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NEW2025.12.11 Thu

日本代表・阪田遥菜氏も世界の舞台へ「#HennessyMyWay 2025」
グローバルファイナルレポート

世界17名のバーテンダーがフランス・コニャックに集結

世界各地のバーテンダーが創造性とサステナビリティを競う、ヘネシー主催のカクテルコンペティション「#HennessyMyWay 2025」のグローバルファイナルが、2025年10月27日〜11月1日にフランス・コニャックにて開催されました。本記事では、現地から届いた写真と情報をもとに、大会の全体像や今年のトレンド、そして受賞作品についてご紹介いたします。

「#HennessyMyWay 2025」グローバルファイナル概要

■開催地:フランス・コニャック
■会場:Maison Hennessy / 蒸溜所・熟成庫・ラボ施設など
■開催期間:2025年10月27日〜11月1日の1 週間
■参加者:世界17名のファイナリスト
■審査ポイント
・カクテルの創造性
・サステナビリティ(素材循環・副産物活用など)
・リチュアル(提供時の所作・体験価値)
・ストーリー性・文化背景
・Hennessyとの親和性

「#HennessyMyWay 2025」グローバルファイナルの傾向

2025年の世界大会では、今年ならではの特徴がより明確に表れていました。

■ボタニカル・発酵・熟成の深化
ボタニカルや発酵、熟成といった自然由来の要素を重ねる表現が増え、キノコや海藻、樹木などを使った“自然のレイヤー”を感じるアプローチが際立っていました。

■サステナブル技法の高度化
出がらしコーヒーの再活用や焼き菓子のインフューズ、副産物の二次利用など、廃棄を抑えつつ味わいを引き出す技法がより洗練され、厨房技法とバー技術の融合が進んでいました。

■儀式性(リチュアル)の演出
火入れやスモーク、温度差、香りの立ち上がりといった演出を取り入れ、提供時の体験そのものに価値を持たせる表現が多く見られました。こうした“儀式性”が審査でも高く評価された印象です。

「#HennessyMyWay 2025」総合優勝

■Sandrina Burkhardt(ドイツ代表 / Stagger Lee, Berlin)
■カクテル名:Homecoming

2025年の総合優勝を飾ったのは、ドイツ・ベルリンのバー「Stagger Lee」に所属する Sandrina Burkhardt 氏でした。優勝作品となった 「Homecoming」 は、赤ワインやボタニカル、ポルチーニなどの発酵・自然素材を重ね合わせた、深みと物語性のある一杯。Hennessyが大切にする “素材をめぐる物語” を独自の視点で表現し、今年のトレンドを象徴するような作品として高い評価を受けました。


サステナブル賞(Most Sustainable)
■Damiano Pezzi(デンマーク代表)
■カクテル名:Space Cowboy

演出賞(Best Ritual)
■Martha May Markham(英国代表)
■カクテル名:Mer de Cerises

「#HennessyMyWay 2025」フォトレポート

■DAY 1|オリエンテーション&メゾン見学
初日はメゾン到着後、ブランドヒストリーや熟成庫(Chai)の見学を通じて Hennessy の世界観に触れるプログラムが行われました。夕方にはウェルカムレセプションが開かれ、各国のファイナリストが和やかに交流を深めました。

■DAY 2|テイスティング&カクテル技術ワークショップ
2日目は、原酒や熟成の違いを学ぶテイスティングからスタート。続くワークショップでは、講師のアドバイスを受けながら、参加者がそれぞれの技術を持ち寄り、カクテルづくりに取り組みました。

■DAY 3|グローバルファイナル(本戦)&アフターパーティ
最終日は、ファイナリストが一堂に会する本戦。ステージ上でカクテルを披露し、今年のチャンピオンが決定しました。夜のアフターパーティでは、参加者が互いの健闘を称え合い、大会の幕を閉じました。

「#HennessyMyWay 2025」大会を終えて

日本代表として「#HennessyMyWay 2025」グローバルファイナルに挑んだ阪田遥菜さん(サンクチュアリコート琵琶湖)と、グローバルジャッジとして各国代表のカクテルを審査した高橋大地さんに、世界大会で感じたこと、そして帰国後の心境をお聞きしました。

