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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2015.11.25 Wed

麗しきバーテンダーたちBAR BELL
田村 里佳さん

たまさぶろ 元CNN 、BAR評論家、エッセイスト

あのひとの手から紡ぎ出される至善のカクテルを、今宵も。疲れた夜、打ちひしがれた日、何かいい事があった時、分厚い扉を開けてバーへ足を踏み入れる。彼女たちはどんな時も変わらぬ美しい笑顔で迎え、それぞれの思いを込めた一杯をこちらへ滑らせてくれる。一口ふくむ、何も言う事は無い――。

幅約70センチのカウンターを隔てて、夜ごと客と向き合う女性バーテンダーたちの半生から、酒に寄り添う思い、職業観、目標まで、本音を引き出し紹介。北海道から九州までのバーでシェイカーを振る女性を紹介する。これは、単なるガイドではない。 「【東京】ゆとりを愉しむ至福のBAR」の著者が贈る女性バーテンダー讃歌である。

この度、書籍『麗しきバーテンダーたち』の6月1日発売を記念し、当該書籍から転載とした。
(※勤務先は取材当時の情報となります。)

 


神戸市三宮は東門街に、瀟洒な洋館のようなバーがある。元はアンティークショップだったというだけに、外観からは女性向けのカフェのようにも思えるが、その実、英国の田舎町のパブのような家庭的なバーだ。

ここを切り盛りする田村里佳(たむら・りか)さんの職歴は多彩。専門学校情報システム科を卒業し、建築関係のプログラマーとなる。その後、ホテルで事務仕事、県庁勤務、アパレルの接客などを経て、飲食業へ。現オーナーから新店舗出店の打診があり、「人も好き、お酒も好き、挑戦しても悪くない」と今の仕事に転身した。

学生時代のアルバイト経験もあり、「おぼろげながらバーテンダーになりたいと考えたこともあった」と振り返るものの、経歴が浅いだけに、バースプーンの回し方、シェイカーの振り方などの基礎から系列店のベテランに教わり、毎日「どうしよう、どうしよう」と思いながらも、何とかここまでやってきた。酒に関する知識不足を痛感する日々。特に歴史には弱く、書物を繙くものの「まずは、日本からかな」と開き直り、最近は日本酒についての本ばかりを読んでいるとか。

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田村里佳さん(撮影:斉藤美春)

「カフェ風にさっと立ち寄り、パブのような使い方ができるバー」をコンセプトにしていたものの、彼女の人柄もあってか、すっかり「オヤジの巣窟」として連夜賑わう。オーセンティックな雰囲気作りを心掛けているが、「自分がくだけているので」と、とにかく愉しそうに呑んでもらえるカジュアルなスタイルとなっている。ただし「ママ! こっち来て一緒に呑みなよ」という輩には「業務中です」と、にべもなく拒絶する。

10年後ぐらいには独立をと考えてもいるが、まずは色々なバー、色々な世界を見てから、と日々勉強。休日は、県外へバー巡りに行くことも多い。彼女のキャラクターを活かしたバーが出来上がるのなら、10年後を愉しみにする常連は多いことだろう。

取材日も夜半に店を訪れると、カウンターで彼女を囲み談笑する常連で埋め尽くされていた。

BAR BELL(バー・ベル)
兵庫県神戸市中央区中山手通1-4-14 TEL 078-331-1009
※『麗しきバーテンダーたち』より転載。最新情報については、店舗に連絡を。


たまさぶろ
元CNN 、BAR評論家、エッセイスト
立教大学文学部英米文学科卒。週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学にてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsとして勤務。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュース。日本で初めて既存メディアとウェブメディアの融合を成功させる。これまでに訪れたバーは日本だけで1000軒超。2015年6月、女性バーテンダー讃歌・書籍『麗しきバーテンダーたち』上梓。米同時多発テロ事件以前のニューヨークを題材としたエッセイ『My Lost New York』、2016年1月発売予定。
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official site たまさぶろの人生遊記
http://www.mag2.com/m/0001604971.html

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