fbpx

バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2016.04.25 Mon

SAKETRY 「思い出のボトル」第九回よりアードベッグ1976
マネージャーズ・チョイス
鈴木 勝雄 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

第9回記事内1
L P は直径30cm、よってジャケットは 32〜3cmの正方形。35cmの高さと奥行をもたせれば、レコード棚として効率がいい。音楽業界にいた鈴木勝雄さんは、レコード棚を自ら図面をひいてつくっていたが、これがウイスキーのボトルにもちょうどあてはまる。
此処のバックバーが、そうだ。整然と並ぶのを眺め、図書館のようだと言う客人もいる。本の館ならぬ、モルトの館である。シングルモルトが国内でほとんど出回っていなかった1997年、「モルトハウスアイラ」はオープンした。
「シングルモルトにハマったきっかけが、アードベッグでした。ケイデンヘッドの1974、オーセンティック・コレクション。アイラ島の蒸留所に感じるピーティさだけでなく、さまざまな要素が複雑に絡み合って、厚みのある味わい。強烈なインパクトでしたね」


開店翌年から2004年までは毎年スコットランドを訪れ、アードベッグ蒸留所にも通った。1980年代に操業停止していた同蒸留所が、グレンモーレンジ社の買収により復活したのが奇しくも開店の年。訪れる度に、当時のディスティラリー・マネージャー、スチュワート・トムソン氏と飲み語った。その後蒸留された原酒を数年おきにボトリングし、「ベリー・ヤング」から2008年に発売された10年ものの「ルネッサンス」に至るまで再生の道のりをファンに知らせてきたのは周知のとおりである。
その氏が初めてボトリングしたのが、1976年蒸留、1999年ボトリングのマネージャーズ・チョイス。蒸留所限定のボトルだ。それからはフランス、イタリア、日本向けに同ブランドがリリースされていった。このボトルを手にすると、あのウェアハウスの匂いが漂ってくる……。

Malt House ISLAY
東京都練馬区豊玉北5-22-16 キジマビル2F
03-5984-4408
営業時間:18:00 ~ 02:00(金・土~ 04:00、日~ 00:30)/無休

第9回記事内2

佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

saketry

11251240

関連記事はこちら

PAGE TOP