「#HennessyMyWay 2025」日本代表:阪田遥菜さんのコメント
まずはサポートしていただいた、ヘネシーファミリーの皆様、そして周りのサポートしてくださった皆様に感謝申し上げます。フランスで過ごした1週間は、まさに怒涛の日々で、あっという間に過ぎていきました。蒸留所の見学、テイスティング、海外でのゲストシフトなどバーテンダーを始めた頃には想像もしていなかった経験を、わずか2年で積むことができたことは、私にとって大きな財産です。大会当日は、日本の大会とは異なる独特の空気があり、緊張感の中にもどこかラフで温かい雰囲気が漂っており、互いを称えあい、楽しみながらプレゼンテーションすることができました。私の作品「Golden Threads」は、ヘネシー X.O を“朽ちることのない金”に見立て、飲むことでゴールドの糸が人と人をつなぐというコンセプトで創作したカクテルです。地元・和歌山の柑橘を使用し、自家製のハニー&麹シトラスシロップを仕込み、日本の発酵文化や茶道の所作も取り入れ、ヘネシー X.O の歴史と融合させました。初めての世界大会では、多くの学びがありました。味わい、日本の素材、所作に対して高く評価していただき、大きな自信につながった一方で、英語力や会場の雰囲気作りなど、自分の未熟さを痛感する場面もあり課題もたくさん垣間見えました。結果こそ悔しいものではありましたが、今はとても前向きな気持ちでいっぱいです。この経験を糧に、さらなる高みを目指して挑戦を続けていきます。また、大会を通して世界中に温かい仲間ができたことは、何にも代えがたい宝物となりました。出会いを大切にしながら、これからも一歩ずつ精進してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。


阪田遥菜さんのカクテル
■カクテル名:ゴールデンスレッド
① ヘネシー X.O…40ml
② ゴールデンティー…10ml
③ シトラス&ハニー麹シロップ…10ml
④ シトラスゼスト
⑤ 自家製琥珀糖(ガーニッシュ)

(ゴールデンティー)黒麹発酵茶を細かく挽き、梅シロップ小さじ1と熱湯100mlに加えてやさしく泡立てて抽出し、こしてから真珠粉を混ぜて仕上げます。(シトラスハニー麹シロップ)柚子・みかん・レモン・すだちを米麹と蜂蜜とともに瓶に入れ、フルーツ → 麹 → 蜂蜜の順で重ねます。水を注いで全体を浸し、自然発酵させて作ります。(ガーニッシュ)発酵で使用した柑橘ピールを寒天液と合わせて軽く煮詰め、型に流して冷やし固めて琥珀糖を作ります(ゴールデンティーとシロップの素材を再利用)。

『#HennessyMyWay2025』ジャパンファイナル 優勝者インタビューの記事へ

「#HennessyMyWay 2025」グローバルジャッジ 高橋大地さんのコメント
昨年に引き続きグローバルファイナルの審査をさせていただきました。今年は参加国も大幅に増えて、#HennessyMyWay の重要テーマであるサスティナビリティの解釈も多様化しました。そのため、特に重要視したのは、「自分を取り巻く環境を背景に、血の通ったアイデアで、ヘネシーとのストーリーをいかに体現できていたか」です。例えば、私の住むトロントでは水資源が豊富な代わりに、多くの柑橘類の生産ができないので、オルタナティブアシッドを使うことが一般的です。しかし、フルーツの生産が盛んな温暖な国で、オルタナティブアシッドは必ずしも必要ではありません?住んでいる国や地域が変われば、サスティナブルと称されるアイデアは共存しません。さらに、グローバルファイナルはヘネシーX.Oをベースにカクテルを制作します。味わいに対する配点が最も高いため、カクテルはヘネシーX.Oでこそ成立する理由とバランスが求められていました。実は、ヘネシーX.Oの味わいをしっかりと活かしていた作品は少数派でした。コンセプトは良い作品が多かっただけに悔やまれます。阪田さんのカクテルはシンプルながらも、味わいの完成度で高く評価されました。予選ではヘネシーX.Oを使わない国もある一方で、日々ヘネシーX.Oと向き合ってきた姿を感じることができました。過去2大会で日本人が優勝していたこともあって、オーディエンスからも注目の的でした。そのプレッシャーも跳ねのけるパフォーマンスだったと思います。

バーテンダーのみなさんはHennessyMyWay2026にぜひ挑戦してください。もしかしたら、英語がハードルに感じる方もいるかもしれません。決してあなたの情熱を、英語を理由に無駄にしないでください。うまく英語が話せているかは評価のポイントではありません。これは審査員3人で大会前に確認した事項でもあります。#HennessyMyWayに参加して、MyWayをより豊かなものにしてください。皆様のご応募お待ちしております。

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