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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2023.11.27 Mon

日本のバーとの違いや現地での生活などロンドンで活躍する日本人バーテンダーへの9つの質問 – 中村充宏

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【Sponsored by バカルディジャパン株式会社】
今や様々な国のバーテンダーが自国以外のバーで活躍しています。もちろん日本人バーテンダーも例外ではありません。
そうした海外で活躍するバーテンダーが、現地でどのようなことを感じているのか、きっと気になる方は多いはず…
そこで今回は、バカルディジャパン主催のボンベイ・サファイアを軸としたロンドンツアーの企画の一つとして、バーの聖地と言っても過言ではないロンドンに赴き、2人の日本人バーテンダーにインタビューを敢行!
1人目となる今回は、ハイアット リージェンシー ロンドン内にある「The Churchill Bar & Terrace」でヘッドバーテンダーとして活躍する中村充宏さんに、9つの質問をしてみました。日本のバーとの違いや現地での生活など、バーテンダーならきっと役立つであろう回答ばかりです!


中村充宏 / The Churchill Bar & Terrace


中村さんはロンドンのバーシーンでは初となる日本人ヘッドバーテンダーとして活躍中

Liquor Page:1. バーテンダーとしてなぜロンドンに来たのでしょうか?

中村さん:主な理由としては、新しい挑戦がしたかったからです。コロナ禍で挑戦しようと決め、最初からカクテル文化でトップクラスのロンドンを目指しました。日本人バーテンダーが、どこまで職業として可能性を広げられるかも目的の一つですね。

Liquor Page:2. ロンドンに移り住んでどれくらい経ちましたか?

中村さん:2023年1月から住み始めて9ヶ月が経ちました。
移住の際には、とにかく労働ビザの問題に苦労しました。労働ビザは、自国で賄えない能力がある人に与えられるのが前提のうえ、役職に就く必要があります。今回はたまたま当店でヘッドバーテンダーを募集していたので運が良かったと感じています。

Liquor Page:3. ロンドンでの生活で印象的だったことは何でしょうか?

中村さん:たくさんありますが、例えばホテルでの発注業務でも、フルーツやハーブが発注どおりに届かないのは日常茶飯事です。届いても状態が悪かったり…
日常生活では、駅が前触れなく閉鎖されることには驚きました。また、Wi-Fiの取り付けの際には工事に来たと思いきや忘れ物をしたと言われ、次に来たのが1か月後でした。このように、日本での生活とはだいぶ違います。
その中でも最も記憶に残る体験としては、当店の新メニューのカクテルを、それぞれ自国が異なる3人のバーテンダーで作ったことですね。好みの違いはもちろん、日本とは違う材料の味など、計画どおりにいかず予定変更の連続…それでも楽しみながら前に進めようと意見を出し合いました。正解は一つじゃないとお互いの意見を否定せずに尊重することなど、実体験をもって学べたのは大きかったですし忘れられませんね。

Liquor Page:4. 日本とロンドンのバーシーンの違いによるカルチャーショックはありましたか?

中村さん:まずはノンアルコールの定義ですね。イギリスではアルコール0.5%もノンアルコールに入ります。なのでノンアルコールドリンクの風味付けとしてそうしたものを使うことがあります。
味については、あくまで私の経験則ですが、ヨーロッパの人は材料が5種類あれば、口に入った瞬間に、同時にそれら全ての味がする感覚を好むことに少し驚きました。日本では奥行きや旨味を中心に考えていたので、層のように味が出現する順番を考えて味わいを作っていました。そしてサービスにおいては、積極的な会話が必要なことです。ヨーロッパでは、お客様とコミュニケーションを取ることがおもてなしになり、スタッフは積極的に話しながら場を盛り上げようとし、お客様もそれに応じてくれます。お互い良いお酒の席を作ろうとしていますね。これを信頼し合い良好な関係を築くことをラポールと表現しています。

Liquor Page:5. 今ロンドンで流行っているジンのカクテルで、日本人も好きそうなものはありますか?

中村さん:日本人に合うカクテルの中では、ブランブルの注文は多いと感じています。

Liquor Page:6. ボンベイ・サファイアの印象を教えてください。また、どんな味わいのカクテルがふさわしいと思いますか?

中村さん:実際に蒸溜所(ラヴァーストーク蒸溜所)にも行きましたが、改めて香りの美しさとスパイスによる深い甘みが印象的だと感じました。ロンドンに来て、香りの立体感や濃厚さに対する意識が変わったこともあり、この特長的な香りを活かすにはシンプルなカクテルが合うと思います。副材料が優しく香りを高めてくれるイメージですね。

Liquor Page:7. 特定のカクテルだと何がオススメですか?

中村さん:ロンドンに来て、ボンベイ・サファイアに特に合うと思ったカクテルは、アヴィエーションですね。
まず、ヨーロッパではかなり豊富な種類のバイオレットリキュールが手に入るのと、味や香りの豊かさが日本で手に入るものと違う気がします。
ボンベイ・サファイアに使われているボタニカルのオリスやクベバベリーの香りとバイオレットリキュールがとても良く合い、また材料がシンプルであるため、カシア樹皮やグレインズオブパラダイス(ギニアショウガ)の深い味わいが楽しめます。

Liquor Page:8. 海外で修業する日本人バーテンダーはこれからますます増えていくと思いますが、 海外に行く前に準備しておけばよかったと思うことはありますか?

中村さん:いつかは海外でカクテルを作りたいと思っていたこともあり、アイデンティティ、バーテンディング、言語力は必要だと思い準備してきました。私にとってのアイデンティティは茶道の稽古、バーテンディングは大会への挑戦や日頃の仕事、言語力は毎日必ず英語学習の時間を作ると、それぞれ目標を決めて取り組んできました。
ただ、他者を尊重したり、境界線を決め過ぎないこと、柔軟性を高く持つことについては、日本にいるときからもう少し意識を持っておいても良かったかなと感じています。

Liquor Page:9. この先のビジョンを教えてください。

中村さん:ロンドンに来てから様々な方に言われたので自覚はしていますが、日本人バーテンダーの新しい歴史を作っている気概で日々働いています。
バーテンダーとしては、テクニック、味の構成、材料の組み合わせなど、日本と比較しながら最終的には中村充宏個人としてのオリジナリティに昇華していきたいです。
サービスに関しては、日本独自のおもてなしと世界のホスピタリティをもっと研究していきたいですね。
そして2020年に出版した本にも書いたのですが、私の経験を次の世代に繋いでいきたいです。

中村さんが活躍する「The Churchill Bar & Terrace」の店内

中村さんを含む3人のバーテンダーが考案したシグネチャーカクテル「UNITY」は、3人の出身国の素材や要素を組み合わせたカクテル

中村さんが執筆した書籍「自分をデザインする(出版:パブリック・ブレイン)」については、こちらからご覧になれます。
「自分をデザインする」 – Amazonページ

まとめ – 経験から培われる創造力

国が違えば、当然バーの事情も異なるうえ、そこに訪れる方たちが求めるものも違います。
そうした中で、人それぞれ経験することが違うからこそ、それがインスピレーションの源となり、新たな挑戦を支える創造力が培われるものです。
ボンベイ・サファイアのキャッチコピーは“かきたてる創造力”
あなたはこの記事からどのようなインスピレーションを得られたでしょうか?
以上、中村充宏さんへの9つの質問でした。


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