 03-3585-7300
※『麗しきバーテンダーたち』より転載。最新情報については、店舗に連絡を。


たまさぶろ
元CNN 、BAR評論家、エッセイスト
立教大学文学部英米文学科卒。週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学にてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsとして勤務。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュース。日本で初めて既存メディアとウェブメディアの融合を成功させる。これまでに訪れたバーは日本だけで1000軒超。2015年6月、女性バーテンダー讃歌・書籍『麗しきバーテンダーたち』上梓。米同時多発テロ事件以前のニューヨークを題材としたエッセイ『My Lost New York』、2016年1月発売予定。
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