BAR TIMES

2018.11.26 Mon

『カクテルアワード2018』澁谷暁典氏インタビュー「紫翠」こそ、バーテンダー人生
10年の集大成

BAR TIMES 編集部

9月27日、グランド ハイアット東京(東京・港区)で『2018サントリー ザ・カクテルアワード』の最終選考会が行われた。日本最大級のカクテルコンペティションとして、過去最多の約3000作品の頂点に立ったのは、澁谷暁典氏の『紫翠(しすい)』。チャンピオンとなった澁谷氏に、熱戦を制した努力と思い描く未来を聞いた。(撮影場所/BARエルロン)


3度目の正直でつかんだ
チャンピオンの称号

今回の挑戦は5回目でした。初めて最終選考会に進んだとき、いきなりテキーラ部門の最優秀賞を受賞したんです。私自身それで満足していたのですが、お客様に『まだチャンピオンじゃない』と言われてしまって。その後、昨年の挑戦で再び最終審査会に残りましたが、壇上で名前を呼ばれることはありませんでした。思い入れのあったカクテルで満を持して挑んだつもりだったので、本当に悔しかったですね。ですから、今年、真のチャンピオンを獲得できたときは、感無量でした。最終選考会まで進んだのは今回が3回目だったので、まさに3度目の正直でした。

カクテルでこそ花開く
「ROKU」の多面性を表現したい

課題製品からジャパニーズクラフトジン「ROKU」をチョイスしたときに、和をテーマにしたカクテルを発想しました。抹茶や生姜など日本を感じさせる材料を選び、どれが突出するわけでもない調和した世界を表現しようと思いました。「ROKU」は温度帯や加水率で味わいが広がる多面性を持ったジンです。ストレートではなく、味わいをのばしてカクテルにすることで、桜や山椒の香りが開いてくる。さまざまな香りがふわっと華やかに広がったものがまとまるおもしろさが、調和をテーマにしたカクテルのベースにぴったりだと思いました。

たくさんの人の意見を取り入れ
愛されるカクテルが完成

今年がこれまでと違っていたのは、たくさんの人に意見を聞いたことです。当店のオーナーや先輩、お客様、同年代のバーテンダーとあらゆる方々に見てもらいました。試作段階では、香りのバランスがあまりよくないことを指摘されました。ちょっとした材料の多さが原因でそのように感じるということがわかり、それからは、材料とベースの調整をくり返す日々。特に『わつなぎ 生姜』の分量には本当に気を使いました。技術的には、見栄えがする立ち振る舞いになるよう、動画を撮影したり、先輩に見てもらったりしましたね。こうしてようやく完成したのが、『紫翠』です。受賞コメントでお世話になった方々への感謝を述べましたが、本当にみなさんに支えられてできたカクテルだと思っています。その分、老若男女たくさんの方々に愛される味わいになりました。実際、受賞後は日々の営業でもご提供していますが、伝票に『紫翠』と書かない日がないほどです。おかわりされるお客様も多く、1週間で「ROKU」が2本も空いてしまうんです。それから、受賞後はお客様に、澁谷ではなくチャンピオンと呼ばれるようになりました(笑)。優勝したことを面識のないバーテンダーまでもが話題として伝えてくれたことで、お祝いに来ていただけるお客様も増えました。バーテンダー同士のつながりも感じられた受賞でしたね。


受賞後はスタイルにも変化が。「以前は、カクテルをつくる際はおしゃべりしなかったのですが、今はお客様から質問がどんどん来るので、追いつかなくて、お話しながらつくっています」と笑う澁谷氏

銀座での経験・知識・人脈が1杯のカクテルになった
今年のアワードはバーテンダー人生が詰まった大会でした。今までの経験や知識、人脈すべてを総動員したイメージです。11月でこの店に勤めて10年になります。この紫翠は銀座で出会った人やお客様との集大成となるカクテルです。これから、副賞として連れて行っていただける海外カクテルの旅ではアメリカとメキシコに行きたいと思っています。海外研修に行くと、必ず考え方が変わるもの。そこで得たパフォーマンスや味わいを吸収してくるのが私の役目だと思っています。現地に行って初めてわかるカクテルの世界をお客様に提供したいですね。


プロフィール / 澁谷 暁典(しぶや あきのり)年齢32歳、東京都出身、BARエルロン(東京都・銀座)勤務


『紫翠』は、山の木がみずみずしく美しい景色を表す言葉。その名のとおり、爽やかな口当たりと味わいが魅力。「胃腸を活性化させる食前酒としても、お口をさっぱりとさせる食後酒としても楽しんでいただけます」と澁谷氏

紫翠(しすい)

■RESIPE■
ジャパニーズクラフトジンROKU(六)……25ml
マスカットリキュール ド フランス ミスティア ……15ml
サントリーリキュール ジャポネ〈抹茶〉…… 5ml
フレッシュレモンジュース……10ml
サントリー わつなぎ 生姜…… 5ml

■つくり方■
1,シェークして、カクテルグラスに注ぐ。
2,レッドチェリー、オレンジの皮、ライムの皮、グレープフルーツの皮を飾る。


澁谷 暁典氏の『カクテルアワード2018』優勝カクテル『紫翠(しすい)』をBAR TIMES チャンネルでご覧ください。(撮影場所/BARエルロン)

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