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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

1500.01.20 Sat

『BIRDY.』12周年記念プロジェクト「卯」が意味する“跳躍”を、
困難を越える一杯に託して。
混乱の中から生まれた「Space Storm」

十二支でめぐる物語(卯年編)/ロジェリオ 五十嵐 ヴァズさん(BAR TRENCH)

『BIRDY.』は2025年11月、ブランド誕生から12周年を迎えました。
職人技術に裏打ちされた卓越した品質と洗練されたデザイン――。『BIRDY.』の12年は、常にプロフェッショナルバーテンダーとともに歩んできました。創造性、技術、ホスピタリティといったバーテンダーが体現する美学も、『BIRDY.』が大切にしてきた価値そのものです。

今回、この12という数字にちなみ、干支を重ね合わせた特別企画「十二支でめぐる物語」がスタートします。12人のバーテンダーが、自身の干支をモチーフにオリジナルカクテルを創作する特別プロジェクトです。

一杯のカクテルのみならず、そこに至る思いや歩みに触れられる内容です。世代もスタイルも異なる12人が紡ぐ、12の個性と12の物語。『BIRDY.』の12年とともに巡る、新たなストーリーをお届けします。

卯年生まれのバーテンダー ロジェリオ 五十嵐 ヴァズさん(BAR TRENCH)

十二支は、動物を当てはめる以前に、漢字そのものに意味があるとされています。「卯」には、うさぎのように跳ね上がるという意味があり、卯年は何かを始めるのに縁起がよく、物事が好転していく年になるといわれています。

今回、その卯年をテーマにカクテルを創作したのは、Rogerio Igarashi Vaz(ロジェリオ・イガラシ・ヴァズ)さん。23年以上にわたり国内外で経験を重ね、クラシックへの敬意と柔軟な発想を併せ持つバーテンダーです。混乱のただ中にありながらも、前へ進む意志を一杯に込めた、静かで力強い物語を語っていただきました。

卯年生まれのバーテンダー ロジェリオ 五十嵐 ヴァズさん(BAR TRENCH)。

■バーテンダーを志したきっかけを教えてください。
私は23年以上バーテンダーとして歩んできましたが、当初からこの道を志していたわけではありません。学生時代、学費をまかなうために飲食業界で働き始めたことが、すべての始まりでした。
恵比寿の小さなインターナショナル・カフェで働く中で、俳優やミュージシャン、アーティストを目指す人たちが集う、クリエイティブなコミュニティに出会いました。私自身も写真を学びながら、その一員として日々を過ごしていました。
やがて二つの世界を行き来する中で自分の軸に迷いを感じ、バーの仕事に本気で向き合う決断をします。その瞬間から、バーテンダーとしてのキャリアが本格的に動き始めました。今振り返ると、この道を選んだことに心から感謝しています。

■カクテルのアイデアは、何をきっかけに生まれますか。
インスピレーションは予測できないもので、思いがけない瞬間に訪れます。私はバーにノートを置き、ふと浮かんだ考えを書き留めています。言葉、音、お客様との会話、映画のワンシーン──そうした断片的なメモが、次のメニューに使われることもあれば、何年も温められることもあります。創造性は急いではいけません。

■バーテンダー人生の中で、大きな影響を与えた人や出来事はありますか。
この20年間、世界各地を旅する機会に恵まれ、多くの人や場所と出会い、自分のスタイルを形づくってきました。中でも印象深かったのが、パリのハリーズ・バーです。歴史ある店でありながら、時代に流されることなく、1911年のオリジナルレシピブックに基づいたクラシックを提供し続けていました。100年以上にわたりあらゆるトレンドを乗り越えてきた姿は、大きな刺激になりました。私たちの店はまだ15年。学ぶべきことは、まだまだ多いと感じさせられました。

卯年アレンジカクテル『Space Storm(スペース ストーム)』に込めた想い

うちの店では、クラシックカクテル「フレンチ75」をアレンジした、ニッカ カフェジンベースのシグネチャーカクテル「TRENCH75」を7年間提供してきました。しかし、アサヒビールを襲ったサイバー攻撃の影響で出せなくなってしまい、それが私にとって大きな転機でした。

その状況をただ受け止めるのではなく、前向きに捉え、新しい表現につなげたいと考えました。アサヒビール、そしてニッカの製品を使い、いまの環境だからこそ生まれる一杯を模索したことが、このカクテルづくりの始まりです。

