BAR TIMES

2019.07.7 Sun

「成田 一徹 to the BAR 」in BAR TIMES 第六回
バー5517〈東京〉

Office Ittetsu & BAR TIMES

バーを愛した切り絵作家の故・成田一徹さんの著作権を管理されている「Office Ittetsu」と荒川英二氏(バーUK)のご協力のもと、成田さんが遺された作品の一部を「成田 一徹 to the BAR 」 in BAR TIMES としてご紹介させていただけることになりました。成田さんが切り描いたバーという世界の魅力に触れてください。


第六回 バー5517〈東京〉2001年

銀座の名バーの1軒。店名の「5517」は住所の「5丁目5-17」に由来する。一徹は、チーフ・バーテンダー稲田春夫さんの実直で柔和な人柄が好きで、折りに触れて店にお邪魔したが、意外なことに、店内を絵にしたのはこの一度くらい。マスター自身の人物像は別途、雑誌「Whisky Voice」の連載で一度取り上げている。銀座のバー業界の最長老として慕われ、85歳まで現役を貫いたが、2013年11月に他界。
(神戸新聞総合出版センター「NARITA ITTETSU to the BAR」より転載)


銀座五丁目並木通り、三笠会館の地下。左手に緩やかな曲線を描くバーカウンター、奥のほの暗い空間には十卓程のテーブルがスポットライトに浮かびあがっている。
普段はテーブル席を広くとったバーにはあまり足が向かない。一人のときが多いし、どちらかというとバーテンダーに適度にかまってほしい方(タイプ)である。それには広からず狭からず、バーテンダーの目が届く適度なスペース、できればカウンターだけの店がいい。
「BAR5517」のお目当てはチーフバーテンダーの稲田春夫さんである。満席になれば六十人近くが入るという、ともすれば散漫でとりとめのないムードになりがちなこの広いスペースをキリリと引き締めているのは、カウンターの中にいる稲田さんという気がする。
その風貌と存在感から厳しそうな印象を受けるが、優しい人である。ただ二十三歳で北海道から単身上京、戦後の銀座の酒場史を体現してきた人である。印象通り厳しい一面も持っている。それは若い人にケジメの大切さを諭す極くまっ当な厳しさと、一方ボトルキープとカラオケ全盛期、何かがおかしいと感じて店を閉じた、そんな職業人としての自分への厳しさである。
現在七十七歳、勤めのバーテンダーとしては最高齢の一人だろう。オリジナルカクテル「5517」をお願いすると、稲田さんは苦味走った表情で軽やかなシェーキングを見せてくれた。
(朝日新聞社「TO THE BAR 日本のBAR 74選」より抜粋)



月間「清流」より@上田佑勢

成田 一徹 (なりた いってつ)


1949年神戸生まれ。サラリーマン生活のかたわら切り絵に目覚め、88年に上京。切り絵作家として独立した。BARの空間をモチーフにしたモノクロームの切り絵をライフワークとしつつ、新聞、雑誌、書籍を中心に、街の風景や市井に暮らす人々、職人の仕事や生き様など多彩なテーマで作品を発表した。エッセイストとしても、軽妙で味わい深い文書にファンも多く、各地で個展、グループ展を多数開催した。講談社フェーマススクールズ・インストラクターも長くつとめた。2012年10月、脳出血で急逝。

著書に『to the Bar 日本のBAR 74選』 (朝日新聞社)『カウンターの中から』(クリエテ関西)『東京シルエット』(創森社)『The Cigger Story-葉巻をめぐる偉人伝-』 (集英社)『成田一徹の切り絵入門』 (誠文堂新光社)『あの店に会いに行く』(中央公論社)『神戸の残り香』 『新・神戸の残り香』(神戸新聞総合出版センター)『NARITA ITTETSU to the BAR』(神戸新聞総合出版センター)など多数。


◎Office Ittetsu オフィシャル Facebook はこちら
◎バーUK さんのホームページ内のこちらから、成田一徹さんの小作品原画や複製画の一部を購入することが出来ます。
◎「成田 一徹 to the BAR 」in BAR TIMES 他の作品はこちらから



切り絵作家 成田一徹さんの作品がバーカウンターに蘇る「成田一徹 バーマット」詳しくはこちら

関連記事はこちら

PAGE TOP