着想の起点となったのは、「サイバー」という言葉から連想した、宇宙や空間を漂うイメージでした。そこに、クラシックカクテル「ダーク&ストーミー」の“嵐(Storm)”というモチーフを重ね、カクテル名を「Space Storm」と名付けました。嵐は混乱や困難の象徴であり、今回の出来事そのものでもあります。

私は卯年生まれです。ウサギが大きく跳ねて障害を越えていくように、この一杯には、困難を軽やかに乗り越えていく“俊敏さ”のイメージを重ねました。突然訪れた供給停止という嵐も、必ず次の創造へとつながっていく――そんなメッセージを込めています。

味わいの設計では、スモーキーさ、ジンジャーの辛味、レモンのスパイス感とビターさ、それぞれの素材に明確な役割を持たせました。ハイボールスタイルでありながら、ベースとなるニッカ フロンティアの力強さが失われない構成を意識しています。

ベースに選んだのは『ニッカ フロンティア』。力強い骨格と飲みやすさを併せ持つブレンデッドウイスキー。穏やかなスモーキーさが奥行きを与え、ハイボールスタイルでもベースの存在感が際立つ。

グラスブランド SIP AND GUZZLE『Sunao 12oz TB』は、
ボルドーワイングラスのように飲み口部分が少しすぼまっているため、中の香りが滞留するデザイン。スモークや香りを閉じ込めたい時は上部の空間を使った演出が可能で、ロングカクテルに最適。

『Space Storm』
〈材料〉
・ニッカ フロンティア…45ml
・自家製ジンジャーコーディアル…20ml
・レモンジュース…20ml
・アフロディーテ・ビターズ…3dash
・ペリエ…50ml
〈つくり方〉
①シェーカーに氷を3つ入れ、ウイスキー、ジンジャーコーディアル、レモンジュース、ビターズを加えてソフトシェーク。
②大きめの氷をれたタンブラーに注ぎ、ペリエを加えビターズを垂らす。最後にドライライムを飾る。
『Space Storm』のカクテルメイキング動画はこちらからご覧いただけます。
道具で人生が変わったエピソード

最後に道具へのこだわりや、道具によって人生が変わったエピソードについて伺いました。

バーテンダーとして23年のキャリアの中で、私は質の高くない道具も、高品質な道具も数多く使ってきました。だからこそ、優れた道具に触れた瞬間、その違いははっきりと分かります。

完璧なバランスと精度でつくられたシェーカーは、キャップを閉じたときの感触や、シェーク後に開ける際のスムーズさに表れます。その確かさが、使い手の所作を自然と整え、無駄のない美しい動きへと導いてくれるのです。

道具は毎日、何時間も使うものだからこそ、その影響は少しずつ積み重なっていきます。高品質な道具を使うことで、動きは洗練され、仕事のリズムも整っていく。その結果として、最終的に提供する一杯の佇まいや完成度にも、確かな違いが生まれると感じています。

「完璧なバランスと精度でつくられたシェーカーは、所作そのものを変え、最終的なドリンクの佇まいにも影響を与える」とロジェリオさん。今回の企画では、干支のイラストが記された『BIRDY.』のシェーカーが特別に贈られ、ボディには卯年のイラストが施されている。

『BIRDY.』のブランドマネージャー 横山 哲也氏と。

ロジェリオ 五十嵐 ヴァズ
日本においてバーテンダーとしてのキャリアは長く、日本ではあらゆる形態の違うバーで経験を重ねたことが現在の彼のスタイルをつくりあげた。 また、ロジェリオ氏は日本におけるカクテル・ビターズのパイオニアといえる。さらに、2005年から、カクテルにアブサンを多く用いたり、伝統的な飲み方を日本に紹介した点においても日本のバーシーンに貢献している。 現在は、株式会社スモールアックスの取締役であり、『BAR TRENCH』の共同経営者、チーフバーテンダーを務める。ブラジルの日系3世で、サンパウロ生まれ。20代で自分のルーツを調べに来日してから、30年間日本在住。



『BIRDY.』のカクテルツールは、バーツール専門店『BAR TIMES STORE』でご購入できます。

『BIRDY.』公式サイトはこちら。

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